11 / 267
第一章
第十一話
しおりを挟む
ハンドボール部の夏の全国大会は地方予選で砕け散り、5年生は引退した。そして、少し前に新学期を迎えた勇利はいつもと同様に、クラブ開始の時間まで自分の教室で仲間と談笑していた。
「勇利ークラブまで時間あっからさ、食堂いかね?」
「もー正ちゃん後輩の教室まで来ないで下さいよー。」
「誰が正ちゃんやねん。死ねバカ。」
悪態をつきつつも勇利は少しも抵抗せずに聖也と共に食堂へ向かった。聖也にしてみれば、夏休み頃から勇利の元気がない事が気になっていたのだった。
「おばちゃんイチゴオレ二つ。ほら飲めよ。」
「マジ!?喉の渇きを潤すどころか逆に水分奪われるんですけどっ。」
「うるせーまじ黙って飲めバカ。で女に振られた?」
「なんなんすか、そういうのってもっとオブラートじゃないんすか。」
「誰学校の奴?」
「振られたっていうか・・・。」
勇利は夏休みに起こった仁美との出来事を聖也に説明した。男は友達にもあまり自分の深い話をしないのだろうが、何故か聖也には促されるままに気持ちを伝えてしまうのだ。聖也は甘えさせ上手だ。
「よし!猿も恋して人間に近付いたか。」
「は?もー誰が猿なんですか。ちゃかすなら聞かないで下さいよ。吐かされちゃかされトホホなんですけどっ。」
「もうすぐ4時半になるぜ。行くか勇利。」
二人は着替える為に食堂を後にし、そのまま無言で歩き続けた。勇利は沈黙が辛くなってきて、何か話そうかとしてみたものの、仁美の事がまた思い出されてうまく言葉が見つからない。そんな時、先に聖也が口を開いた。
「勇利ークラブまで時間あっからさ、食堂いかね?」
「もー正ちゃん後輩の教室まで来ないで下さいよー。」
「誰が正ちゃんやねん。死ねバカ。」
悪態をつきつつも勇利は少しも抵抗せずに聖也と共に食堂へ向かった。聖也にしてみれば、夏休み頃から勇利の元気がない事が気になっていたのだった。
「おばちゃんイチゴオレ二つ。ほら飲めよ。」
「マジ!?喉の渇きを潤すどころか逆に水分奪われるんですけどっ。」
「うるせーまじ黙って飲めバカ。で女に振られた?」
「なんなんすか、そういうのってもっとオブラートじゃないんすか。」
「誰学校の奴?」
「振られたっていうか・・・。」
勇利は夏休みに起こった仁美との出来事を聖也に説明した。男は友達にもあまり自分の深い話をしないのだろうが、何故か聖也には促されるままに気持ちを伝えてしまうのだ。聖也は甘えさせ上手だ。
「よし!猿も恋して人間に近付いたか。」
「は?もー誰が猿なんですか。ちゃかすなら聞かないで下さいよ。吐かされちゃかされトホホなんですけどっ。」
「もうすぐ4時半になるぜ。行くか勇利。」
二人は着替える為に食堂を後にし、そのまま無言で歩き続けた。勇利は沈黙が辛くなってきて、何か話そうかとしてみたものの、仁美の事がまた思い出されてうまく言葉が見つからない。そんな時、先に聖也が口を開いた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
それはきっと、夜明け前のブルー
遠藤さや
青春
過去のつらい経験から男の子が苦手な詩。
席替えで隣の席になった黒崎くんが怖くて、会話どころか挨拶すらできずにいた。
そんな詩の癒しは、毎晩庭にやって来る通い猫のブルー。
ある日、ブルーの首輪に飼い主からの手紙が結ばれていたことから、文通がはじまる。
男の子が苦手な詩と無愛想な水泳男子の黒崎くん。 恋から遠いふたりと、時々ねこ。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる