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罰ゲーム 後編
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神山くんと別れた翌日。、僕は熱を出して学校を休んだ。
ひどい倦怠感でベッドから1ミリも動けず、母さんに心配をかけた。
翌朝、スマホを見ると通知の数が驚くほど入っていた。
差出人は全て神山くん。
どうして罰ゲームで付き合った僕なんかにこんなに連絡してくるんだろう。
と、スマホを見ていると示し合わせたかのように神山くんから着信が入った。
出ようか出まいか迷っていると
ハクション!
「あ…」
くしゃみして間違えて押すとか我ながら呆れてしまう。
『もしもし!!しんじ!!!』
焦ったような彼の大きな声が聞こえ、耳がキーンとなる。
「もしもし…どうしたの?」
『なんで…がっこう来なかったの…?』
「あぁ、熱が出たんだよ。心配させてごめんね」
『それって俺の…』
神山くんが言葉をつまらせる。
「違うよ~。僕なんかにわざわざ付き合ってくれて感謝こそすれ怒ったりなんかしてないよ!」
嘘。ホントは凄く悲しい。今だって声が震えないように必死に取り繕ってる。
「さっきも言ったけど、ありがとう、わざわざ付き合ってくれて。すっごく楽しかったよ!今度は本当に好きな人と付き合いなよ!」
悲しみを悟られないようにあえて明るい口調で言う。
だけど心は張り裂ける寸前だった。
『ふざけんなッ!!!』
神山くんが急に怒鳴った。
これまで僕にもクラスメイトに対しても怒鳴ったことなんて無かった。
というか表立って感情を出さなかった神山くんが怒鳴った。
『なぁ…真司…鍵…開けてくれよ…。話しがしたいんだ…』
まさかと思い、カーテンを開けると僕の家の玄関前に立っている神山くんがいた。
慌てて玄関を降り、ドアを開けると未だに愛しく感じてしまうオレの元恋人が立っていた。
「神山くん!何してるの!?」
「神山か…。なあ…真司…。ごめん。俺の話、聞いてくれるか…?」
力なくそう言う神山くんを断ることも出来ず、僕は神山くんを自分の部屋に通した。
「真司…今から言う話を聞いてから、別れるかどうか決めてほしい」
そう言って神山くんは話しだした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
きっかけは罰ゲームだった。
トランプで負けたやつがクラスの陰キャに告白。
陽キャ特有のその場のノリだ。
俺が選んだのは田城真司。パットしない外見。パットしない成績。運動神経も下の下。選んだ理由は席が後ろだから。
そんな理由でした告白を田代は真っ赤になって「はい」と言ってくれた。
その表情を見たとき、胸のあたりが締め付けられるような感覚を覚えた。
それから順調に交際は進んでいった。
映画館デートのときは感動して涙を流す姿にゾクゾクした。
カフェでパンケーキを頼んだときはクリームの乗ったパンケーキを見て目を輝かせ、大きく頬張って食べる姿にキュンとした。
そんなこんなを過ごしていくうちに、俺は田代…いや真司のことが好きになったんだと自覚した。
でも、罰ゲームで付き合った手前クラスメイトの前では全く好きじゃない、むしろ嫌いのように振る舞っていた。
クラスメイトが真司の悪口を言うたびに内心殺してやろうかと思いながら一緒に笑った。
そんな自分が死ぬほどいやだった。
そんな宙ぶらりんの状態だったからだろう。
田城に俺が悪口を言っているところを聞かれた。
図書室裏に呼び出され、「だるぃ」と言いながら内心スキップしたい気持ちを抑えて向かったら、別れを切り出され、罰ゲームで付き合っていたことを聞かれたと知った。
俺は戸惑いでその場を一歩も動くことができず、気がついたときには田城はもういなかった。
翌日、田城が学校を休んだ。
何回も連絡したが一回も通じなかった。
絶望した。
けれど、動かなければ田城は永遠に振り返ってくれない。そうだ、動かなければ……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神山くんから話を聞いたあと、僕はしばらく呆然としていた。
「真司…ごめんな…俺のせいで傷つけて…。もう二度と傷つけないから、俺にもう一回チャンスをくれないか」
うなだれて懇願する彼を、断ることなんて無理だ。
だって好きなのだから。
罰ゲームで付き合ったと知っても、それでも彼が好きなのだから。
「無理だよぉ…断るなんて…ずるいよぉ…神山くんは。」
「はは…知ってる。俺ってずるい男なんだよ」
彼がニヤッと笑う。
彼の顔が近づいて来て唇と唇が触れ合う。
初めてのキスはお互いの涙のしょっぱい味がした。
けれどそれはそれは甘いキスだった。
「なあ、真司…。名前で呼んでくれないか」
「恥ずかしいよ…神山くん」
「お願い!ね、だめ?真司?」
「ずるい…その顔したら僕が断れないって知って…」
「ふふん。……ね?おねがい真司」
「う………ゆ、ゆうきくん…」
「んふふっ。」
「もーなんで笑うんだよぉ」
「ごめんごめんw可愛くてつい」
「なんだよそれ…」
「ね、真司。おれ真司のこと世界で一番大好きだよ。」
「………僕も好きだよ。………ゆうき♡」
ひどい倦怠感でベッドから1ミリも動けず、母さんに心配をかけた。
翌朝、スマホを見ると通知の数が驚くほど入っていた。
差出人は全て神山くん。
どうして罰ゲームで付き合った僕なんかにこんなに連絡してくるんだろう。
と、スマホを見ていると示し合わせたかのように神山くんから着信が入った。
出ようか出まいか迷っていると
ハクション!
「あ…」
くしゃみして間違えて押すとか我ながら呆れてしまう。
『もしもし!!しんじ!!!』
焦ったような彼の大きな声が聞こえ、耳がキーンとなる。
「もしもし…どうしたの?」
『なんで…がっこう来なかったの…?』
「あぁ、熱が出たんだよ。心配させてごめんね」
『それって俺の…』
神山くんが言葉をつまらせる。
「違うよ~。僕なんかにわざわざ付き合ってくれて感謝こそすれ怒ったりなんかしてないよ!」
嘘。ホントは凄く悲しい。今だって声が震えないように必死に取り繕ってる。
「さっきも言ったけど、ありがとう、わざわざ付き合ってくれて。すっごく楽しかったよ!今度は本当に好きな人と付き合いなよ!」
悲しみを悟られないようにあえて明るい口調で言う。
だけど心は張り裂ける寸前だった。
『ふざけんなッ!!!』
神山くんが急に怒鳴った。
これまで僕にもクラスメイトに対しても怒鳴ったことなんて無かった。
というか表立って感情を出さなかった神山くんが怒鳴った。
『なぁ…真司…鍵…開けてくれよ…。話しがしたいんだ…』
まさかと思い、カーテンを開けると僕の家の玄関前に立っている神山くんがいた。
慌てて玄関を降り、ドアを開けると未だに愛しく感じてしまうオレの元恋人が立っていた。
「神山くん!何してるの!?」
「神山か…。なあ…真司…。ごめん。俺の話、聞いてくれるか…?」
力なくそう言う神山くんを断ることも出来ず、僕は神山くんを自分の部屋に通した。
「真司…今から言う話を聞いてから、別れるかどうか決めてほしい」
そう言って神山くんは話しだした。
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きっかけは罰ゲームだった。
トランプで負けたやつがクラスの陰キャに告白。
陽キャ特有のその場のノリだ。
俺が選んだのは田城真司。パットしない外見。パットしない成績。運動神経も下の下。選んだ理由は席が後ろだから。
そんな理由でした告白を田代は真っ赤になって「はい」と言ってくれた。
その表情を見たとき、胸のあたりが締め付けられるような感覚を覚えた。
それから順調に交際は進んでいった。
映画館デートのときは感動して涙を流す姿にゾクゾクした。
カフェでパンケーキを頼んだときはクリームの乗ったパンケーキを見て目を輝かせ、大きく頬張って食べる姿にキュンとした。
そんなこんなを過ごしていくうちに、俺は田代…いや真司のことが好きになったんだと自覚した。
でも、罰ゲームで付き合った手前クラスメイトの前では全く好きじゃない、むしろ嫌いのように振る舞っていた。
クラスメイトが真司の悪口を言うたびに内心殺してやろうかと思いながら一緒に笑った。
そんな自分が死ぬほどいやだった。
そんな宙ぶらりんの状態だったからだろう。
田城に俺が悪口を言っているところを聞かれた。
図書室裏に呼び出され、「だるぃ」と言いながら内心スキップしたい気持ちを抑えて向かったら、別れを切り出され、罰ゲームで付き合っていたことを聞かれたと知った。
俺は戸惑いでその場を一歩も動くことができず、気がついたときには田城はもういなかった。
翌日、田城が学校を休んだ。
何回も連絡したが一回も通じなかった。
絶望した。
けれど、動かなければ田城は永遠に振り返ってくれない。そうだ、動かなければ……
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神山くんから話を聞いたあと、僕はしばらく呆然としていた。
「真司…ごめんな…俺のせいで傷つけて…。もう二度と傷つけないから、俺にもう一回チャンスをくれないか」
うなだれて懇願する彼を、断ることなんて無理だ。
だって好きなのだから。
罰ゲームで付き合ったと知っても、それでも彼が好きなのだから。
「無理だよぉ…断るなんて…ずるいよぉ…神山くんは。」
「はは…知ってる。俺ってずるい男なんだよ」
彼がニヤッと笑う。
彼の顔が近づいて来て唇と唇が触れ合う。
初めてのキスはお互いの涙のしょっぱい味がした。
けれどそれはそれは甘いキスだった。
「なあ、真司…。名前で呼んでくれないか」
「恥ずかしいよ…神山くん」
「お願い!ね、だめ?真司?」
「ずるい…その顔したら僕が断れないって知って…」
「ふふん。……ね?おねがい真司」
「う………ゆ、ゆうきくん…」
「んふふっ。」
「もーなんで笑うんだよぉ」
「ごめんごめんw可愛くてつい」
「なんだよそれ…」
「ね、真司。おれ真司のこと世界で一番大好きだよ。」
「………僕も好きだよ。………ゆうき♡」
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