6 / 18
あの時(ルクレ視点)
しおりを挟む
僕は今日幸せと不幸を同時に味わった。
楽しみすぎて朝早く起きてしまい侍従のマキトに「浮かれてますね」と軽口を言われてしまうくらい。それはそうだ、今日は大好きなイリスリアと婚約できる日なんだから!
幼い頃から一緒に遊んでいたイリスリア。綿毛のようなふわっとした髪からさらさらになった薄水色の髪に、ちょっと猫目な大きなピンク色の瞳。可愛いから綺麗になってきたイリスリア。そんな大好きなイリスリアは僕の事を同じくらい大好きって言ってくれてる。だから二人でお願いしたんだ。「婚約させてください」って。
だってあんなに可愛いんだ、放っておいたら悪い羽虫が寄ってきちゃうからね。
気分が競って早目に準備が終わってしまったが、それでもイリスリアに完璧な僕を見てもらいたくて時間になるまで姿見の前で何度も確認していたら、鏡越しにマキトの苦笑いが見えたが無視した。
時間になって父上の執務室に行き、そこからお茶会がある庭園に一緒に行く。凄く嫌だけど側妃のティファス様とライノールも今日は一緒だ。家族事だからと参加するらしいけど見た目が派手で品性がなく、場をわきまえない側妃と王子教育を疎かにする第一王子なんてただの金食い虫。この二人に国民の血税が使われていると思うと、国民に申し訳なく思ってしまう。
庭園に着くと既にイリスリアとマーベン公爵夫妻がいた。僕が送った青に金糸の刺繍がされたドレスを着ているイリスリアはとても綺麗だった。互いに目を合わせてにっこり微笑む。
席に着き侍女が紅茶を用意している時にソワソワしているイリスリアを見ると、今日どれだけ楽しみにしていてくれいたのかが分かって嬉しくなる。だからつい僕もニコニコしてしまっていたのが悪かったのだろう、目ざとく見つけたライノールがその時嫌な笑みを浮かべていたのに気づかなかった。
それを見た母上はその時から嫌な予感がしていたという。
雑談の後に本題、僕とイリスリアの婚約の話になるとライノールがいきなり立ち上がり「俺、あいつと婚約したい!」とイリスリアを指差し言いやがった。
周りはポカン。みんな突然の事で動けなかった。
「あらあいいわね、ライノール気に入ったの?じゃあイリスリアちゃんはライノールのお嫁さんね。ギュスターヴ様いいわよね?」
「えっ、いや、イリスリアはルクレの」
「ねぇ~いいわよね~。おねがぁい♡」
「う・・・・・・」
「ね、お♡ね♡が♡い♡」
「うん、そうしよっか」
「きゃあ♡ギュスターヴ様優しい♡」
はぁ゙⁉何いってるんだクソ親父!イリスリアは僕の婚約者だ!デカパイ押し付けられて胸にのの字書かれて鼻の下伸ばして頷いてんじゃねーよ!ほら母上と公爵が射殺せるくらい睨んでんだろうが!・・・・・・ってデレデレして気づいてねー!!
「イ・・・・・・イリスリア・・・・・・」
「ルクレ様・・・・・・」
困惑して名前を呼ぶと茫然としたイリスリアの瞳からぽろぽろと涙が頬を伝っていく。マジ殺すぞクソ親父。
チラッとライノールを見ると勝ち誇った顔をしている。お前もマジ殺す。
テーブルを囲んではしゃぐ側妃にデレデレな父上とドヤ顔のライノール以外は殺伐と悲しみに暮れてカオスな状態になってしまい、強制的にお開きになってしまった。
その日から3日間イリスリアは熱を出し寝込んでしまったらしい。ホントマジ殺す。
結局、国王として一度発した言葉だからと覆らず、イリスリアは僕ではなくライノールとの婚約が決まった最悪の日になってしまったのだ。
ーーーーーーーーーー
意外と心の中の声が口悪いルクレ。
※2日ばかり投稿をお休みします。
楽しみすぎて朝早く起きてしまい侍従のマキトに「浮かれてますね」と軽口を言われてしまうくらい。それはそうだ、今日は大好きなイリスリアと婚約できる日なんだから!
幼い頃から一緒に遊んでいたイリスリア。綿毛のようなふわっとした髪からさらさらになった薄水色の髪に、ちょっと猫目な大きなピンク色の瞳。可愛いから綺麗になってきたイリスリア。そんな大好きなイリスリアは僕の事を同じくらい大好きって言ってくれてる。だから二人でお願いしたんだ。「婚約させてください」って。
だってあんなに可愛いんだ、放っておいたら悪い羽虫が寄ってきちゃうからね。
気分が競って早目に準備が終わってしまったが、それでもイリスリアに完璧な僕を見てもらいたくて時間になるまで姿見の前で何度も確認していたら、鏡越しにマキトの苦笑いが見えたが無視した。
時間になって父上の執務室に行き、そこからお茶会がある庭園に一緒に行く。凄く嫌だけど側妃のティファス様とライノールも今日は一緒だ。家族事だからと参加するらしいけど見た目が派手で品性がなく、場をわきまえない側妃と王子教育を疎かにする第一王子なんてただの金食い虫。この二人に国民の血税が使われていると思うと、国民に申し訳なく思ってしまう。
庭園に着くと既にイリスリアとマーベン公爵夫妻がいた。僕が送った青に金糸の刺繍がされたドレスを着ているイリスリアはとても綺麗だった。互いに目を合わせてにっこり微笑む。
席に着き侍女が紅茶を用意している時にソワソワしているイリスリアを見ると、今日どれだけ楽しみにしていてくれいたのかが分かって嬉しくなる。だからつい僕もニコニコしてしまっていたのが悪かったのだろう、目ざとく見つけたライノールがその時嫌な笑みを浮かべていたのに気づかなかった。
それを見た母上はその時から嫌な予感がしていたという。
雑談の後に本題、僕とイリスリアの婚約の話になるとライノールがいきなり立ち上がり「俺、あいつと婚約したい!」とイリスリアを指差し言いやがった。
周りはポカン。みんな突然の事で動けなかった。
「あらあいいわね、ライノール気に入ったの?じゃあイリスリアちゃんはライノールのお嫁さんね。ギュスターヴ様いいわよね?」
「えっ、いや、イリスリアはルクレの」
「ねぇ~いいわよね~。おねがぁい♡」
「う・・・・・・」
「ね、お♡ね♡が♡い♡」
「うん、そうしよっか」
「きゃあ♡ギュスターヴ様優しい♡」
はぁ゙⁉何いってるんだクソ親父!イリスリアは僕の婚約者だ!デカパイ押し付けられて胸にのの字書かれて鼻の下伸ばして頷いてんじゃねーよ!ほら母上と公爵が射殺せるくらい睨んでんだろうが!・・・・・・ってデレデレして気づいてねー!!
「イ・・・・・・イリスリア・・・・・・」
「ルクレ様・・・・・・」
困惑して名前を呼ぶと茫然としたイリスリアの瞳からぽろぽろと涙が頬を伝っていく。マジ殺すぞクソ親父。
チラッとライノールを見ると勝ち誇った顔をしている。お前もマジ殺す。
テーブルを囲んではしゃぐ側妃にデレデレな父上とドヤ顔のライノール以外は殺伐と悲しみに暮れてカオスな状態になってしまい、強制的にお開きになってしまった。
その日から3日間イリスリアは熱を出し寝込んでしまったらしい。ホントマジ殺す。
結局、国王として一度発した言葉だからと覆らず、イリスリアは僕ではなくライノールとの婚約が決まった最悪の日になってしまったのだ。
ーーーーーーーーーー
意外と心の中の声が口悪いルクレ。
※2日ばかり投稿をお休みします。
72
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
文句しか言わない(言えない)婚約者。自分から言い出したのに婚約破棄にも文句言ってます
リオール
恋愛
公爵令嬢エレナの婚約者は、王太子のデニス王子。
この王子、とにかく文句しか言わない。いつもいつも会えばまずは文句。文句を言うなら会いに来なければ良いものを、なぜか頻繁に会いにくる。会いに来ては文句をいうものだから、エレナのストレスは爆発寸前だった。
ところがその日は違った。会いにはきたけれど、出た言葉が「婚約解消する」というものだったのだ。
それを聞いて大喜びするエレナだったが、なぜかその話は無かった事に!?
ふざけないでください、一度言ったことを取り消すなんて、許されると思うのですか?
そんないい加減な人と結婚なんて出来ません。婚約破棄させていただきます!
文句を言われても知りません!
切れたエレナは絶縁宣言をするのだった。
=====
ギャグ寄りのお話です。
主人公の本性は口が悪いです。それが駄目な方はUターンでお願いします。
何でも許せるというかた向け。
逆恨みをした侯爵令嬢たちの末路~せっかくのチャンスをふいにした結果~
柚木ゆず
恋愛
王立ラーサンルズ学院の生徒会メンバーである、侯爵令嬢パトリシアと侯爵令息ロベール。二人は同じく生徒会に籍を置く格下であり後輩のベルナデットが自分たちより支持されていることが許せず、ベルナデットが学院に居られなくなるよう徹底的に攻撃をすると宣告。調子に乗った罰としてたっぷり苦しめてやると、揃って口の端を吊り上げました。
「パトリシア様っ、ロベール様! おやめください!」
ですがそんな二人は、まだ知りません。
自分たちは、最初で最後のチャンスを逃してしまったことを。自分達は、最悪のタイミングで宣告してしまったということを――。
婚約破棄ですか? 理由は魔法のできない義妹の方が素直で可愛いから♡だそうです。
hikari
恋愛
わたくしリンダはスミス公爵ご令息エイブラハムに婚約破棄を告げられました。何でも魔法ができるわたくしより、魔法のできない義理の妹の方が素直で可愛いみたいです。
義理の妹は義理の母の連れ子。実父は愛する妻の子だから……と義理の妹の味方をします。わたくしは侍女と共に家を追い出されてしまいました。追い出された先は漁師町でした。
そして出会ったのが漁師一家でした。漁師一家はパーシヴァルとポリー夫婦と一人息子のクリス。しかし、クリスはただの漁師ではありませんでした。
そんな中、隣国からパーシヴァル一家へ突如兵士が訪問してきました。
一方、婚約破棄を迫ってきたエイブラハムは実はねずみ講をやっていて……そして、ざまあ。
ざまあの回には★がついています。
身勝手な婚約破棄をされたのですが、第一王子殿下がキレて下さいました
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢であるエリーゼは、第ニ王子殿下であるジスタードに婚約破棄を言い渡された。
理由はジスタードが所帯をを持ちたくなく、まだまだ遊んでいたいからというものだ。
あまりに身勝手な婚約破棄だったが、エリーゼは身分の差から逆らうことは出来なかった。
逆らえないのはエリーゼの家系である、ラクドアリン伯爵家も同じであった。
しかし、エリーゼの交友関係の中で唯一の頼れる存在が居た。
それは兄のように慕っていた第一王子のアリューゼだ。
アリューゼの逆鱗に触れたジスタードは、それはもう大変な目に遭うのだった……。
婚約者の妹が結婚式に乗り込んで来たのですが〜どうやら、私の婚約者は妹と浮気していたようです〜
あーもんど
恋愛
結婚式の途中……誓いのキスをする直前で、見知らぬ女性が会場に乗り込んできた。
そして、その女性は『そこの芋女!さっさと“お兄様”から、離れなさい!ブスのくせにお兄様と結婚しようだなんて、図々しいにも程があるわ!』と私を罵り、
『それに私達は体の相性も抜群なんだから!』とまさかの浮気を暴露!
そして、結婚式は中止。婚約ももちろん破談。
────婚約者様、お覚悟よろしいですね?
※本作はメモの中に眠っていた作品をリメイクしたものです。クオリティは高くありません。
※第二章から人が死ぬ描写がありますので閲覧注意です。
婚約破棄する王太子になる前にどうにかしろよ
みやび
恋愛
ヤバいことをするのはそれなりの理由があるよねっていう話。
婚約破棄ってしちゃダメって習わなかったんですか?
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/123874683
ドアマットヒロインって貴族令嬢としては無能だよね
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/988874791
と何となく世界観が一緒です。
【完結】婚約破棄断罪を企んでおられるようなので、その前にわたくしが婚約破棄をして差し上げますわ。〜ざまぁ、ですわ!!〜
❄️冬は つとめて
恋愛
題名変えました。
【ざまぁ!!】から、長くしてみました。
王太子トニックは『真実の愛』で結ばれた愛するマルガリータを虐める婚約者バレンシアとの婚約破棄を狙って、卒業後の舞踏会でバレンシアが現れるのを待っていた。
「これは私ですが、そちらは私ではありません」
イチイ アキラ
恋愛
試験結果が貼り出された朝。
その掲示を見に来ていたマリアは、王子のハロルドに指をつきつけられ、告げられた。
「婚約破棄だ!」
と。
その理由は、マリアが試験に不正をしているからだという。
マリアの返事は…。
前世がある意味とんでもないひとりの女性のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる