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3つの星
3つの星③
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重い体で再び起き上がり玄関へ向かった。その間にインターホンの音が2回鳴った。
覗き穴を見ようとした途端、ドアが開いた。バランスを崩しかけ咄嗟にドアノブを掴むと相手と目が合った。
「瑠香さん…」
つりあがった目尻、機嫌の悪い口元。外したサングラスを片手にぶら下げて瑠香が立っている。
「どういうつもりなの?」
「すいません、また寝てたみたいで。いま何時ですか」
拓人が聞くと瑠香は携帯電話の画面を突き付けた。20:07の表示を見て拓人は頭を爪で静かに掻いた。
瑠香は拓人を押しのけるようにして玄関に入り靴を脱ぐと奥の部屋へと進んだ。拓人は唖然とし、ゆっくりとドアを閉めた。
部屋にいくと瑠香が腕組をして不機嫌そうに立っていた。
「ねえ、嫌がらせ?酔って倒れて勝手に帰って、こっちは待ってんのに吞気に寝てさ」
「すいません」
拓人は頭痛がひどくなるのを感じた。
「謝ってばっかなのもムカつくんだけど!」
そう言われると言葉が浮かばない。瑠香は暫く睨みつけた後、ソファに座った。
「なんか飲みますか?」
目を逸らす瑠香の態度に溜め息を漏らしそうになる。台所へ行き冷蔵庫を開けてちらりと瑠香を見た。まだベランダの方を向いている。先にミネラルウォーターをがぶ飲みし、買い置きしていた缶のアイスコーヒーを手に取った。部屋に戻りソファ前のテーブルに缶を置いた。
「コーヒーよかったらどうぞ」
返事はなく、空気を紛らわすためテレビの電源を入れた。するとまたしてもインターホンが鳴った。誰か来る予定はないが、今はどんな訪問者でも少しありがたく感じる。
覗き穴から外を見ると大きなリュックを背負った配達員らしき人物が立っていた。ドアを開けると挨拶をし、白いビニール袋に入った商品らしきものを当然のように差し出してきた。
「あの、頼んでないんですけど」
配達員は部屋番号のプレートを見上げて確認すると「決済されてるんで」と言い立ち去った。
しかし、考えてみればこんな唐突なことをするのは1人しかいない。瑠香だ。
部屋に戻りテーブルに袋を置いた。
「これ、瑠香さんのですか?」
「そうだけど。拓人のはないから」
「それはいいんですけど…」
居心地が悪く、拓人は台所でカップラーメンを作ることにした。湯を沸かす間に携帯で明日からのスケジュールを確認した。あと数時間で日付が変わろうとしているというのに心も体も全く休息が足りない。
湯を注いだカップを持ってテレビの前に座った。瑠香は携帯片手に大きなカップのサラダを食べている。テレビ番組の音声だけが部屋に響くなか、拓人は何を言えば瑠香が納得して帰るのか考えを巡らせた。帰らせようとしている雰囲気を察すれば長引いてしまう。ここは慎重に、かつ自然な感じで場を収めなければならない。
覗き穴を見ようとした途端、ドアが開いた。バランスを崩しかけ咄嗟にドアノブを掴むと相手と目が合った。
「瑠香さん…」
つりあがった目尻、機嫌の悪い口元。外したサングラスを片手にぶら下げて瑠香が立っている。
「どういうつもりなの?」
「すいません、また寝てたみたいで。いま何時ですか」
拓人が聞くと瑠香は携帯電話の画面を突き付けた。20:07の表示を見て拓人は頭を爪で静かに掻いた。
瑠香は拓人を押しのけるようにして玄関に入り靴を脱ぐと奥の部屋へと進んだ。拓人は唖然とし、ゆっくりとドアを閉めた。
部屋にいくと瑠香が腕組をして不機嫌そうに立っていた。
「ねえ、嫌がらせ?酔って倒れて勝手に帰って、こっちは待ってんのに吞気に寝てさ」
「すいません」
拓人は頭痛がひどくなるのを感じた。
「謝ってばっかなのもムカつくんだけど!」
そう言われると言葉が浮かばない。瑠香は暫く睨みつけた後、ソファに座った。
「なんか飲みますか?」
目を逸らす瑠香の態度に溜め息を漏らしそうになる。台所へ行き冷蔵庫を開けてちらりと瑠香を見た。まだベランダの方を向いている。先にミネラルウォーターをがぶ飲みし、買い置きしていた缶のアイスコーヒーを手に取った。部屋に戻りソファ前のテーブルに缶を置いた。
「コーヒーよかったらどうぞ」
返事はなく、空気を紛らわすためテレビの電源を入れた。するとまたしてもインターホンが鳴った。誰か来る予定はないが、今はどんな訪問者でも少しありがたく感じる。
覗き穴から外を見ると大きなリュックを背負った配達員らしき人物が立っていた。ドアを開けると挨拶をし、白いビニール袋に入った商品らしきものを当然のように差し出してきた。
「あの、頼んでないんですけど」
配達員は部屋番号のプレートを見上げて確認すると「決済されてるんで」と言い立ち去った。
しかし、考えてみればこんな唐突なことをするのは1人しかいない。瑠香だ。
部屋に戻りテーブルに袋を置いた。
「これ、瑠香さんのですか?」
「そうだけど。拓人のはないから」
「それはいいんですけど…」
居心地が悪く、拓人は台所でカップラーメンを作ることにした。湯を沸かす間に携帯で明日からのスケジュールを確認した。あと数時間で日付が変わろうとしているというのに心も体も全く休息が足りない。
湯を注いだカップを持ってテレビの前に座った。瑠香は携帯片手に大きなカップのサラダを食べている。テレビ番組の音声だけが部屋に響くなか、拓人は何を言えば瑠香が納得して帰るのか考えを巡らせた。帰らせようとしている雰囲気を察すれば長引いてしまう。ここは慎重に、かつ自然な感じで場を収めなければならない。
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