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成婚式
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雲一つ無い空に初夏の気持ち良い風で白い花びらが王都のあちこちで舞い上がり、歓声や感嘆の声が聞こえる。
今日は王太子であるルクレと王太子妃イリスリアの成婚の儀が行われる。
数日前から市民は広場や街道を飾り付け、屋台も他の町から来る客目当てに出店している数が増えている。
その中には白い花や花びらだけを売る店がある。
それは成婚パレードで王太子と王太子妃を乗せる馬車に祝福として集まった人々が撒くものだ。
「いやあ、今日はめでたいなぁ」
「お姫様きれい?」
「ああ、綺麗だとも」
「わーたのしみー」
人々が浮かれるのも仕方ない。一昨年から2年間、第一王子の病死があり喪に服していた為、建国祭などの祭り事が行われなかったのである。なので久々の国をあげての慶事に皆力が入っているだ。
そして王太子夫妻が姿を表すバルコニーの外にある広場には、まだ時間があるというのに既に大勢の人々が手やカゴに花びらを持ち集まっている。
「イリスリア」
白い軍服に似た装いに赤いマントを羽織ったルクレが花嫁の支度部屋へ足を踏み入れると、水色の髪を編み込み結い上げ薄いヴェールを被ったイリスリアが佇んでいた。ビスチェタイプのマーメイドラインのドレスの裾には金糸で国花が刺繍され咲き乱れ、胸元と耳にブルーダイアモンドが輝いている。ヴェールの上から被るティアラは代々受け継がれている次期王妃の為のティアラだ。
「綺麗だイリスリア」
「ありがとうございます。ルクレ様も素敵です」
目を細めうっとりと言うルクレに頬を染めながらお礼を言うイリスリアに、周りにいた侍女や護衛の騎士達は微笑ましげに見ている。
「やっと・・・・・・やっとイリスリアが名実ともに僕のイリスリアになる」
「はい、今日やっとルクレ様のものになれます」
「長かった」
「ええ、とても長かったです」
婚約するはずだったあの時から10年、そのうちの8年は2人にとって耐え難い日々だった。特にイリスリアは好きでもない第一王子と婚約していた。その日々を耐えられたのは王妃の婚約破棄の確信と手紙のやり取りと秘密のお茶会があったからである。
「手始めに1週間覚悟しておいてね」
成婚して1週間イリスリアを離さない宣言をしながら白い手袋の上から指先に口づけをするルクレに、顔を真っ赤にしながら小さく頷くイリスリアに満足気なルクレ。
それを見てあらあら御子はすぐかしらと侍女達は思っていたが、その後ルクレの「イリスリアを堪能したいから2年は子を作らない」という宣言にどんだけ堪能したいのかとドン引いたという。
「さあ、行こうか」
「はい」
差し出された手をとり2人で歩き出す。
これから婚約者から夫婦と名を変え共に歩んでいく喜びを胸に婚儀の間へ向かうルクレとイリスリアに、人々の祝福の声が遠く小さいが聞こえていた。
その後、婚儀を恙無く終わらせパレードや宴を終わらせた2人は、初夜でイリスリアの破瓜の確認をさせた以後本当に1週間寝室から出て来なかったという。
ーーーーーーーーーー
これで完結となります。
お読み頂きありがとうございます。
一つだけ番外編を書く予定です。
気になっている方もいるかと思うあの夫婦、国王と王妃のほにゃららをupさせて頂きます。
ダイジョウブ、R18ジャナイヨ。
今日は王太子であるルクレと王太子妃イリスリアの成婚の儀が行われる。
数日前から市民は広場や街道を飾り付け、屋台も他の町から来る客目当てに出店している数が増えている。
その中には白い花や花びらだけを売る店がある。
それは成婚パレードで王太子と王太子妃を乗せる馬車に祝福として集まった人々が撒くものだ。
「いやあ、今日はめでたいなぁ」
「お姫様きれい?」
「ああ、綺麗だとも」
「わーたのしみー」
人々が浮かれるのも仕方ない。一昨年から2年間、第一王子の病死があり喪に服していた為、建国祭などの祭り事が行われなかったのである。なので久々の国をあげての慶事に皆力が入っているだ。
そして王太子夫妻が姿を表すバルコニーの外にある広場には、まだ時間があるというのに既に大勢の人々が手やカゴに花びらを持ち集まっている。
「イリスリア」
白い軍服に似た装いに赤いマントを羽織ったルクレが花嫁の支度部屋へ足を踏み入れると、水色の髪を編み込み結い上げ薄いヴェールを被ったイリスリアが佇んでいた。ビスチェタイプのマーメイドラインのドレスの裾には金糸で国花が刺繍され咲き乱れ、胸元と耳にブルーダイアモンドが輝いている。ヴェールの上から被るティアラは代々受け継がれている次期王妃の為のティアラだ。
「綺麗だイリスリア」
「ありがとうございます。ルクレ様も素敵です」
目を細めうっとりと言うルクレに頬を染めながらお礼を言うイリスリアに、周りにいた侍女や護衛の騎士達は微笑ましげに見ている。
「やっと・・・・・・やっとイリスリアが名実ともに僕のイリスリアになる」
「はい、今日やっとルクレ様のものになれます」
「長かった」
「ええ、とても長かったです」
婚約するはずだったあの時から10年、そのうちの8年は2人にとって耐え難い日々だった。特にイリスリアは好きでもない第一王子と婚約していた。その日々を耐えられたのは王妃の婚約破棄の確信と手紙のやり取りと秘密のお茶会があったからである。
「手始めに1週間覚悟しておいてね」
成婚して1週間イリスリアを離さない宣言をしながら白い手袋の上から指先に口づけをするルクレに、顔を真っ赤にしながら小さく頷くイリスリアに満足気なルクレ。
それを見てあらあら御子はすぐかしらと侍女達は思っていたが、その後ルクレの「イリスリアを堪能したいから2年は子を作らない」という宣言にどんだけ堪能したいのかとドン引いたという。
「さあ、行こうか」
「はい」
差し出された手をとり2人で歩き出す。
これから婚約者から夫婦と名を変え共に歩んでいく喜びを胸に婚儀の間へ向かうルクレとイリスリアに、人々の祝福の声が遠く小さいが聞こえていた。
その後、婚儀を恙無く終わらせパレードや宴を終わらせた2人は、初夜でイリスリアの破瓜の確認をさせた以後本当に1週間寝室から出て来なかったという。
ーーーーーーーーーー
これで完結となります。
お読み頂きありがとうございます。
一つだけ番外編を書く予定です。
気になっている方もいるかと思うあの夫婦、国王と王妃のほにゃららをupさせて頂きます。
ダイジョウブ、R18ジャナイヨ。
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