おもいでにかわるまで

名波美奈

文字の大きさ
上 下
245 / 267
第四章

第二百四十四話

しおりを挟む
「失礼します。」

少し呼吸を整えてノックしてから入室した。

「こんにちは先生。特別な用事はないんですけど、お喋りしに来ました。」

「嬉しいよ。立花コーヒー飲む?」

「私いれますね。」

「いよいよ明後日だねー卒業式。立花はハカマ?振り袖?」

「はい。振り袖は成人式の時に着たので、はかまをレンタルしました。」

「立花はタッパがあるから似合うと思うよ。クラス代表で卒業証書も受け取る役もあるし、今から楽しみだね。」

「先生とも仲良くなれたし、最後にこんなご褒美があるなんて、2年間雑用係頑張って良かったなって思います。」

「ははは雑用って。確かに何回もこの部屋に来たもんね。じゃあその勢いで仕事の方も頑張ってよ。」

「はい。紹介して下さった先生にご迷惑が掛からないようにしっかりやって、それから皆さんの足を引っ張らないように沢山勉強します。先生、ありがとうございました。はい、どうぞ。」

「さんきゅう。ま、茶菓子はないけどね。」

「あ、私持ってますよ。ご一緒にどうですか?」

明人の眼鏡ケースを開けて中身を先生に見せた。

「何を持ってるのかと思ったら中身は眼鏡じゃないんだね。でもコーヒーに飴は違くないかい?」

「あ、これ、チョコレートなんです・・・。」

「まじでっ!男物の眼鏡ケースの中にキャンディ風のチョコ!立花の頭はどんだけ斬新が散らかってんだよ。」

あはは。と笑いながら、さっきの明人の言葉を思い出した。

‘それにチョコ入れなよ。それからもう要らないから返さなくていいよ’

明人は確かにチョコと言っていた。

「コーヒーおいしいですね・・・。先生、卒業しても時々は遊びに来ますね。それから、いつか同窓会もしますね。」

「楽しみにしてるよ。」

そして少し躊躇してから先生に質問した。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。

石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。 すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。 なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。

陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君
青春
俺に青春など必要ない。 新高校1年生の俺、由良久志はたまたま隣の席になった有田さんと、なんだかんだで同居することに!? 絶対に他には言えない俺の秘密を知ってしまった彼女は、勿論秘密にすることはなく… 本当の思いは自分の奥底に隠して繰り広げる青春ラブコメ! なろう、カクヨムでも連載中! カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330647702492601 なろう→https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5319hy/

処理中です...