56 / 267
第二章
第五十五話
しおりを挟む
「正木、いけるか。」
「明日病院行けよ。」
「1、2、3年は先生と先に帰ったよ。」
先輩達も泣き腫らした目をしていた。
「地元に帰ったら飯行って打ち上げするから早くお前も着替えろよ。」
「聖也、着替え手伝おっか?」
「お願いしよっかな・・・。」
「まじやばいって。涼宮のボケを拾わないなんて聖也超重症だよ!」
先輩達が笑っているのに、聖也はまた目に涙を溜めてしまった。
「あのさー、一言だけいい?聖也さー、お前4年だろ?来年あんだろ?俺らより目立ってかっこよく泣くの止めてくれない?」
「それな!負けたのは俺らの力不足で聖也のせいじゃないから、逆にここまでやれてありがとうしかないわ。」
「俺、大学行ってもハンドボールやるよ。」
「とりあえず帰ったら海行こうぜ。」
「初めてビキニ着てみよっかな。」
またボケた夏子は確かに前よりもかなり痩せて綺麗になっていた。足首や腰が痛むと整骨院の先生に相談した所、体重のせいだから痩せろと指導されたらしい。
そして聖也は夏子のビキニ姿を念の為に想像してみた。
が、何も起こらなかった。
でも部屋から出ていく聖也は笑っていた。
そして地元に帰ったこの夜は、先輩達とご飯を食べ、飲める者は酒を飲み、グダグダに酔って皆で泣いた。
良い思い出と苦い思い出とが全部まとまったこの夏の青春を聖也は忘れない。
そして大人になっても何度も何度も集まってはビールを飲んで、また誰かが語り出し慰め合い、同じ話で結局泣いて、最後は笑っているんだろう、と、聖也は思う。
「明日病院行けよ。」
「1、2、3年は先生と先に帰ったよ。」
先輩達も泣き腫らした目をしていた。
「地元に帰ったら飯行って打ち上げするから早くお前も着替えろよ。」
「聖也、着替え手伝おっか?」
「お願いしよっかな・・・。」
「まじやばいって。涼宮のボケを拾わないなんて聖也超重症だよ!」
先輩達が笑っているのに、聖也はまた目に涙を溜めてしまった。
「あのさー、一言だけいい?聖也さー、お前4年だろ?来年あんだろ?俺らより目立ってかっこよく泣くの止めてくれない?」
「それな!負けたのは俺らの力不足で聖也のせいじゃないから、逆にここまでやれてありがとうしかないわ。」
「俺、大学行ってもハンドボールやるよ。」
「とりあえず帰ったら海行こうぜ。」
「初めてビキニ着てみよっかな。」
またボケた夏子は確かに前よりもかなり痩せて綺麗になっていた。足首や腰が痛むと整骨院の先生に相談した所、体重のせいだから痩せろと指導されたらしい。
そして聖也は夏子のビキニ姿を念の為に想像してみた。
が、何も起こらなかった。
でも部屋から出ていく聖也は笑っていた。
そして地元に帰ったこの夜は、先輩達とご飯を食べ、飲める者は酒を飲み、グダグダに酔って皆で泣いた。
良い思い出と苦い思い出とが全部まとまったこの夏の青春を聖也は忘れない。
そして大人になっても何度も何度も集まってはビールを飲んで、また誰かが語り出し慰め合い、同じ話で結局泣いて、最後は笑っているんだろう、と、聖也は思う。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説




隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
三度目の庄司
西原衣都
ライト文芸
庄司有希の家族は複雑だ。
小学校に入学する前、両親が離婚した。
中学校に入学する前、両親が再婚した。
両親は別れたりくっついたりしている。同じ相手と再婚したのだ。
名字が大西から庄司に変わるのは二回目だ。
有希が高校三年生時、両親の関係が再びあやしくなってきた。もしかしたら、また大西になって、また庄司になるかもしれない。うんざりした有希はそんな両親に抗議すべく家出を決行した。
健全な家出だ。そこでよく知ってるのに、知らない男の子と一夏を過ごすことになった。有希はその子と話すうち、この境遇をどうでもよくなってしまった。彼も同じ境遇を引き受けた子供だったから。
君からの君へのプレゼント
平沼敬
青春
制作 平沼敬
偏差値六〇超えのそこそこいい高校に通っている河野想には、何もなかった。それでも、学校には通わなければならない。席につき授業を受けるも、身が入らない。なんとか終わらせて昼休み、一人で食べる冷えた弁当は味がしない。その後帰宅すると、一枚の写真が目に入って、そこには僕と一人の女性が写っていて――
僕は走り出す。彼女のため、そして罪を償うため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる