トレジャーキッズ

著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ

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【7】くずれゆくもの

封じられたカルマ

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 いつもはいずれ崩れる。
 現実と空想の間。
 今だって、これからだって、人は生きている限り、理不尽に遭遇する。
 乗り越えたいとき、そこにあなたが信じられる人はいますか。
 何でもない話を聞いてくれる人はいますか。

 立ち上がれなくなったときは、どうしたらいいですか。

 絶望に打ちひしがれてしまったとき、どうしたらいいですか。
 何を信じて、何に縋って生きて行けばいいですか。

 死にたいと思ったとき、誰かに話してください。
 百人に話したら、一人くらいは話を聞いてくれる人が見つかります。
 助けてほしかったら、声を出すのです。
 偽名だって、本名だって、信頼できるようになったら話せばいいです。

 でも、その悩みを誰かに打ち明けて、聞いてくれる人が、優しいと思い込むのは少し待ってください。

 あなたを悪用しようとする人も中にはいます。
 甘い言葉で誘って、騙すかもしれません。

 生きるのは難しいです。
 あなたの当たり前は、他人にとって当たり前ではない場合もあります。
 
 生きる環境だってそうです。
 両親がいない人だっています。大切な人を亡くして生きている人もいます。
 もしかしたら、あなたと親しくなった人は意外と昔、近所にいた人かもしれません。

 世の中には無数の可能性があります。
 わたしはあなたと同じ学校にいたかもしれない。
 同級生だったかもしれない。
 恥ずかしいことを知っているかもしれない。

 世界は広いようで狭い。
 でも太陽は一つしかない。生きる世界も一つしかない。

 きっと、どこかで誰もが他人ではない生活をしている。
 人知れず誰かが生まれ、誰かが死ぬこともある。
 生きた者は何かを残そうとする。
 生きた証を求めて。
 何かを得たくて、充実した人生だったと、大の字になって笑って最期を迎えたい。
 生きる道を誤ってしまっても、人間だから問題はそのあと。
 こんなこともあった。あんなこともあった。

 いつか、笑って話せる日が来ると信じている。

 明日を生きたい人が死に、死にたいと思った者が明日を生きる。

 まだ、終わるには早すぎる。


「そうでしょう、ケーシスさん?」
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