234 / 267
第四章
第二百三十三話
しおりを挟む
明人は同棲も結婚も望んでいなかった。傷付けそうで言えないだけだった。でもこのまま流されてする事になるかもしれない。そうなればそれでもいいかもしれない。そんなまとまりのない心のまま、明人は頑張って無理して水樹に会う。誰にも理解できないかもしれないけれど、明人は自分の恋愛能力以上に頑張っていた。それは相手が水樹だからだ。
けれども車に乗り込んだ水樹の表情は暗く、だから車をすぐ近くの公園の駐車場に停車し、話をする事にした。
「機嫌悪いなら今日は止めとこうか。」
「機嫌悪くないよ。」
明人は水樹を見つめた。
「嘘だよ。やっぱり帰る。」
次の瞬間水樹は大粒の涙を3粒程こぼした。
「あのね、夏休みね、明人君とあまり会えなくて悲しかった。就職とか試合とか終われば去年みたいに一緒にいられるって我慢してた。なのにそうはならなくて、でも友達とはいつも遊んでるの知ってるから悲しみでいっぱいになった。」
「ごめん・・・。」
追い詰め合うから明人は喧嘩は苦手だ。
「せっかく約束しても寝坊ばっかりだし、私は1分でも長く一緒にいたいのに、でも明人君はそこまでは会いたくないんだよね。もう全部わからない。苦しいよ。」
だんだん泣きじゃくり始めて、だから泣かせてしまっている事にすぐ反省した。
「これからは努力する。だからごめん。」
「努力って言葉変だよ。そんな明人君嫌いだよ。このまま今の宙ぶらりんの状態じゃ頑張れない。もっとちゃんとこれからの事、二人にとってどうするのがいいのか考えて欲しい。」
「ごめん。ちゃんと考えるよ。」
明人は水樹の涙を拭き、抱き締めながらなんとか今の不安を取り除いてあげたいと思った。それでも・・・。それでも嫌いという言葉が嫌いだった。二度と言わないで。確かにそう言ったはずだった。
水樹に言われた通りに明人は二人にとってどうする事が良いのか真剣に考えた。これからの二人の幸せを考えた。最近は笑顔に出来なかったけれど、水樹の慈悲深い優しい心が好きだった。
そこから10月の初旬の夜、明人は水樹に久しぶりに電話を掛けた。
けれども車に乗り込んだ水樹の表情は暗く、だから車をすぐ近くの公園の駐車場に停車し、話をする事にした。
「機嫌悪いなら今日は止めとこうか。」
「機嫌悪くないよ。」
明人は水樹を見つめた。
「嘘だよ。やっぱり帰る。」
次の瞬間水樹は大粒の涙を3粒程こぼした。
「あのね、夏休みね、明人君とあまり会えなくて悲しかった。就職とか試合とか終われば去年みたいに一緒にいられるって我慢してた。なのにそうはならなくて、でも友達とはいつも遊んでるの知ってるから悲しみでいっぱいになった。」
「ごめん・・・。」
追い詰め合うから明人は喧嘩は苦手だ。
「せっかく約束しても寝坊ばっかりだし、私は1分でも長く一緒にいたいのに、でも明人君はそこまでは会いたくないんだよね。もう全部わからない。苦しいよ。」
だんだん泣きじゃくり始めて、だから泣かせてしまっている事にすぐ反省した。
「これからは努力する。だからごめん。」
「努力って言葉変だよ。そんな明人君嫌いだよ。このまま今の宙ぶらりんの状態じゃ頑張れない。もっとちゃんとこれからの事、二人にとってどうするのがいいのか考えて欲しい。」
「ごめん。ちゃんと考えるよ。」
明人は水樹の涙を拭き、抱き締めながらなんとか今の不安を取り除いてあげたいと思った。それでも・・・。それでも嫌いという言葉が嫌いだった。二度と言わないで。確かにそう言ったはずだった。
水樹に言われた通りに明人は二人にとってどうする事が良いのか真剣に考えた。これからの二人の幸せを考えた。最近は笑顔に出来なかったけれど、水樹の慈悲深い優しい心が好きだった。
そこから10月の初旬の夜、明人は水樹に久しぶりに電話を掛けた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説




隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる