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二がんばり目~ドSコンビの同級生~
第15話 森本の失態
しおりを挟む「悪かった…。」
二人は再びベンチに座り、榎本は少し冷静になったのか
自分がしたことを思い返して頭を抱えていた。
疲れきった森本はもう何を返せばいいか分からず
榎本に寄りかかっている。
「こんなのやっぱりあいつらと一緒だよな…」
「心配してくれたことは、嬉しかったよ。」
心底反省している様子を見ては責めることなど出来ず、
困ったように笑いながら呟いた。
「…すまん。」
「こっちこそ、ごめん」
「お前が謝ることなんて一つも…?」
「俺のためにいろいろ悩ませたのに、ペットやめようって
思ってないことに対して。」
「っ…、でも」
「自分で決めたこと、諦めたくないんだ。」
「そうか…。俺が思ってたより強いんだな、森本は。」
「うん!もっと信じて」
「あぁ…。」
見た目や本人の優しさから、勝手に弱く脆いイメージを持っていた榎本。
無理して虚勢を張っているのだと思っていた。
しかし反面的に森本はタフで頑固だった。
信じてと笑う姿を見て、榎本は言葉通りに黙って見守ることを決めた。
そして、ペット最終日ー。
「ない…。」
森本はスマホを探していた。
自宅には無かったため学校かと思い早めに登校してみたが見つからない。
「もしかして廃校で落とした…?」
だとしたらいよいよマズい。
基本的に虎谷からの指示はメールから始まるため、
確認できないとなると無視したと見なされる。
今までの仕打ちを考えればそんなことをしたら
一番のキツい罰が待っていることは明白だ。
「やばい~!」
いてもたってもいられず虎谷のクラスまで行くが
まだ登校していないようだった。
始業ギリギリまで粘ったがついに虎谷たちは来なかった。
「どうしようどうしよう…」
昼休みのチャイムが鳴り、今しかないと教室を飛び出した森本だったが
廊下で担任に呼び止められた。
「森本。お前今から指導室な。」
「へ!?なんで!」
「この前ボランティアサボったろ?
それの反省文書いてもらうの。」
よくよく思考を巡らせて思い出すと、虎谷たちが理由で
ボランティアに行けなかったことがあった。
「も~っ…」
こんな不運が重なるのなんて泣きたくなってくる…。
だがそんなこと言ってる場合でもなく、素直に指導室へ向かった。
指導室ではまず生徒が集まるまで待たされ、反省文もそれなりの量を
書く必要があったため休み時間終了までかかってしまった。
結局虎谷とは会えずじまいだ。
「絶対やばい…」
放課後になり森本は廊下を走って虎谷を探していた。
あれから休み時間のたびにクラスまで行ったが
いつも教室におらず捕まらなかったのだ。
「!! 早川くん!榎本くん!」
やっと見つけたと思い息を切らして呼び止めたが虎谷の姿はなかった。
事情を説明すると二人は憐れみながら居場所を教えてくれた。
「虎谷なら屋上だ」
「ありがと!!」
聞いた途端また走り出そうとする森本の手を榎本は捕まえた。
「俺も、行こうか?」
「おいおいー、それはカホゴじゃない?エノ」
それを聞いた早川はすかさず突っ込んだ。
例え榎本が同行したとしても、不機嫌な虎谷のストッパーには
到底なれないと思ったからだ。
「っ…」
「早川くんの言う通りだよ!
ね、きっと大丈夫だから。」
「本当に無理だけはするなよ。」
「うん!ありがとー!」
森本は相変わらず優しい榎本に笑いながら駆けていった。
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