おもいでにかわるまで

名波美奈

文字の大きさ
上 下
7 / 267
第一章

第七話

しおりを挟む
グランドには他にも1年生の見学者が来ていた。単身で乗り込んだ勇利は珍しく人見知りをしてしまい、一人黙って練習開始前の部員達の様子を観察していた。すると、しばらくして軽快な足音と共に昼休みに勧誘してきた正木が来た。

タッタッタ・・・。その足音だけでも正木の運動神経の良さが伝わる。

「おー!皆来てくれたんだ。まじ大歓迎。お、お前もちゃんと来たな。」

正木は笑っている。

「あ、あれだよね。まだ来てないんだよね鈴宮夏子マネージャーさん。実験とかかも。あの人毎日は来ないんだよね。でも、今日は来るって部長に聞いたんだ。だからそこのベンチにでも座ってさ、ゆっくり見学してってよ。」

きれいな名前だな。どんな女性ひとなんだろう。

と、勇利の膨らむ妄想と同時に練習が始まった。

最初はランニング、そして柔軟、軽めのダッシュにキャッチボール、開始から30分程経過しただろうか。

さすが5年制の学校なだけあって、5年生ともなれば15歳の勇利にとってはただのおじさんに見える。勇利は練習見学というより人間観察に没頭していた。だから、ある女性が近付くまで気がつかなかった。

「あー、1年生来てんじゃーん。超いい感じー。皆かわいいー。」

誰だこの女の人は?ま、さ、か・・・。

「マネージャーの鈴宮です。よろしくね。」

あー・・・。はいはいそういうことね、そうなのね正木さん騙したのね・・・。と勇利は我に返った。今現れたマネージャーの涼宮夏子は確かにグラマーではあったが、ついでにウエストの膨らみもかなりグラマーだった。

肝っ玉母さん・・・。正木の野郎・・・。

とがめるつもりで正木の方を向くと、ちょうど正木にボールが回っていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

君からの君へのプレゼント

平沼敬
青春
制作 平沼敬 偏差値六〇超えのそこそこいい高校に通っている河野想には、何もなかった。それでも、学校には通わなければならない。席につき授業を受けるも、身が入らない。なんとか終わらせて昼休み、一人で食べる冷えた弁当は味がしない。その後帰宅すると、一枚の写真が目に入って、そこには僕と一人の女性が写っていて―― 僕は走り出す。彼女のため、そして罪を償うため。

大好きな志麻くんに嫌われるための7日間

真霜ナオ
青春
琴葉ノ学園の学園祭では、『後夜祭で告白すると幸せになれる』というジンクスがあった。 高校最後の学園祭を終えた嶋 千綿(しま ちわた)は、親友の計らいで片想い相手の藤岡志麻(ふじおか しま)と二人きりになる。 後夜祭の時間になり、志麻から告白をされた千綿。 その直後、偶発的な事故によって志麻が目の前で死亡してしまう。 その姿を見た千綿は、ただこう思った。 ――……ああ、"またか"。 ※ホラー作品に比べてまろやかにしているつもりですが、一部に多少の残酷描写が含まれます。

処理中です...