260 / 267
第四章
第二百五十九話
しおりを挟む
J.J.ありがとう。J.J.にとってもきっとちょうど良い友人だったよね。と言い聞かせるも水樹の胸はチクっと痛くて、今日は家に帰りたくない気分になっていく。
帰路の途中は電車のモーター音をBGMにして、目を閉じて沈んでしまった気持ちをなだめた。そして水樹は卒業してからも通い続けた学校近くの神社に寄り道をして、そこで今日も力を貰おうと思った。実は水樹は明人の息が聞こえるこの神社に、ふられた後も姿を探しにフラフラとお参りに来ては、いつもここで泣いていたのだった。
当然一度も明人はいなかったしいたとしても困っただろう。そして、この世のどこかで生きているなんて信じらないと水樹の気持ちは破裂してしまいとうとう叫んだ。
いい加減もう嫌だ。
いつになったら私は許されるの?
あなたの夢だってずっと見てしまう。
ねえ。いくつの夜を超えたら、あなたを消し去る事が出来るの?ねえ明人っ・・・。
あなたを思い出になんてできないっ・・・。明人っ・・・。
今日のせいで感情的になっている。それから石段に座りお守りの袋を開け、中からいつか明人に貰ったおもちゃの指輪を取り出して薬指にはめた。これは水樹が暴走しない為のお守りなのだ。
嘘つきだよね・・・。
ばかっ・・・。
ずっと一緒なんて簡単に言わないでよっ・・・。
駄目だね神様。ごめんなさい神様。頑張って一人で生きたけど、仕事もちゃんとやってるけど、私は何も変われなかった・・・。もう忘れたいっ・・・。
そして人の気配で水樹は我に返り、はっ、あっ・・・えっ・・・と呆然と見つめた。
その姿がどんなに年をとって変わろうとも、水樹は一瞬でとらえる事が出来る。でもあんなに会いたいと強く想いを募らせていたのに、今は固まって瞬きすらも出来なかった。
帰路の途中は電車のモーター音をBGMにして、目を閉じて沈んでしまった気持ちをなだめた。そして水樹は卒業してからも通い続けた学校近くの神社に寄り道をして、そこで今日も力を貰おうと思った。実は水樹は明人の息が聞こえるこの神社に、ふられた後も姿を探しにフラフラとお参りに来ては、いつもここで泣いていたのだった。
当然一度も明人はいなかったしいたとしても困っただろう。そして、この世のどこかで生きているなんて信じらないと水樹の気持ちは破裂してしまいとうとう叫んだ。
いい加減もう嫌だ。
いつになったら私は許されるの?
あなたの夢だってずっと見てしまう。
ねえ。いくつの夜を超えたら、あなたを消し去る事が出来るの?ねえ明人っ・・・。
あなたを思い出になんてできないっ・・・。明人っ・・・。
今日のせいで感情的になっている。それから石段に座りお守りの袋を開け、中からいつか明人に貰ったおもちゃの指輪を取り出して薬指にはめた。これは水樹が暴走しない為のお守りなのだ。
嘘つきだよね・・・。
ばかっ・・・。
ずっと一緒なんて簡単に言わないでよっ・・・。
駄目だね神様。ごめんなさい神様。頑張って一人で生きたけど、仕事もちゃんとやってるけど、私は何も変われなかった・・・。もう忘れたいっ・・・。
そして人の気配で水樹は我に返り、はっ、あっ・・・えっ・・・と呆然と見つめた。
その姿がどんなに年をとって変わろうとも、水樹は一瞬でとらえる事が出来る。でもあんなに会いたいと強く想いを募らせていたのに、今は固まって瞬きすらも出来なかった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説




隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
燦歌を乗せて
河島アドミ
青春
「燦歌彩月第六作――」その先の言葉は夜に消える。
久慈家の名家である天才画家・久慈色助は大学にも通わず怠惰な毎日をダラダラと過ごす。ある日、久慈家を勘当されホームレス生活がスタートすると、心を奪われる被写体・田中ゆかりに出会う。
第六作を描く。そう心に誓った色助は、己の未熟とホームレス生活を満喫しながら作品へ向き合っていく。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる