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第三章
第百三十話
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休み時間になると、明人の前の席の水樹の周りにクラスメートが集まりだし、その中には明人のバレー部の後輩の和木もいた。
「水樹ちゃん今人数何人?」
「うん。礼と、軟式野球部の3人と、和木君達と、うーんと・・・それから後一人足りないかな。」
「私達は応援に行くね。」
関係のない明人は窓の外を見ながら肘をついて時間が過ぎるのを待っていた。けれど、誰かにきつく見られているのがわかる。それでも気が付かないふりを決め込んだ。
「長谷川さんって、確か少年野球やってませんでしたっけ?」
「えっ!?」
なっ、ばっ、こっ、余計なこと言うなよ和木っ。と思えば、明人を捕らえる目の数が何倍にもなっていた。
「マジすか。」
「超ヤバいっす。」
「やりましょうよ長谷川さん。その豪快なスイング見たいですよ。長谷川さんの一撃でぶっ倒すしかないですって。」
「やだよ・・・。だるい・・・。」
すかさず和木が口を挟む。
「合宿の時グローブ持ってきてキャッチボールしてたじゃないですか。」
なっ、ばっ、こっ、余計な事言うなよ和木っ。2回目だぞっ。と明人は焦る。
そして凝視してくる水樹にたじろいだ。
何なの立花さん。そんなにあざとく見つめてもやらないんだって。
「あの、グローブ、SSKとミズノ、どっちがいいですか?」
「はっ!?」
そんなのどっちでもいいからっ。と明人は力が抜けた。それから水樹と明人の瞳だけの攻防戦は続いた。
「はあ、ササキで・・・。」
「わかりましたっ。お昼休み、グランド集合ですからね、長谷川先輩っ。」
敗者の明人は参ってしまう。どうやら水樹を浮かれさせてしまったようだ。はあ。とまた水樹に巻き込まれて明人のペースが乱されていく。
そしてあれ?とふとした疑問が生まれた。明人は思わずSSKの事をササキと言ってしまったけれど、水樹に通じたのだろうか、と。それとも深い意味はなく聞き流したのかもしれない。
仕方ないね・・・。全く・・・。と明人は自分がこんなおままごとなノリのソフトボールに参加するのは、別に水樹の為じゃないし、と最後は観念した。
「水樹ちゃん今人数何人?」
「うん。礼と、軟式野球部の3人と、和木君達と、うーんと・・・それから後一人足りないかな。」
「私達は応援に行くね。」
関係のない明人は窓の外を見ながら肘をついて時間が過ぎるのを待っていた。けれど、誰かにきつく見られているのがわかる。それでも気が付かないふりを決め込んだ。
「長谷川さんって、確か少年野球やってませんでしたっけ?」
「えっ!?」
なっ、ばっ、こっ、余計なこと言うなよ和木っ。と思えば、明人を捕らえる目の数が何倍にもなっていた。
「マジすか。」
「超ヤバいっす。」
「やりましょうよ長谷川さん。その豪快なスイング見たいですよ。長谷川さんの一撃でぶっ倒すしかないですって。」
「やだよ・・・。だるい・・・。」
すかさず和木が口を挟む。
「合宿の時グローブ持ってきてキャッチボールしてたじゃないですか。」
なっ、ばっ、こっ、余計な事言うなよ和木っ。2回目だぞっ。と明人は焦る。
そして凝視してくる水樹にたじろいだ。
何なの立花さん。そんなにあざとく見つめてもやらないんだって。
「あの、グローブ、SSKとミズノ、どっちがいいですか?」
「はっ!?」
そんなのどっちでもいいからっ。と明人は力が抜けた。それから水樹と明人の瞳だけの攻防戦は続いた。
「はあ、ササキで・・・。」
「わかりましたっ。お昼休み、グランド集合ですからね、長谷川先輩っ。」
敗者の明人は参ってしまう。どうやら水樹を浮かれさせてしまったようだ。はあ。とまた水樹に巻き込まれて明人のペースが乱されていく。
そしてあれ?とふとした疑問が生まれた。明人は思わずSSKの事をササキと言ってしまったけれど、水樹に通じたのだろうか、と。それとも深い意味はなく聞き流したのかもしれない。
仕方ないね・・・。全く・・・。と明人は自分がこんなおままごとなノリのソフトボールに参加するのは、別に水樹の為じゃないし、と最後は観念した。
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