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第四章
第二百十八話
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「よし。話を変えよ。問題です。今日はなんの日でしょう。」
「あは。その問題難しいよ。それを私が答えないといけないなんて拷問。」
今日はいつもみたいに水樹をからかう気も冗談を言う気にもならない。明人は、正面を向いて心から伝えたい気持ちがあった。
「19歳のお誕生日おめでとう。」
「うんっ。ありがとう。凄く嬉しい。長谷川さん。今日を覚えていてくれてありがとう。今日を一緒にいたいと思ってくれてありがとう。」
「うん。俺も同じです。んじゃあ、はい。」
「わ。凄い。本物のプレゼントだ嬉しい。それにこんなに可愛らしいのをあの長谷川さんが?信じられない。」
「何気に酷い事言ってるよ。そんな大したものじゃないけど。」
水樹はゆっくりと噛みしめる様に包装を解いていった。明人は恥ずかしくて緊張して心臓が破裂しそうで、こんな事を毎年しないといけないとは大変だなと、嘆きつつもまんざらではなかった。
「え、え、嘘、え、凄い、かわいい、嘘だ・・・。」
「何?」
「シルバーリング・・・。」
「あ、なんか、今の俺にはそれが頂点で・・・。しかもお店の人が強引に勧めてきて。でもいつか働いたらもっと高い物買えるから。」
「ううん。いいの。違うの。これがいいの凄く嬉しいの。長谷川さん本当にありがとう。」
表情から、演技ではなくて心から喜んでくれていそうに見えて明人は嬉しく、そして、やっと自分の大仕事が終わったと胸をなでおろした。
「あのね。お姉ちゃんに教えて貰ったんだけど、女の子は19歳の誕生日にシルバーのアクセサリーを貰うと幸せになれるんだって。」
「それ知らなかった。」
「だから特別に嬉しい。ほんとにありがとう。あのね、あのね、今からどさくさに紛れるからね、それは正解なのかわからないけど・・・。」
「うん。何?」
「えっと、プレゼントどうもありがとう・・・。あの・・・。明人君。うわ、駄目、言い慣れないっ。わざとらしいよね。しらけるよね。やっぱり撤回っ。勝手に先に盛り上がっちゃってごめんね。」
確かにその通りで明人は置いてけぼりをくらった。
「良いと思う。」
まもなく最高学年を迎える今、考えなければならない事が山ほどある。明日の事、来年の事、そして将来の事。特に明人は一度人生を止めてしまったので他の仲間よりは明日が遠い。でも今日は、やがて来る自分達の未来から目を背けていると思われても構わないから、今目の前にいる無邪気な彼女をこの身体いっぱいに浸透させて、永遠に愛し合っていたいと明人は思った。
「あは。その問題難しいよ。それを私が答えないといけないなんて拷問。」
今日はいつもみたいに水樹をからかう気も冗談を言う気にもならない。明人は、正面を向いて心から伝えたい気持ちがあった。
「19歳のお誕生日おめでとう。」
「うんっ。ありがとう。凄く嬉しい。長谷川さん。今日を覚えていてくれてありがとう。今日を一緒にいたいと思ってくれてありがとう。」
「うん。俺も同じです。んじゃあ、はい。」
「わ。凄い。本物のプレゼントだ嬉しい。それにこんなに可愛らしいのをあの長谷川さんが?信じられない。」
「何気に酷い事言ってるよ。そんな大したものじゃないけど。」
水樹はゆっくりと噛みしめる様に包装を解いていった。明人は恥ずかしくて緊張して心臓が破裂しそうで、こんな事を毎年しないといけないとは大変だなと、嘆きつつもまんざらではなかった。
「え、え、嘘、え、凄い、かわいい、嘘だ・・・。」
「何?」
「シルバーリング・・・。」
「あ、なんか、今の俺にはそれが頂点で・・・。しかもお店の人が強引に勧めてきて。でもいつか働いたらもっと高い物買えるから。」
「ううん。いいの。違うの。これがいいの凄く嬉しいの。長谷川さん本当にありがとう。」
表情から、演技ではなくて心から喜んでくれていそうに見えて明人は嬉しく、そして、やっと自分の大仕事が終わったと胸をなでおろした。
「あのね。お姉ちゃんに教えて貰ったんだけど、女の子は19歳の誕生日にシルバーのアクセサリーを貰うと幸せになれるんだって。」
「それ知らなかった。」
「だから特別に嬉しい。ほんとにありがとう。あのね、あのね、今からどさくさに紛れるからね、それは正解なのかわからないけど・・・。」
「うん。何?」
「えっと、プレゼントどうもありがとう・・・。あの・・・。明人君。うわ、駄目、言い慣れないっ。わざとらしいよね。しらけるよね。やっぱり撤回っ。勝手に先に盛り上がっちゃってごめんね。」
確かにその通りで明人は置いてけぼりをくらった。
「良いと思う。」
まもなく最高学年を迎える今、考えなければならない事が山ほどある。明日の事、来年の事、そして将来の事。特に明人は一度人生を止めてしまったので他の仲間よりは明日が遠い。でも今日は、やがて来る自分達の未来から目を背けていると思われても構わないから、今目の前にいる無邪気な彼女をこの身体いっぱいに浸透させて、永遠に愛し合っていたいと明人は思った。
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