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王妃様とお茶会
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馬車に揺られ王宮へ着くと、待っていた従者に導かれ王妃様専用の花園にお母様とわたくしは足を踏み入れます。
そこは淡いピンク色の薔薇が咲き誇り、四阿には蔓薔薇が巻かれ黄色い花を咲かせていて、何度来てもうっとりする美しさです。
ここは王妃様の希望で一年中薔薇が咲き誇り、それを目で楽しみながらひとときを過ごす、とても贅沢な時間を過ごせる所です。
しかし今はまだ肌寒く、花園の一角に建つ温室へ案内されました。
温室の中は暖かく、入った瞬間に花の香りが出迎えてくれます。その香りは強くなく心地良さを感じ、花々に歓迎されているような気分になります。良い花も強すぎる香りは不快になります。庭師の心遣いと腕の良さを感じますね。
既に王妃様とルクレ様がお菓子と紅茶を嗜み談笑していました。それを見てわたくしはドキリとします。卒業パーティー以来、かつ初めてルクレ様の婚約者としてお会いするのですから。
「イリスリア!」
王妃様とまだ話している途中にも関わらず、わたくしに気付いたルクレ様が立ち上がり駆け足で来てくださいました。ルクレ様にしては色々と不作法でしたが、気持ちを慮って王妃様は咎めず微笑ましげに見てらっしゃいます。
「ルクレ様・・・・・・」
「やっと会えたね。2週間会えないなんて何度もあったのに、イリスリアが僕の婚約者になったら今まで以上に寂しさと会いたい気持ちが増して辛かったよ」
「わたくしもです。頂いた手紙を何度も読み返し会いたい気持ちが募るばかりでした」
ルクレ様もわたくしと同じ気持ちだったのですね。握られた両手が温かく、見つめる瞳は感情を隠すことなく愛しさを伝えてくれています。ああルクレ様、わたくしも大好きです。
「いつまでそうしているつもりじゃ。はよ席に着きなさい」
気付くとお母様は既に王妃様のところへ行かれていて従者は困った顔をしていました。どうやらかなりの時間2人だけの世界に入っていたようです。
「すみません母上」
「嬉しいのは分かるがの。浮かれすぎは気を付けよ」
呆れながらもにこやかな王妃様。ルクレ様に手を引かれながら着席するとすぐに紅茶が用意されました。テーブルには宝石のように輝くスイーツやフルーツが並べられており、どれもがいつも以上に職人の気合いが感じられます。
香り高い紅茶を飲み、取り分けられたスイーツを堪能していると、王妃様はこの2週間にあった王宮での出来事を話してくださいました。
そこは淡いピンク色の薔薇が咲き誇り、四阿には蔓薔薇が巻かれ黄色い花を咲かせていて、何度来てもうっとりする美しさです。
ここは王妃様の希望で一年中薔薇が咲き誇り、それを目で楽しみながらひとときを過ごす、とても贅沢な時間を過ごせる所です。
しかし今はまだ肌寒く、花園の一角に建つ温室へ案内されました。
温室の中は暖かく、入った瞬間に花の香りが出迎えてくれます。その香りは強くなく心地良さを感じ、花々に歓迎されているような気分になります。良い花も強すぎる香りは不快になります。庭師の心遣いと腕の良さを感じますね。
既に王妃様とルクレ様がお菓子と紅茶を嗜み談笑していました。それを見てわたくしはドキリとします。卒業パーティー以来、かつ初めてルクレ様の婚約者としてお会いするのですから。
「イリスリア!」
王妃様とまだ話している途中にも関わらず、わたくしに気付いたルクレ様が立ち上がり駆け足で来てくださいました。ルクレ様にしては色々と不作法でしたが、気持ちを慮って王妃様は咎めず微笑ましげに見てらっしゃいます。
「ルクレ様・・・・・・」
「やっと会えたね。2週間会えないなんて何度もあったのに、イリスリアが僕の婚約者になったら今まで以上に寂しさと会いたい気持ちが増して辛かったよ」
「わたくしもです。頂いた手紙を何度も読み返し会いたい気持ちが募るばかりでした」
ルクレ様もわたくしと同じ気持ちだったのですね。握られた両手が温かく、見つめる瞳は感情を隠すことなく愛しさを伝えてくれています。ああルクレ様、わたくしも大好きです。
「いつまでそうしているつもりじゃ。はよ席に着きなさい」
気付くとお母様は既に王妃様のところへ行かれていて従者は困った顔をしていました。どうやらかなりの時間2人だけの世界に入っていたようです。
「すみません母上」
「嬉しいのは分かるがの。浮かれすぎは気を付けよ」
呆れながらもにこやかな王妃様。ルクレ様に手を引かれながら着席するとすぐに紅茶が用意されました。テーブルには宝石のように輝くスイーツやフルーツが並べられており、どれもがいつも以上に職人の気合いが感じられます。
香り高い紅茶を飲み、取り分けられたスイーツを堪能していると、王妃様はこの2週間にあった王宮での出来事を話してくださいました。
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