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第104話 インデンスピット
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「人間ごときが、ガルディック・バビロンに勝てるわけがなかろう! 何か秘密があるに違いない、なんじゃ、首飾りでもない、装備は全部こっち持ちじゃ、なら、やはり、超常の力か、そうじゃろう、言え、言わんかい、小娘がぁああああ!?」
両肩を掴まれてがっくん、がっくんされ続ける……。
「い、いたい、いたい……」
「それとも、何か、何か隠し持っていたのか、それを出さんかい!? 小娘どもぉお、わしを謀るのも大概にせいよぉおおお!? わしを誰だと思っておる、ラインヴァイスの先帝だぞぉおお!?」
がくんがくん、がくんがくん……。
い、いたい、いたい……。
「いてぇええええっつってんだろ、くそじじいがぁあああ!!」
と、ザトーの顔面を思いっきりぶん殴ってやった。
でも、メキッ、という、まるで鉄板でも殴ったかのような感触が拳に伝わる。
「つっ……」
ゴッドハンドで拳を強化していなければ砕けていた……。
「あて、あてて……」
ザトーが少し顔を曲げて、数歩よろめく。
「陛下! 貴様、陛下に何を!?」
と、アンバー・エルルムが血相を変えて立ち上がり、剣の柄を握る。
「よ、よよ、よい、小娘の拳など、きかぬわ……」
ザトーがよろめきながら、アンバー・エルルムを制止させる。
「いたい……」
それにしても、なんて固い顔なの……、鋼鉄ででも出来ているみたいだった……。
私は右手の拳をさする。
「に、しても……、強烈じゃったのう……、これがなければ死んでおったかもしれんぞ……」
と、胸元からあのネックレスを取り出す。
そう、ヒンデンブルクのオリジナルのネックレス、私のと同じデザインのやつ。
「はっきり言って棍棒で殴られるよりも強烈じゃった……」
ザトーが殴られた箇所、こめかみの辺りをしきりにさする。
「やはり、超常の力か……」
と、こめかみをさするのを止め、腕をだらんと下げて私のほうに歩み寄る。
「あの小僧と同じか……、どんな力だ……、どれ、もう一度見せてくれんか……」
ザトーが不気味に笑いながら、私の頬に手を伸ばす。
その手をパチンッ、と横に払ってやる。
「超常って、なんのことよ……」
少し距離を取りながら言う。
「とぼけるなよ、小娘、あの小僧や貴様がやったことだ……、それを見せぇい!!」
尚も私を追い、その肩を掴もうとする。
「しつこいなぁ……、じゃぁ、見せてやるよ、でも、これは超常でもなんでもない……、ただの技術だから……」
と、私はザトーのうしろに立つ、アンバー・エルルムの元へ歩いていく。
「な、なにをっ?」
警戒する彼の襟元を上かガシッと鷲掴みにし、少し手前に引っ張る。
「む?」
すると、彼が半歩前に踏み出す形で踏ん張ろうとする。
そのタイミングで今度は逆にうしろに押してやる。
「おう?」
と、アンバー・エルルムは手を上げてバランスを取ろうとする。
彼のその手の甲を掴み内側にひねり、さらに胸元を下に引きずりながら、軸足を思いっきり払ってやる。
「うあっ!?」
すると、アンバー・エルルムの身体がびっくりするくらい、ぴょーんと上に飛び跳ねる。
それは、まるで、自分で上に跳んだみたいに……。
私はそこから、さらに掴んだ手の甲を返し、彼の身体を反転させ、そのまま背中から地面に落とす。
「くあっ……」
アンバー・エルルムが苦痛に顔を歪ませる。
「お、おお……、なんじゃ、超常の力か……」
ザトーが目を見開く。
「これは超常の力でもなんでもない、ただの技術……、アンバー・エルルム、おまえも一流の戦士、今何をされたかわかっただろう? おまえの口から主に説明してやれ」
と、倒れているアンバー・エルルムに説明を求める。
「あ、ああ……、これには超常の力は働いておりません……」
彼は立ち上がりながら言う。
「ど、どういうことじゃ、小娘がエルルムに触れたと思ったら、上に吹き飛びおったぞ……、あれは見間違いではない……」
「そ、それは、私が自ら跳んだからです……、すべての動きを先読みされ、そう跳ばされるように誘導されたからです……、流れるような一連の動作により、私は上に跳ぶ以外の選択肢はなかった……、驚異的な技です……、ですが、そこには、陛下が言われるような、超常の力はございません、いや、そんなものが入る余地すらない、純然たる技術の塊、私はそれを垣間見ました……」
と、アンバー・エルルムが説明してくれる。
「うん」
私は大きく頷く。
さすが戦士、よく見ている。
「な、なんじゃと……、本当か……?」
「本当よ……、私たちは、剣の民族、ガキでもこのくらいのことは出来るのよ、そして、ハルは私たちの中でも最強の戦士、私より遥かに強い、あなたたちが言うガルディック・バビロンなんか敵じゃないのよ」
と、今だに納得していないザトーに向かって言い放つ。
「ぐぬぬ……」
やつが私を睨む。
私は涼しい顔でやつを見返す。
「剣の民族……、本当なのか……、そんなものがこの世に……」
ザトーが真偽を確かめるように私を睨み続ける。
まぁ、もちろん、剣の民族なんて私が今、適当に考えたウソなんだけどね。
「わかった……、とりあえずは信じることにしよう……」
根負けしてザトーが折れる。
「賢明ね……」
よし!
と、振り返りながら小さくガッツポーズをする。
「ハルー!!」
そして、そのまま小さくガッツポーズをしながら、功労者である和泉春月の元へ走っていく。
「よろしいので、陛下……?」
「かわまん……、50年待ったのだ、少しくらい泳がせておいてもよい、そのための砦じゃ……、50年前のように殺してしまっては元も子もない……」
「御意……」
と、そんな話し声が聞えてくるけど、気にせず和泉の元に走っていく。
「うわぁ……」
石垣とか砂の上に虫の身体の一部や体液が付着している……。
私はそれを見ないように一目散に走り抜ける。
「ハルー!!」
到着。
「やばい、傷が深い……」
「魔法を使うか……」
「いや、俺では無理だ、この傷では……、綾原とか海老名じゃないと……」
と、南条と東園寺が話している。
「ハル、大丈夫……?」
私は二人の間から和泉を覗き込む。
「あ、ああ……」
と、苦しそうに答える。
その姿は痛々しく、真っ白なレザーメイルは血に染まり、特に左肩が酷く、深くえぐられ、大量出血していた……。
「とりあえず、応急処置だけでも」
「ナビーフィユリナ、囲え……」
「あ、うん……」
と、和泉を周りから見えないようにする。
「アスタナ、美くしき、流れのほとりで、慈雨にその身を任せ、癒しの精霊糸」
そして、南条が小さく魔法を唱え、そっと、和泉の左肩に手を添える。
「いや、やめろ、みんなの頑張りを無駄にしたくない……」
と、和泉が魔法を止めさる。
「出血だけでもなんとかしないと命にかかわるぞ、和泉……」
「大丈夫だ、南条」
それでも固辞し続ける。
「手当てをいたしましょう、これほどの勇者を失うのは惜しい」
と、マジョーライが部下を引き連れてやってくる。
「すまない、よろしく頼む」
その提案に東園寺が答え、私が通訳する。
「それでは……」
と、和泉は兵士たちに両脇から抱えられ、別室へと消えていく。
「治療のあいだ、皆様はこちらへ」
マジョーライにこっちにくるようにと手招きされる。
私たちはそれに従う。
「それでは、条約の効力は1ヶ月後より発生ということで……」
別室に通されるなり、マジョーライにそう言われる。
「1ヶ月後ですね……」
東園寺が頷く。
「細かな取り決めも必要ですね……、わかりました、今度はこちらから、そちらにお伺いいたします、その折はよろしくお願いします」
「かたじけない……」
「また、帝国との交易、取り引きを1ヶ月を待たずして始められても結構です、その際はこちらを掲げておいてください」
と、マジョーライから豪華な三角形のタペストリーのような旗を渡される。
「かたじけない……」
「それと……、代表の方には身分を授けます、こちらを……」
これまた豪華な金色の短い杖を東園寺に渡す。
「名誉騎士の証です、こちらをお持ちになれば、帝国内、どこでも、騎士長クラスの待遇が受けられるようになります」
「かたじけない……」
「こんなところですかね……、では、治療が終わるまでお待ちください……」
と、マジョーライとその部下が丁重に礼をして部屋をあとにする。
「ふぅ、やっと終わったぁ……」
南条がソファーの上に崩れ落ちる。
「疲れたねぇ……」
と、私もその横に腰掛ける。
「油断するなよ、二人とも、和泉もどうなっているかわからん……」
「はぁい」
「ういーっす」
と、気を引き締めるけど、最後まで何事もなく進み、私たちは砦の前に呼び出される。
「ハルー!!」
門の前には包帯ぐるぐる巻きの和泉がいた。
「大丈夫か、和泉」
「ああ、心配かけたな、東園寺、みんなも……」
笑顔を覗かせる。
「その怪我では歩くのも大変でしょう……、こちらをお使いください、お貸しします……」
マジョーライが馬を引いてくる。
「かたじけない、必ずお返しします」
馬には和泉が着用していた白いレザーメイルも積まれていた。
「あ、気に入ったから、いただいてきちゃった」
と、和泉が照れたように笑う。
「では……」
兵士たちに手伝われて和泉が馬に乗る。
その手綱を東園寺に渡す。
「またお会いしましょう」
マジョーライがにこやかに言う。
「ええ、本日はありがとうございました……、では、行くぞ!」
東園寺がそう言葉を返し馬の手綱を引く。
「おお!」
と、私は白クマのリュックサックを背負い直し、拳を突き上げて叫ぶ。
こうして私たちは帝国との会談を無事に終え、ラグナロクへの帰路につくことになった。
両肩を掴まれてがっくん、がっくんされ続ける……。
「い、いたい、いたい……」
「それとも、何か、何か隠し持っていたのか、それを出さんかい!? 小娘どもぉお、わしを謀るのも大概にせいよぉおおお!? わしを誰だと思っておる、ラインヴァイスの先帝だぞぉおお!?」
がくんがくん、がくんがくん……。
い、いたい、いたい……。
「いてぇええええっつってんだろ、くそじじいがぁあああ!!」
と、ザトーの顔面を思いっきりぶん殴ってやった。
でも、メキッ、という、まるで鉄板でも殴ったかのような感触が拳に伝わる。
「つっ……」
ゴッドハンドで拳を強化していなければ砕けていた……。
「あて、あてて……」
ザトーが少し顔を曲げて、数歩よろめく。
「陛下! 貴様、陛下に何を!?」
と、アンバー・エルルムが血相を変えて立ち上がり、剣の柄を握る。
「よ、よよ、よい、小娘の拳など、きかぬわ……」
ザトーがよろめきながら、アンバー・エルルムを制止させる。
「いたい……」
それにしても、なんて固い顔なの……、鋼鉄ででも出来ているみたいだった……。
私は右手の拳をさする。
「に、しても……、強烈じゃったのう……、これがなければ死んでおったかもしれんぞ……」
と、胸元からあのネックレスを取り出す。
そう、ヒンデンブルクのオリジナルのネックレス、私のと同じデザインのやつ。
「はっきり言って棍棒で殴られるよりも強烈じゃった……」
ザトーが殴られた箇所、こめかみの辺りをしきりにさする。
「やはり、超常の力か……」
と、こめかみをさするのを止め、腕をだらんと下げて私のほうに歩み寄る。
「あの小僧と同じか……、どんな力だ……、どれ、もう一度見せてくれんか……」
ザトーが不気味に笑いながら、私の頬に手を伸ばす。
その手をパチンッ、と横に払ってやる。
「超常って、なんのことよ……」
少し距離を取りながら言う。
「とぼけるなよ、小娘、あの小僧や貴様がやったことだ……、それを見せぇい!!」
尚も私を追い、その肩を掴もうとする。
「しつこいなぁ……、じゃぁ、見せてやるよ、でも、これは超常でもなんでもない……、ただの技術だから……」
と、私はザトーのうしろに立つ、アンバー・エルルムの元へ歩いていく。
「な、なにをっ?」
警戒する彼の襟元を上かガシッと鷲掴みにし、少し手前に引っ張る。
「む?」
すると、彼が半歩前に踏み出す形で踏ん張ろうとする。
そのタイミングで今度は逆にうしろに押してやる。
「おう?」
と、アンバー・エルルムは手を上げてバランスを取ろうとする。
彼のその手の甲を掴み内側にひねり、さらに胸元を下に引きずりながら、軸足を思いっきり払ってやる。
「うあっ!?」
すると、アンバー・エルルムの身体がびっくりするくらい、ぴょーんと上に飛び跳ねる。
それは、まるで、自分で上に跳んだみたいに……。
私はそこから、さらに掴んだ手の甲を返し、彼の身体を反転させ、そのまま背中から地面に落とす。
「くあっ……」
アンバー・エルルムが苦痛に顔を歪ませる。
「お、おお……、なんじゃ、超常の力か……」
ザトーが目を見開く。
「これは超常の力でもなんでもない、ただの技術……、アンバー・エルルム、おまえも一流の戦士、今何をされたかわかっただろう? おまえの口から主に説明してやれ」
と、倒れているアンバー・エルルムに説明を求める。
「あ、ああ……、これには超常の力は働いておりません……」
彼は立ち上がりながら言う。
「ど、どういうことじゃ、小娘がエルルムに触れたと思ったら、上に吹き飛びおったぞ……、あれは見間違いではない……」
「そ、それは、私が自ら跳んだからです……、すべての動きを先読みされ、そう跳ばされるように誘導されたからです……、流れるような一連の動作により、私は上に跳ぶ以外の選択肢はなかった……、驚異的な技です……、ですが、そこには、陛下が言われるような、超常の力はございません、いや、そんなものが入る余地すらない、純然たる技術の塊、私はそれを垣間見ました……」
と、アンバー・エルルムが説明してくれる。
「うん」
私は大きく頷く。
さすが戦士、よく見ている。
「な、なんじゃと……、本当か……?」
「本当よ……、私たちは、剣の民族、ガキでもこのくらいのことは出来るのよ、そして、ハルは私たちの中でも最強の戦士、私より遥かに強い、あなたたちが言うガルディック・バビロンなんか敵じゃないのよ」
と、今だに納得していないザトーに向かって言い放つ。
「ぐぬぬ……」
やつが私を睨む。
私は涼しい顔でやつを見返す。
「剣の民族……、本当なのか……、そんなものがこの世に……」
ザトーが真偽を確かめるように私を睨み続ける。
まぁ、もちろん、剣の民族なんて私が今、適当に考えたウソなんだけどね。
「わかった……、とりあえずは信じることにしよう……」
根負けしてザトーが折れる。
「賢明ね……」
よし!
と、振り返りながら小さくガッツポーズをする。
「ハルー!!」
そして、そのまま小さくガッツポーズをしながら、功労者である和泉春月の元へ走っていく。
「よろしいので、陛下……?」
「かわまん……、50年待ったのだ、少しくらい泳がせておいてもよい、そのための砦じゃ……、50年前のように殺してしまっては元も子もない……」
「御意……」
と、そんな話し声が聞えてくるけど、気にせず和泉の元に走っていく。
「うわぁ……」
石垣とか砂の上に虫の身体の一部や体液が付着している……。
私はそれを見ないように一目散に走り抜ける。
「ハルー!!」
到着。
「やばい、傷が深い……」
「魔法を使うか……」
「いや、俺では無理だ、この傷では……、綾原とか海老名じゃないと……」
と、南条と東園寺が話している。
「ハル、大丈夫……?」
私は二人の間から和泉を覗き込む。
「あ、ああ……」
と、苦しそうに答える。
その姿は痛々しく、真っ白なレザーメイルは血に染まり、特に左肩が酷く、深くえぐられ、大量出血していた……。
「とりあえず、応急処置だけでも」
「ナビーフィユリナ、囲え……」
「あ、うん……」
と、和泉を周りから見えないようにする。
「アスタナ、美くしき、流れのほとりで、慈雨にその身を任せ、癒しの精霊糸」
そして、南条が小さく魔法を唱え、そっと、和泉の左肩に手を添える。
「いや、やめろ、みんなの頑張りを無駄にしたくない……」
と、和泉が魔法を止めさる。
「出血だけでもなんとかしないと命にかかわるぞ、和泉……」
「大丈夫だ、南条」
それでも固辞し続ける。
「手当てをいたしましょう、これほどの勇者を失うのは惜しい」
と、マジョーライが部下を引き連れてやってくる。
「すまない、よろしく頼む」
その提案に東園寺が答え、私が通訳する。
「それでは……」
と、和泉は兵士たちに両脇から抱えられ、別室へと消えていく。
「治療のあいだ、皆様はこちらへ」
マジョーライにこっちにくるようにと手招きされる。
私たちはそれに従う。
「それでは、条約の効力は1ヶ月後より発生ということで……」
別室に通されるなり、マジョーライにそう言われる。
「1ヶ月後ですね……」
東園寺が頷く。
「細かな取り決めも必要ですね……、わかりました、今度はこちらから、そちらにお伺いいたします、その折はよろしくお願いします」
「かたじけない……」
「また、帝国との交易、取り引きを1ヶ月を待たずして始められても結構です、その際はこちらを掲げておいてください」
と、マジョーライから豪華な三角形のタペストリーのような旗を渡される。
「かたじけない……」
「それと……、代表の方には身分を授けます、こちらを……」
これまた豪華な金色の短い杖を東園寺に渡す。
「名誉騎士の証です、こちらをお持ちになれば、帝国内、どこでも、騎士長クラスの待遇が受けられるようになります」
「かたじけない……」
「こんなところですかね……、では、治療が終わるまでお待ちください……」
と、マジョーライとその部下が丁重に礼をして部屋をあとにする。
「ふぅ、やっと終わったぁ……」
南条がソファーの上に崩れ落ちる。
「疲れたねぇ……」
と、私もその横に腰掛ける。
「油断するなよ、二人とも、和泉もどうなっているかわからん……」
「はぁい」
「ういーっす」
と、気を引き締めるけど、最後まで何事もなく進み、私たちは砦の前に呼び出される。
「ハルー!!」
門の前には包帯ぐるぐる巻きの和泉がいた。
「大丈夫か、和泉」
「ああ、心配かけたな、東園寺、みんなも……」
笑顔を覗かせる。
「その怪我では歩くのも大変でしょう……、こちらをお使いください、お貸しします……」
マジョーライが馬を引いてくる。
「かたじけない、必ずお返しします」
馬には和泉が着用していた白いレザーメイルも積まれていた。
「あ、気に入ったから、いただいてきちゃった」
と、和泉が照れたように笑う。
「では……」
兵士たちに手伝われて和泉が馬に乗る。
その手綱を東園寺に渡す。
「またお会いしましょう」
マジョーライがにこやかに言う。
「ええ、本日はありがとうございました……、では、行くぞ!」
東園寺がそう言葉を返し馬の手綱を引く。
「おお!」
と、私は白クマのリュックサックを背負い直し、拳を突き上げて叫ぶ。
こうして私たちは帝国との会談を無事に終え、ラグナロクへの帰路につくことになった。
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