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【3‐1】ステップアップ

ぼんやりとした未来

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 遅めの起床時間。一同は売店で軽食を買い込み、洗濯乾燥機の音が響く中、朝昼兼用で食事を囲む。
 客室の窓から見える限りでは雲が多い。今日は天気が悪そうだ。
 サキが一番眠そうだ。目も開ききっていないし、あくびも多い。
「やっぱり揺れるのでちゃんと眠れなかったなぁ」
 あんパンをもぐもぐさせながら、こっくりこっくりとしている。サキがこんなに眠さを訴えるのは珍しい。よく、夜更かしをして読書をたしなんでいる。それでも、次の日はけろっとしていることが多いからだ。
 徹夜をしても大丈夫と言えば、ローズも同じである。ただ、今回は寝ようとする努力をしたようだ。
「何回乗っても慣れないデス。微震が続いているみたいデスヨ」
「僕も開き直って読書していればよかった。ふあっ……」
 中途半端に寝てしまったためとても眠そうなサキ。ローズは完徹をしていたらしく、脇に設計図らしきものが書き散らかされていた。
 あまり睡眠できなかったのはサキだけではないらしく、あくびをしている者がほとんどだ。稽古をした疲れがあって、かろうじてある程度眠れたというところ。使い魔だけはあまり変化がないらしく、コンディションに問題がないようだ。
 軽食だったので特に堪能するわけでもないが、クロワッサンにハッシュポテトを挟み込んで食べているミティアは今日も幸せそうだ。
 食べながら今日の予定を話す。ローズがいきなり本題を切り出した。
「フィリップスに着いたら、活動拠点はウチデス。宿代は掛からないけど、問題はここからデス。ひたすらに資金集めをしますヨ。入手済みの魔鉱石の効力のアップキット。船のベース。作業量。材料費。技術者をどこかで雇うことを考えると……」
 ローズは白衣の内ポケットから平たい板を取り出し、何かを打ち込んでいる。打ち込んで一瞬渋い顔をすると、テーブルに置いた。電卓だ。そして数字が撃ち込まれていた。
 ミティアが首を傾げながら数字を読み上げる。
「にせんまん、リース?」
 二千万という数字に一同パッとしない。
 一行の財布を握るのは竜次。ミティアに同じく首を傾げている。
「つまり、生活費を稼ぎながら、この資金も集めないといけないと?」
 お金を稼ぐという、旅において現実味のない課題だ。
 ジェフリーはお金の話に疎い。ゆえに、竜次をおちょくる発言をした。
「兄貴の手取りが、月、二十万くらいだよな」
「そこを突かれるとあなただって痛いでしょう、ジェフ?」
 ちょっとした兄弟いびりが始まったが、お金が絡むとどうにも笑いごとでは済まされない。この中でお金の稼ぎがあるのはコーディとローズだろうが、二人とも現金収入ではない。コーディはギルドのハンターという職業がある。本の印税はまだ先にならないと入らない。ローズも発明品の売れ行きなんかでお金が入るらしいが、これもコーディと似ている。
 悩ましい課題だ。
 キッドは竜次が資金管理をしていたのを思い出した。
「で、竜次さん、旅の資金、今はどれくらいありますか?」
「えぇっと、最近は節約志向ですからね」
 竜次が袋を取り出して数え始め、これに答える前に場が動いた。
 ミティアが思いついたと言わんばかりの声を上げる。
「あっ!!」
 ジェフリーの期待の眼差しが場の空気を盛り上げた。
「ど、どうした、いつものか!?」
 ミティアが皆の顔を見ながら頷いて答える。
「その資金と生活費を体で稼ぐのですねっ!!」
 真面目に言っているが、多分わかっている。狙っている。天然ではない。まるで喜劇でも繰り広げられているかのように、苦笑いと呆れが混ざった何とも言えない空気になってしまった。これがミティアの気質だ。
 ジェフリーは誰も指摘をしないので注意をする。
「ミティア、その言い方はちょっとまずいんじゃないか?」
「えっ、だってそうでしょ? みんなでいろんなギルドの依頼を受けて、頑張って稼ぐんじゃないの?」
「わかっているなら最初からそう言ってくれ……ん?」
 うっかり聞き流しそうになったが、ジェフリーは納得する。
「そうか。大きいものでなければだが、手分けすれば稼ぎも効率もいいな」
 一行は七人いる。ローズは作業に徹してもらうことを前提として、六人は動ける計算だ。
 コーディはジェフリーの意見に同調した。
「そっか。もうそれなら、個人でもギルドの登録をしてもいいかもしれないよね」
 コーディの提案にジェフリーは明るい反応をした。
「それって働きぶりで報酬アップとか、ボーナスはあるのか?」
「あんまり関係ないけど、功績を積めばそりゃあいい仕事回してもらえるかもしれないね。あと、勇者御一行様って変な通り名が付いたときは、やっぱり国の仕事とか来たじゃない? 名前による信頼ってある程度あるよね。この人ならこれくらい難しい仕事どうだろうとか……」
 コーディが提案をし、ジェフリーが質問をする。わざわざ説明をしてくれるのはありがたい。しかもわかりやすかった。
 名前の登録、報酬、依頼。まだまだ知らないことが多そうだ。
 竜次は話の流れに疑問を持った。
「でも、コーディちゃんの名前が一番売れっ子さんではないですか?」
 一番名前が知れ渡っているはずだし、すべてをコーディの名前で請け負えばいいのではないのだろうか。この質問に、コーディは右の人差し指を立て、首を横に振った。
「お兄ちゃん先生、お医者さんやるなら名前を売っといた方がいいんじゃない? 案外こういう積み重ねしておいた方が、将来、安定した収入になるかもしれないよ?」
「私は知っている人は知っているくらいの知名度でいいですよ。これ以上、有名になっては困りますし、拠点がフィリップスですからね。そういう売名行為が必要なのは、むしろジェフかもしれませんね」
 意図はわかったが、登録はジェフリーの名前がいいと譲った。フィリップスで竜次の名前が出回るのはお見合いの話があった直後だ。できれば目立ちたくはない。
「ま、ギルドの仕事なんて危険を伴う不安定な収入はできたら職にしてほしくないですけどね」
「兄貴が言うこともわからなくはないかな。短期間で稼ぐのは断然いいだろうけど、いい機会だから登録しようと思う。色んなことをやってみたいし」
 ジェフリーも前向きに考えている。どんなことなら自分にもできるか、興味を持った。
 明るい表情でいる者もいれば、そうでない者もいた。
 その指摘をキッドがする。
「あんた、やけにおとなしいわね」
「えっ、あ……」
 キッドが黙っているサキに声をかけた。サキは話を聞いていたが、考え込んでいた。
「僕はお師匠様のお使いやお手伝いでお小遣いもらっていたので、大金を稼ぐってイマイチぱっとしないんですよ。まだ十六歳になったばかりなので、どこも雇ってはもらえませんでしたし」
「賢いからすっかり忘れてたけど、あんたガキンチョだったっけ……」
 キッドにガキンチョと言われるも、若いのだから言い返すことも、否定もできない。何も間違っていないので、サキは考え込んでしまっている。言われて悔しいよりは、こればかりはどうしようもない。例外で、大魔導士試験だけは年齢の壁を越えたがその程度だ。
「世の中って思ったより厳しいですね……」
 急に世間の厳しさに挫かれた。魔法都市が異例だったのかもしれない。
「意外と独り立ちって大変なんだなぁ……」
 現実なんてこんなものだと言って片付けてしまうのは簡単だが、サキはまだ若いゆえに将来なんてぼんやりでよくわからなかった。お金を稼ぐのは難しい。
 サキは、自分はもしかしたらここにいる誰よりも生活力がないかもしれないと、危機を感じていた。眠たげな表情に加え、思い悩んでいる。まるでゾンビのようだ。
 コーディは付け加えて説明をした。
「まぁ何も、探索とか用心棒とか危険な仕事ばかりじゃないよ。お店でアルバイトも受けられるよ。お皿洗ったり、お客さんの注文聞いたり、掃除、見張り、とにかくいろいろだよ」
 働く内容を聞いてミティアが声を上げた。
「あ、わたしやりたいかも!!」
 やりたいかもではなく、やりたいと言う顔をしている。客受けはいいだろうが、彼女だけではリスクがありそうだ。変な勧誘に引っ掛かったりしなければいいのだけれど、そこまでの常識があるだろうか。
 何となくの方針が決まったところでちょうど乾燥機が止まる。アラームが鳴った。
 一同は下船までしばし支度に勤しんだ。

 フィリップスへは昼過ぎに到着した。整った街並みを見て、気持ちが引き締まる。相変わらず空は曇ったままで、寒さを感じる。キッドが一番寒そうだ。
 早速、別行動に入った。ジェフリーとコーディはギルドに。他の者はローズの家で片付けと掃除をするつもりでいた。だが、竜次がキッドを引き抜いた。提案と言うより、相談だ。
「あまりに寒そうなので、彼女に服を買ってもいいでしょうか?」
「ええええ!? あ、あたしは大丈夫ですって……」
「いけません。そんな寒い格好」
 デートの誘い出しにも思えたが、確かにキッドが一番寒そうな格好をしている。
 理由が理由なので、誰も反対しなかった。竜次とキッドは軽く手を振って別れる。
 歩きながらローズは家の鍵を弄っていた。ローズの家は三階建てと地下の大きな家だ。もともとはローズの母親が宿を経営していた。ベッドも多いし、大きな洗濯乾燥機もお風呂もある。
 これが王都と言う場所で持ち家となっているのがすごい。少しメインストリートからは外れているが、暮らして行くには贅沢なくらいだ。
 ローズが玄関先で立ち止まった。鍵を握り、首を傾げている。
「んン?」
 見上げると窓も開いていて明かりが点いている。ミティアの腕の中で、圭馬も不審がった。
「あれー、あのときは急いでいたけど、戸締りはちゃんとして行ったよね?」
 家中をひっくり返す勢いでトランスポーターを探し出した。だが、こんなに不用心であったかは別の話。明かりも点いて、窓も開いているなんておかしい。
 ミティアは意外と肝が据わっていた。
「ドロボーさんかも? わたしが追い払っちゃいますよ!」
「ミティアさん、怖いのでそういうこと言わないでください……」
 ただでさえ、空模様がよろしくないのに無駄に身震いしてしまう。サキはこういったイレギュラーが苦手らしい。
 ローズは小難しい顔をしながら、玄関のドアをノックする。
 コンコン!
 躊躇なしの行動に二人は驚いた。
 本当に泥棒が出て来ては困る。ミティアが柄に手を掛けた。
「はいはいはーい」
 家の中から声がした。ローズが傾げていた首を戻し、背筋を伸ばす。自分の家のはずなのに、変な気分なのだろうが遠慮しても話が進まない。
 中から解れまくって整わない青い髪に、少しやつれた男性が出て来た。無精ひげがある。どちらかと言うとおじさんだ。
 ローズとミティアが声を上げた。
「お、オニーチャン!?」
「ハーター先生!!」
 名前を呼ばれた男性はにっこりしながら手を振った。やけに陽気な人だ。彼の名前はハーター・ラシューブライン。ローズの兄だ。だが、なぜここにいるのだろうか。
「おぉっと、うしろの子は、今をときめく史上最年少の大魔導士クンかな?」
 サキのことも知っているようだ。サキは軽く一礼した。
「えっと、どうも」
 ハーターは扉を全開させ、手招きをする。
「外寒いっしょ? これから雪が降るかもってご近所さんが言ってたから中入って。ささっ!」
 気さくで話しやすさがうかがえる。加えて陽気な人なので場の空気が明るくなった。
 三人と二匹が中へ入ると、換気がよくされて空気がよどんでいなかった。家の中に埃が積もっていない。カウンター前のテーブルの上には、どこかで見たことのあるチーズケーキがホールで置いてある。
 ハーターは全員が家の中に入ったのを確認して言う。
「いやさぁ、帰ってきたら小綺麗になっていたから驚いたよ」
 ハーターは驚いたと言っていたが、ほとんど廃屋のような状況だったこの家を知っていたようだ。ローズは違う点で憤慨していた。
「驚いたのはコッチの方デス。先生を辞めて、何年も連絡よこさないで勝手デス」
「ゴメンゴメン。技術者って言うのは引っ張りだこなんだよ。稼がないわけにはいかないからねぇ」
 ハーターはローズの不満を受け流し、小皿を三枚とフォークを差し出した。
 ローズは呆れながら、一応注意をする。
「あ、オニーチャン、ワタシたち、七人デス」
「そうか。じゃあ、お茶の準備もしないといけないね。もう一つチーズケーキを買っておけばよかった。エビマヨとピザも買ってあるんだけど、食べるよね?」
 変に生活慣れしている。少なくとも数日は滞在している様子だ。食器を出すのも、レンジで温めるのも手慣れている。客人をもてなすというよりは、家族が帰ってきたから適当に食事を出す感覚に似ている。ハーターは冷蔵庫を除きながら、足元を気にかけた。
「猫ちゃんたちも食べるかい?」
 ハーターは聞きながら、すでに小皿にツナ缶と葉野菜を盛り付けている。圭馬とショコラが初対面なので警戒をしていた。学校の先生だったと言うのだから、世話好きなのも納得がいく。
 圭馬とショコラはローズを見上げている。サキはハーターを不審がっていたからだ。
「心配しなくても、オニーチャンが変なことをするはずはないので大丈夫デスヨ?」
「のぉん……」
 二匹とも小皿に顔を埋めた。ここまで不思議なのは、ハーターは突然客を連れて帰って来た妹に何も質問をしない。
 玄関のドアが開く。少し温まった空気が外からの空気と混ざった。
「ただい、ん?」
 ジェフリーとコーディだ。ジェフリーは面識がある。ひっくり返りそうだった。
「ハーター先生!? どうしてここに?」
「お、セーノルズ家の次男坊、切込み包丁くん!」
 ニュアンスがおかしいが、親しい間柄なのはこれだけで誰もが把握できた。それはそうと、自己紹介をしていないし、これではまるでローズがお客さんを連れて来るのをわかっていたような振る舞いだ。チーズケーキが一番おかしい。
 サキはずっと疑いの目を向けていた。空気を悪くしないように、話すタイミングをうかがっているようにも思える。
 コーディが輝いた眼差しでハーターを見上げていた。
「そのおじさんはローズの知り合い?」
「オニーチャンデス。学校の教師やってましたヨ?」
「おぉ、マジな先生じゃん」
 ハーターは手を振って眩しい笑顔を見せた。なぜか竜次の営業スマイルより嫌らしさがなく、とても自然に接している。
 ジェフリーはローズに説明を求めた。
「博士、どういうことなんだ?」
 その頃合いでまたドアが開く。今度は竜次とキッドだ。ジェフリーたちとほとんど時間差がないので、本当に服を買いに行っただけのようだ。竜次は大きな紙袋を持っている。

 全員で足並みが揃ったところで、お茶とピザ、フライドポテトとエビマヨが並ぶテーブルを囲んだ。まずは散らかってしまった話をまとめるところからだ。
 まずはハーターの自己紹介からだ。
「あらためまして、こんばんは。ほとんどの人が初めましてだね。ぼくはハーター・ラシューブライン。マーチンの剣術学校で教師をしていた経験があるよ。ミティアちゃんと切込み包丁くんは知っているよね」
「な、なぁ先生、切込み包丁って呼ぶのはもうやめてくれないか?」
 いきなりジェフリーが訴えを起こす。恥ずかしい呼ばれ方だ。ハーターはそれに関しては応答もなく、にこにこと笑っている。
 和やかな空気だが、サキが遂に痺れを切らした。
「こちらからお邪魔してしまったのは申し訳ないのですが、いきなりの訪問でこれだけのおもてなしなんて、用意がいいと思うのですが?」
 ハーターは、疑いはないと言わんばかりに、両手を広げてひらひらとさせている。
「おぉ、大魔導士君と頭脳勝負か。これは楽しいね。君はどこで疑いを持ったのか、教えてくれるかな?」
 仕草がローズに似ているので、兄妹というのは間違いなさそうだ。
 サキは疑ってはいたが、あまりにもハーターが堂々としていたので自信をなくしてしまった。
「うーん、チーズケーキかな?」
「ここに来るのはローズだけかと思っていたから。チーズケーキ、もっと大きいの食べたかったよね。申し訳ない」
 少なくともここに来ることは予想していたようだ。サキはあることに気が付いた。
「とんだ見当違いをしていたみたいですね。そう言えば僕たちって有名人でしたし、僕が大魔導士であることを知っていた。ギルドの関係者さんですか?」
「ご名答。見事な推測だね。満点をあげたい」
 教師らしい頷き方だ。優等生でも相手にしているかのような物言いだ。
 ハーターはやっと素性を話した。
「ぼくは教師を離れてから、全国のギルドのシステムや商人が扱う馬車のメンテナンスまで、幅広く世の中の裏側を支えていたんだよ。縁の下の力持ちをしていたってことさ」
 ギルドの関係者ともなれば、こちらの行動も知っていただろう。
 ローズが顔をしかめた。
「オニーチャンがそんな技術をデス?」
「そうだよ。剣術学校でアナログな紙の媒体で頑張り続けるのは効率が悪いと学んだんだ。それで、ギルドのネットワークを早くて、更新にラグが起きないようにしたよ。大変だったんだからね? 頑張ったから少しは情報が早いだろう?」
「う、うーん、そう言えば、前は一日かかっていた更新が半日程度になったような気はしますケド……」
 ローズを凌ぐ頭も技術も持っている。ハーターは話の蚊帳の外だと思って油断していた、竜次とキッドにも声をかけた。
「沙蘭の剣神さん。いやぁ、短期で剣術学校に来たとき、ぼくが担当だったら、今ここで自慢できたのに残念だ。そちらのお嬢さんは近年、まれに見るノイズさんで間違いないかな? もちろんどこかに売り飛ばしたりしないから、こういうところは安心してほしい」
 あまりに一方的過ぎる。だが、悪い印象は抱かない。竜次は表立っては言っていないが、覚えてくれていたのが素直にうれしい。
 ハーターはコーディにも目を向ける。
「いやぁ、本読んだよ。あとでサインしてもらえないかな?」
 もちろんコーディの情報も抜かりない。リサーチは完璧だ。
 ハーターは腕を組んで考え込んでいる。一同の顔を順に見て行き、最後にローズに問いかけた。
「ぼくが何か手伝えることはあるかい?」
「お、オニーチャン? な、何デス? このできすぎなお助けキャラ……」
「や、ないならギルドの工作員とのドンパチに付き合うまでだ」 
「ドンパチ?」
 初めてハーターの口から温厚ではない言葉が発せられた。仕事の話だろうが、まだ宙に浮いた話のようだ。
「いるんだよなぁ、情報を操作する人が。ギルドの依頼や噂話、ニュースなんかを情報操作する、しぶとい人がいてね。偽の情報を出回らせたら困るだろう? 治安が乱れるのは許せない。ぼくに来てる仕事だから、何も協力することがなければこれを遂行するまでさ?」
 教師らしい一面だ。正義感が強く、ジェフリーの持つ思想と類似している。
「嘘をばらまいて誰かを傷付けるのは許せないだろう?」
「オニーチャン、念の為聞いておいてイイデス? その情報の操作って、もしかして」
「あんまり言いたくはないけど、セーノルズご兄弟のパパさんと、その付き人の『工作員』だよ」
 核心を持って言えるのは、ハーターは表の世界を知る者だ。ケーシスが絡んでいるとは予想がついたが、そうなると『工作員』は壱子を指す。
 父親であるケーシスの話になり、ジェフリーは嫌な予感がした。
「先生は詳しく話さなくても、ある程度は俺たちに近いのはわかった。わかった上で言うが、親父は必死で今を伝えようとしているはずなんだが?」
 ケーシスの話になると、どうも他人事ではない。それは、応援したい気持ちがあったからだ。特に、ジェフリーはケーシスに親子以上の恩がある。ハーターがしている仕事の内容から、話してくれないかもしれない。それを承知の上で質問をする。
「答えてくれないかもしれないけど、親父はどんな情報を流しているかを知りたい」
 ハーターは高い天井を仰いだ。答えるのを迷っているようだ。ギルド中でも裏情報だ。ただ、自身でも疑問に思っていることはありそうだ。
「じゃあ、一つだけ質問に答えてくれないかい? それで決めよう」
 ハーターは首を戻し、無精ひげを弄り始めた。
「もうすぐ世界は滅ぶかもしれないって言われて、信じるかい?」
 皆も真剣な顔になった。誰が答えるかで視線が泳いでいる。この行動だけで、ハーターは決断した。
「オーケー。答えは要らないようだ。顔を見ればわかるよ。ぼくはこの仕事を引き受けずに、キミたちに協力した方がよさそうだね」
 勝手に納得している。察しがいいのは、教師としてのステイタスが活きているのだろうか。詳しく話さないで済むのはいいのだが、あまりにもスムーズかもしれない。
 キッドがもう一人の先生を見ながら言う。
「な、何も詳しいことを話してないのに、びっくりするくらい察しがいいわね、この先生……」
 もう一人の先生、竜次も、悩ましげに首を傾げてはいる。ハーターの人間としてのスペックが自分とは違うことには気付いている。
「いえね、どのことに関して滅ぶと指しているのかがわかりませんけれど、心当たりは一つや二つではないので、ねぇ?」
 竜次が大きなヒントを漏洩してしまったような気がするが、中身までは触れていないのでセーフかもしれない。迂闊と指摘してしまえば、間違いではないかもしれないけれど、今はその話ではない。
「動物が人を襲うのも、幻惑が流行っていることもその過程でしかないとぼくは思う。でも、ケーシスさんがどうしても主張したいのは、現実離れしすぎているけど、天空都市が落ちる可能性があるってばら撒きたいらしい。これに心当たりはあるかな?」
 天空都市と聞いて、ローズとミティアがピクリと反応してしまった。これだけでもう答えになっている。ハーターが大きく息を吐いた。
「なるほど。すべてが狂言ではないんだね。ぼくもまだまだ学ぶことが多い」
 腕を組んで小さく唸った。まだ何か考えながら歩き、家を出ようとしている。
 ローズは声をかけた。
「オニーチャン?」
「よし、ぼくはギルドに行って仕事を断ろうと思う。帰りに追加でケーキを買って来るよ」
 ハーターは解れた髪をきゅっと縛り、茶色いコートを羽織った。腰の帯に懐刀が見える。剣術学校の先生と言っていたが、ある程度は危険の回避も身に付いているようだ。
 イレギュラーだが、最初から頼もしい。
「ごゆっくり。と、言うかぼくがお邪魔したみたいになっちゃったけど。お腹空いているだろうから、くつろいで待っていてね。ん、じゃ!」
 ハーターは玄関のドアを開けて出て行った。さっきよりも冷気が強い。暖まった空気がまたも混ぜられた。
 皆は緊張を解いた。緊張する必要があったのかは疑問に思う。
 ミティアが即フライドポテトに手を付け始めた。カリカリと小動物のように食べる姿に癒されながら、サキも苦笑いする。
「驚いた、ハーター先生がここにいたんだもの」
「ね、ミティアさん、ドロボーかと疑っていましたもんね」
 怪しい人ではないのかと、疑っていたのはサキもそうだった。
 お腹いっぱい葉野菜をもらった圭馬がやけにご機嫌だ。好印象を抱いている様子だが、話はきちんと聞いていた。
「人を疑うのは悪いことじゃないけどね。初対面であれだけの情報を開示してくれたんだ。どちらかと言うと、こちら側の人じゃないかな?」
 悪い人ではないと考えているらしく、仲良くなるようにフォローしている。
「物知りみたいだったよね。学校の先生って言うくらいなんだから、人徳はここの誰よりもあるのかもしれない。長い年月、人間と接しているせいかもしれないけど、アリューン神族の混血なのに、ローズちゃんとはまた違った意味で珍しいかもね」
 人に干渉しない、秘密主義に近いアリューン神族だ。混血だが、素性も持っている情報も開示してくれた。ハーター自身についてはまだ知らない点はあるが、悪い印象ではなかった。
 悪い印象を抱かなかった主な理由は、ここにいる人について触れているせいもある。
 竜次は特に驚いていた様子だった。
「しかし、私が短期で剣術学校に通っていたことまで覚えているなんて、生徒さんに熱心な指導をされていたのでしょうね。私はあの先生をまったく覚えていませんけど」
「兄貴って短期で通っていたこと、あったのか?」
「社会勉強で半年くらいです。ジェフのクラスはそもそも野外授業ばかりなのですから、いちいち在校生なんて覚えていませんでしょう?」
 知っていたら蘭楽をくれたのかとも思ったが、打ち込んでいたジェフリーにそんな余裕があったとは思えない。少し考えればわかることだった。
 キッドがジェフリーをからかう要素を見付けた。嫌らしくねちっこい笑みを浮かべている。
「ねぇ、あんたが呼ばれてた『切込み包丁』って何なの? あたしもそう呼ぼうかしら」
 キッドにからかわれ、ジェフリーは黙った。
 コーディもその呼び方が気になるようだ。
「切込み隊長ならわかるけど、包丁って調理器具だよね?」
 それでもジェフリーは黙り続けた。話したくないようだ。
 ミティアも少しは疑うことを覚えたようだ。
「先生が協力してくれるなら心強いけど、なんかうまく行き過ぎているような気もしなくはないかも? でも、先生は絶対に悪い人じゃないから、巻き込んだら心配だよ」
 ジェフリーはそれよりも別のことが気になっていた。
 マーチンが壊滅した際に再建を手伝ったのは、おそらくハーターで間違いない。一瞬だけだったが森に行く際にアイラと見ていた。どこまで話したらいいのかと悩んだが、行き着いた答えはこれだった。
「偶然でも必然でもない。この巡り合わせも他人では済まない……」
 ジェフリーが放つ重い言葉。この答えを辿るにはまだ早いが、何かに、誰かに仕組まれたのならばそれでもかまわない。
 竜次は深く頷いた。コーディが加わって以来、このフレーズは久しい。
「まぁ、そんな予感はしていましたけど、そうかもしれませんよね」
 しばらく疎遠だったからこそ警戒してしまったが、思えばここにいる皆が出会った頃はどうだったのかを思い出すと、こんな警戒があったのかは怪しい。部分的、もしくは進むべき道が一致していたから手を組んだ。それが、今はかけがえのない仲間になっている。

 ローズがお茶を一気飲みして立ち上がる。ハーターを仲間として招き入れるのなら、それなりの準備をしなくては。
「さて、そうと決まれば、オニーチャンと地下で寝ますヨ。寝床を移動しておかないとデス……」
 ベッドを離すと言い出した。だが、男性陣が揃って首を振る。
「俺は先生と話す機会があるのうれしいくらいだぞ」
「私も反対しません。むしろ、違う先生って興味があります。ローズさんのお兄様でしたら、じっくりお話してみたい」
 少なくとも兄弟はそうだろうと予想できた。だが、一瞬は疑いの目を持っていたサキも同意見のようだ。
「あの、僕は旅の目的の他に社会的なことや、人間性を学びたいと思ったのですが、そういうのは教えてもらえないでしょうか?」
 兄弟とはまた違った理由だが、サキは大真面目に言っている。皆、驚いていた。サキは魔法学校を飛び級し、首席で卒業をした。だが、一行の一員として協力するにあたり、優等生としてはどうも実践に弱い。
 向上心は評価したいが、サキはどこまで成長したいのだろうか。
 ミティアがまったく違う心配をした。
「先生が二人になっちゃうね」
 先生という単語に、ローズが反応をする。
「振るう機会がなかったケド、ワタシも一応地理の先生免許持ってるデス。オニーチャンは数字に強かった気がしますネ」
「わ、じゃあ、先生が三人なんだ……」
 ローズが慌てて話題を戻した。
「フム、んじゃ、オニーチャンを仲間として招いても大丈夫デス?」
 問題はそこだ。誰か反対するのだろうか。
 キッドが皆に向けて確認を取る。
「誰か反対っている?」
 反対意見はなかった。答えは一致した。
 ジェフリーは楽観的な考えだ。
「戦力より、技術者を求めていたなら博士も助かるんじゃないのか?」
「まー……そうなりますネ。問題はどこまで知っているかでしょうケド」
「ギルドの情報屋なら邪神龍や世界の生贄くらいまでは知ってそうだよな。先生が危ないんじゃないかって疑うくらいだけど、先生は強いし。襲われることはないか」
「デスネ。いきなりは難しいかもしれませんケド。オニーチャンと仲良くしてあげてくださいネ。何かあったら言ってくださいデス」
 立ち上がったままだったので、ローズがそのまま頭を下げた。結束の強いこの中にハーターが馴染めるのかという課題はある。

「ふぇぇぇぇぇぇぇーっ!!」

 玄関のドアがまた開いた。室内に冷気が混ざり込んだ。意識していなかったが、実はかなり話し込んでいたようだ。話に夢中で時間が経っていたと気が付かなかった。ハーターが羽織っている茶色いコートに白いものが積もっている。
 ハーターはドアに施錠をすると、身を震わせながら振り返った。手に大きな箱を二つ持っている。
「ただいま。雪が降っているから、窓を閉めて暖炉に火を入れよう。今夜は冷え込みそうだ」
 上の階の窓が開いていた。ローズが立っているので、ちょうどいいと閉めに行く。入れ違いでハーターがテーブルに箱を置いた。
 箱の一つはチーズケーキだ。同じ箱であるがまだ温かい。もう一つは平たい箱はピザだった。チーズがたっぷり乗っていてバジルのソースが滲んでいる。
「さぁ、冷めないうちにやってくれ。って、置いて行ったものも手を付けていないのかい? 温め直すよーっ」
 ハーターはコートを脱いでまずは暖炉に火の点いたマッチを投げ込んだ。チリチリと木片から火が上がる。

 暖かい食卓を囲みながら、ハーターが質問に大人気だ。仕事は断って来たが、呼ばれれば対応に出る程度らしい。彼自身がギルドの賞金ハンターというわけではないが、ある程度は野外授業も見ていたので探索などには付き合えると言って来た。
 今までの協力者は一緒に食事をする機会もなかったので、加わって近しい位置で色々話してくれるのはありがたい。
 ハーターは驚いていた。
「ひょっとして、ぼくって人気者かな?」
 警戒心が解かれた一行とはすぐに打ち解けられた。会話が弾むので、食べているのはほぼミティアだけだ。大食いというわけではないのでちびちびと摘まんでいる程度だが。
 コーディが早速愛称で呼んでいる。
「ハーちゃんって女性のタイプはある?」
 確かに『ハーター』は呼びづらい。
「んー、ぼくは若い子より、熟れた人が好きなのさ。スナックのママさんに甘やかされたいねぇ」
 それなりに女遊びも慣れていそうだ。少なくともここにいる女性陣には手を出さないだろう。少し変わった趣味をしている。
「うん。ハッキリ言っておくけど、熟女大好き。まだまだ結婚しないけど」
 ハーターは自分のストライクゾーンを暴露した。この陽気なおじさんキャラクターで熟女が好きと言う。もしかしたら普通かもしれない。
 ジェフリーは、自分も年老いたらこういう好みを持ったりするのだろうかと思った。自分の趣向を包み隠さず言える度胸に尊敬する。
 ハーターは皆に問う。
「それで、本題なんだけど、ぼくは何を協力すればいい? キミたちがここに来た理由はあるだろう?」
 ゆったりとした口調で一同に訊ねた。逆に、何から触れたらいいだろうか。
 ジェフっリーは漠然ながら、要点だけを言う。
「大きくやることは二つ、天空都市に喧嘩を売りに行く。そのための資金を集めるってところだ。今は後者が主軸、先生は無理してこの話に乗らなくてもいいと思うけど」
「あぁ、ジェフったら……」
「別に隠すこともないだろう?」
 言うだけ言って開き直る。もう少し小出しに詳しく説明するべきだと竜次は考えていた。案の定ハーターは眉間にシワを寄せて考え込んでいる。今まで生きて来た中で幾度となく考えることはあっただろう。そのせいか、シワが深い。
「うーーーーーーーーーむ……」
 これは多分ジェフリーの言い方がまずかったのだと思う。何に頭を悩ませているのかと言うと。
「もしかして、ジェット機かロケットでも作るのかな?」 
 ハーターの勘は鋭かった。ニアピン賞と言ってもいいくらいだ。渋い表情を緩めることなく続ける。
「さっき天空都市に喧嘩を売るって言ってたよね。と、言うことは、空飛ぶモノを造りたい。それには金も技術も必要。これであっているかい?」
 完璧な情報整理だった。思わずサキが小さく拍手している。
「ジェフリーさんの雑な説明でわかるなんて」
「雑って何だよ」
 噛み付きそうな勢いでサキに指摘を入れているジェフリー。どうしようもない喧嘩が始まりそうだった。だが、その横でローズが設計図の束を出した。ハーターが出された紙の束を捲って見ている。
「製図にしては雑だね」
「うぐぐ……」
「でもこれは面白そうだ。ぼくも噛ませてほしい」
「お、オニーチャン!?」
 ハーターは自分から乗っかると言って来た。資金稼ぎに触れるのはこれから。
 皆の前でハーターが予算について指摘をする。
 空いたピザの箱の裏に鉛筆でメモをした。
「この潜水機能と自動運転は要らないよね。マイナス」
「はぁうッ!」
 鬼才かと思っていたローズの技術がボロカスに言われている。
「こんな額、どんなに頑張っても一か月以上かかってしまうよ。今ギルドに出ている最大報酬の仕事が三百万リースだ。もっと予算を詰めないと。現地に行って仕入れた方が安いんだから材料費、二十パーセントはカット。技術者を雇うお金三百万リース。これはぼくがいるからいらないね。これもカットだ」
 ローズが深く項垂れ、凹んでいる。言われている内容は予算の削減なので、実はいい話である。
「これは追々かな。計算のし直しが必要だけど、最終的には必要な予算は半分近くになると思うよ」
 ぱたりとテーブルに紙束を伏せると、ハーターと圭馬の目が合った。
「やあ。ボクは圭馬。召喚幻獣って知ってる?」
 圭馬はフサフサの尻尾を揺らしながら反応を窺っている。ハーターからしゃがんで手を伸ばした。
「ほぉ、これは驚いた。喋るのか。魔法かな?」
「そうだよ。ボクもハーちゃんって呼んでいい?」
「もちろんだよ、圭馬クン!!」
 ハーターは指先を鼻に突き出した。ずいぶんと慣れているので圭馬からおでこを潜らせる。
「あっれー? あんまり驚いてないね?」
「そんなことはないよ。ただ、本でしか見たことがないから、実際いるなんて思ってもいなかった。昔はキミのような子がたくさん満ち溢れていたんだっけ?」
「そうだよ。ハーちゃん詳しいね」
「だって、ぼくが集めた本に中に幻獣さんが書いた本があるからね。この家の地下にもあったと思うけど」
 圭馬が手から逃れ、ハッと耳を立てた。危うくデレデレしそうだった。そしてハーターが言っていた本に関して嫌な予感がして背後を振り返った。
 シマシマの尻尾を揺らしながら首を傾げるショコラの姿。うれしいのか、笑っているようにも思える。
「そう言えばそんな本があったのぉん。わしはショコラじゃよぉ。ハーさぁん」
「えぇーっと、もしかして、ショコラ・マーリュージュ?」
「にゃにゃにゃ?」
 ショコラが抱っこされ、じたばたとしている。
「初対面の抱っこは嫌なのぉん」
「こりゃびっくりした。これは偶然なのか!? なんかすごいことになって来たぞ。仕事なんてしていられないじゃないかっ!! こんなにワクワクするのは久しぶりだ」
 若かりし頃は、冒険をしていたかのような言動だ。子どもっぽさが垣間見えた。男は誰しもこういう時期があったのかもしれない。

 ひょんな出会いから協力者となった、ハーター・ラシューブライン。
 現時点では一行の味方。
 これからどんな活躍をするのだろうか。この一行に何をもたらすのだろうか。
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