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ゴリ彼②
しおりを挟むあの日から俺はごうにいに好きと伝えるのを辞めた。
いえば言うほど惨めになってしまう気がして…。
でも、ごうにいが好きという気持ちは、自分の意志に反してどんどん大きくなってきている。
ごうにいは今回のお見合いは断ったそうだ。
順調に行っていたのに、何故か聞いたら「俺にはもったいない」らしい。
じゃあ…俺は?
その日俺は友達の誕生日プレゼントを買いに、デパートに来ていた。
マフラーやマグカップなど、定番なものを物色しながら店を回っていると、ごうにいが華奢で可憐な女の人と歩いていた。
俺以外の人にはあまり笑わないくせに、ごうにいは俺に向ける笑顔をその人に向けていた。
あぁ…そうだったんだ…。
ごうにいの本当に好きな人は、多分あの人だ。
やっぱり…
俺みたいなゴツくて、声が低くて、可愛らしいなんて言葉、全く関係ないやつより、柔らかそうな女のほうがいいのだろう。
そんなのわかりきっていたのに…。
俺は涙をこらえて、覚悟を決めた。
ごうにいに最後の告白をする覚悟を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近、俊希の様子がおかしい。
今までは、いつも好きだと言ってくれたが、今は言ってくれない。
反抗期というやつだろうか。
俊希が好きというたび、俊希は俺のことを兄のような存在としてしか見ていないことが突きつけられているようで、辛かった。
でも、言われないと…
その日は従兄弟と一緒にデパートに従兄弟の彼氏へのプレゼントを選びに来ていた。
彼氏のことについてキャッキャウフフと話す従兄弟を見て、なんだか俊希みたいだと思った。
ふっと俊希のことを思い出し、頬が緩む。
「え~なんか笑ってる~。豪太って笑うんだね」
と従兄弟に言われてしまった。
やっぱり俺は俊希を諦められないんだ。
もうここまで来たら、伝えよう。
きっと怯えて避けられるだろう。
でもそれでいいんだ。
それで…
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