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第三話 無知な男
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第三話 無知な男
香奈が帰宅してなぜか2人での夕食をとっていた。
「おい、ハシしかないのか?」
「え、うどんを箸以外で食べるんですか…?」
「ハシなんて使ったことがない」
「でもお箸使えないと日本の料理食べられないですよ…?」
「そうなのか…」
ゆうすけは頑張って箸を使って食べようとする。
ビチャ、ベチャ
初めての箸である。うどんを上手く口まで運べない。
「……」
「……ぷぷっ」
香奈はいつもは弱点を見せないゆうすけのおっちょこちょいな面にちょっと笑ってしまう。
「おい、フォークを取ってこい」
「はい」
香奈はにやにやしながらフォークを渡す。
「ジャパンには売られた喧嘩は買うという言葉があるらしいが、今であってるか…?」
「あ、いや…」
「なんでもないです…」
「そうか」
ゆうすけは今度はフォークで食べ始める。
(洗い物増えちゃった…めんどくさい…)
(皿洗いくらいしてくれればいいのに…)
(お………?)
「ゆうすけさん、食べ終わったらお皿洗ってくれませんか…?」
「そのくらいはやっておこう」
「やったっ」
「じゃあついでにお部屋の掃除も…」
調子に乗って香奈はどんどん頼む。
「おれが使うところだけなら」
「じゃあ私も自分の食べるご飯だけ作りますよ…?」
「ご飯は無理だ」
「それじゃ、私がご飯作るのでそれ以外の家事やってください」
「掃除とか洗濯とかゴミ出しとか…」
「分かった」
「……… ♫」
香奈はめんどくさがりな性格である。
ゆうすけに家事を一部してもらえるだけでかなり嬉しそうだ。
「意外と優しいんですね…笑」
「自分のやったことがないことに興味があるだけだ」
「あ…なるほど」
それでも香奈は家事を分担できたことにウキウキしていた。
2人はご飯を食べ終わって流しに立っていた。
「皿を洗うから貸せ」
「お願いします」
香奈はちょっと不安なのでお皿を洗う様子を後ろで見守る。
香奈の見ている前でゆうすけはシンクに水を溜め始める。
「お~」
ゆうすけは食器を溜めた水の中に入れる。
「まぁまぁまぁ…」
ゆうすけは濡れた食器を取り出して洗剤をつけたスポンジで洗う。
(案外大丈夫そう…)
続いてゆうすけは泡まみれの食器をそのまますすがずに水切りに置く。
「ぇぇえ嘘…」
「ち、ちょっと待って…」
「なんだ?」
「あ、泡は流してください…!」
「流すのか?」
「その泡にいっぱい汚れが着いてるので…」
「イギリスはこのままだったぞ」
「ジャパンは違うのか?」
「違いますよ…」
しかたないのでゆうすけは泡を流す。
「ジャパンは変わってるな」
「日本人からしてみるとゆうすけさんの感覚がわからないです…」
(やっぱりこの人に家事任せるの不安かも…)
色々と変なことがありつつもゆうすけは皿を全部洗い終えた。
「終わったぞ」
「う~ん…泡をすすがなかったこと以外は大丈夫なので…」
「次から気をつけてくださいね…」
「すまない」
「次は掃除だ」
「やり方分かります…?」
「大丈夫だ」
「バケツはないのか?」
「バケツって、、」
「どこ掃除するつもりですか…?」
「床だが?」
「日本ではバケツとか使わないです…」
「これ使ってください…」
香奈は久しぶりに取り出してきて掃除機を渡す。
「なんだこれ?」
「どう使う?」
「このスイッチを押して…」
香奈は掃除機の使い方をゆうすけに説明する。
「便利だな、これ」
ゆうすけは軽快なステップでささっと床を歩き回って綺麗にする。
「これでいいのか?」
「う~ん、もうちょっとしっかりかけて欲しいです…」
「もう私がやるので見ててください…」
「分かった」
香奈はゆうすけに掃除機やモップの使い方など一通り教えた。
「これで明日からできますか…?」
「やり方は覚えた、飽きるまでならやる」
「飽きられると困ります…」
「やるだけやってみる」
「任せました…」
(これでも自分でやる手間よりマシかな…)
翌朝
ガサガサ、ガサガサ
ふぇ…
香奈は袋の擦れる音で目が覚める。
「ゆうすけさん…?」
「昨日、今日がゴミ出しだと言っていただろ?」
「やっておいたぞ」
ゆうすけは家中のゴミを分別関係なくゴミ袋に入れていた。
「………!!」
「っはぁ…………」
香奈は深いいため息をつく。
「ゆうすけさん…よく聞いてください…」
香奈は日本のルールである燃えるゴミと燃えないゴミなど分別の説明をする。
「分からなくなったら聞いてください」
「そうなのか」
「ジャパンは細かいな」
「分けないで出すと怒られちゃいます…」
「なんか…めんどくさいな」
「慣れですよ」
「早く慣れようと思う」
「おまえは今日も仕事だったな」
「そろそろ名前で呼んで欲しいです…」
「今日は少しだけですけど」
「カナでいいのか?」
「オダか?」
「う~ん、呼びやすい方で…」
「オダだな」
「オダですっ」
香奈はちょっと嬉しそうである。
「おれはもう眠いからさっさと行け」
「私の家なのに…」
香奈は機嫌を損ねるのも嫌なのでそそくさと出発する。
サイードはオダが出て行ったのを確認してから睡眠に入った。
第三話 無知な男 完
香奈が帰宅してなぜか2人での夕食をとっていた。
「おい、ハシしかないのか?」
「え、うどんを箸以外で食べるんですか…?」
「ハシなんて使ったことがない」
「でもお箸使えないと日本の料理食べられないですよ…?」
「そうなのか…」
ゆうすけは頑張って箸を使って食べようとする。
ビチャ、ベチャ
初めての箸である。うどんを上手く口まで運べない。
「……」
「……ぷぷっ」
香奈はいつもは弱点を見せないゆうすけのおっちょこちょいな面にちょっと笑ってしまう。
「おい、フォークを取ってこい」
「はい」
香奈はにやにやしながらフォークを渡す。
「ジャパンには売られた喧嘩は買うという言葉があるらしいが、今であってるか…?」
「あ、いや…」
「なんでもないです…」
「そうか」
ゆうすけは今度はフォークで食べ始める。
(洗い物増えちゃった…めんどくさい…)
(皿洗いくらいしてくれればいいのに…)
(お………?)
「ゆうすけさん、食べ終わったらお皿洗ってくれませんか…?」
「そのくらいはやっておこう」
「やったっ」
「じゃあついでにお部屋の掃除も…」
調子に乗って香奈はどんどん頼む。
「おれが使うところだけなら」
「じゃあ私も自分の食べるご飯だけ作りますよ…?」
「ご飯は無理だ」
「それじゃ、私がご飯作るのでそれ以外の家事やってください」
「掃除とか洗濯とかゴミ出しとか…」
「分かった」
「……… ♫」
香奈はめんどくさがりな性格である。
ゆうすけに家事を一部してもらえるだけでかなり嬉しそうだ。
「意外と優しいんですね…笑」
「自分のやったことがないことに興味があるだけだ」
「あ…なるほど」
それでも香奈は家事を分担できたことにウキウキしていた。
2人はご飯を食べ終わって流しに立っていた。
「皿を洗うから貸せ」
「お願いします」
香奈はちょっと不安なのでお皿を洗う様子を後ろで見守る。
香奈の見ている前でゆうすけはシンクに水を溜め始める。
「お~」
ゆうすけは食器を溜めた水の中に入れる。
「まぁまぁまぁ…」
ゆうすけは濡れた食器を取り出して洗剤をつけたスポンジで洗う。
(案外大丈夫そう…)
続いてゆうすけは泡まみれの食器をそのまますすがずに水切りに置く。
「ぇぇえ嘘…」
「ち、ちょっと待って…」
「なんだ?」
「あ、泡は流してください…!」
「流すのか?」
「その泡にいっぱい汚れが着いてるので…」
「イギリスはこのままだったぞ」
「ジャパンは違うのか?」
「違いますよ…」
しかたないのでゆうすけは泡を流す。
「ジャパンは変わってるな」
「日本人からしてみるとゆうすけさんの感覚がわからないです…」
(やっぱりこの人に家事任せるの不安かも…)
色々と変なことがありつつもゆうすけは皿を全部洗い終えた。
「終わったぞ」
「う~ん…泡をすすがなかったこと以外は大丈夫なので…」
「次から気をつけてくださいね…」
「すまない」
「次は掃除だ」
「やり方分かります…?」
「大丈夫だ」
「バケツはないのか?」
「バケツって、、」
「どこ掃除するつもりですか…?」
「床だが?」
「日本ではバケツとか使わないです…」
「これ使ってください…」
香奈は久しぶりに取り出してきて掃除機を渡す。
「なんだこれ?」
「どう使う?」
「このスイッチを押して…」
香奈は掃除機の使い方をゆうすけに説明する。
「便利だな、これ」
ゆうすけは軽快なステップでささっと床を歩き回って綺麗にする。
「これでいいのか?」
「う~ん、もうちょっとしっかりかけて欲しいです…」
「もう私がやるので見ててください…」
「分かった」
香奈はゆうすけに掃除機やモップの使い方など一通り教えた。
「これで明日からできますか…?」
「やり方は覚えた、飽きるまでならやる」
「飽きられると困ります…」
「やるだけやってみる」
「任せました…」
(これでも自分でやる手間よりマシかな…)
翌朝
ガサガサ、ガサガサ
ふぇ…
香奈は袋の擦れる音で目が覚める。
「ゆうすけさん…?」
「昨日、今日がゴミ出しだと言っていただろ?」
「やっておいたぞ」
ゆうすけは家中のゴミを分別関係なくゴミ袋に入れていた。
「………!!」
「っはぁ…………」
香奈は深いいため息をつく。
「ゆうすけさん…よく聞いてください…」
香奈は日本のルールである燃えるゴミと燃えないゴミなど分別の説明をする。
「分からなくなったら聞いてください」
「そうなのか」
「ジャパンは細かいな」
「分けないで出すと怒られちゃいます…」
「なんか…めんどくさいな」
「慣れですよ」
「早く慣れようと思う」
「おまえは今日も仕事だったな」
「そろそろ名前で呼んで欲しいです…」
「今日は少しだけですけど」
「カナでいいのか?」
「オダか?」
「う~ん、呼びやすい方で…」
「オダだな」
「オダですっ」
香奈はちょっと嬉しそうである。
「おれはもう眠いからさっさと行け」
「私の家なのに…」
香奈は機嫌を損ねるのも嫌なのでそそくさと出発する。
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