上 下
53 / 62

53.不二君が休みだっ!!

しおりを挟む
不二ふじ君が最近お休みだ・・・。
白峰しらみね先生の怪しげな動きを警戒していた矢先、不二君がお休みだなんて。
幼馴染の広瀬ひろせ君に聞いても、
「なんか、出てきてくんねーんだよな。家も留守っぽいし。そういえば、学校来なくなる前、保健室の先生に放課後呼ばれてたんだよな。健康診断どっか悪かったのかな」という。なんとも、怪しすぎるっ!!

監禁されている?!不二君の貞操は無事ですか!??いやいや、なんか理由があるんだろう。変な妄想をして不二君に変態だと言われたばかりだ。落ち着け落ち着け。

冷静に考えて風邪かな?あの怪力からして、勝手に風邪とか引かないんじゃないかと思ってしまっていた。そういえば、不二君の家とか連絡先とか知らないな。九頭谷くずたに先輩にも聞いてみるか。

放課後、2年3組の教室に行って九頭谷先輩に不二君が休んでいることを伝える。
「え、不二来てないの?」
「なんか知ってます?」
「いや、全然。そういえば連絡こねーな」といって九頭谷先輩はスマホを開いてメッセージを確認しているようだった。2人ってどんなやり取りしてるんだろう・・・。
「体調不良とかかなー?電話してみっか」
と言ってスマホを耳に当てて、電話を掛けるが一向に出る気配はないようだった。

「私、学校探してきます!」
と言って、走っていた。
「ええ、不二学校にいるか?」と九頭谷先輩がびっくりしている様子だったが、行く当てはもちろん保健室である。あの白峰先生が怪しすぎる!脇役としての直感がそう告げている!!!

「白峰せんせーー!!!」と言って、保健室のドアを勢いよく開けた。ビクッとした白峰先生の様子が見えた。そして、何かを引き出しに隠した、気がする・・・。もう、先生が何をしていても怪しく見えてしまうっ!!

「・・・どうしたんだ。」と若干白峰先生が引き気味に、目を細めて尋ねる。左目はいつも髪の毛で覆われていて見えない。
「不二君、知りません??!!」と言いながら、白峰先生の方は一切見ずに保健室を隈なく見て回る。
「・・・君、私に聞く気は毛頭ないね・・・」等と言っているのが聞こえるが、白峰先生は特に私を止めることもしなかった。不二君をどこに隠したんだー!!と、保健室中を漁ったが、まあ、普通に不二君はいなかった。

「何?不二君、休みなのか?」と白峰先生は言ってくる。先生の細い右目が胡散臭く思えてしまう。

怪しい!白峰先生。なんか違和感を感じる。なんだろう。
むううと考えると、「あ」とかすかな音がしていることに気が付く。携帯のバイブレーションの音。ブー、ブー、という規則的な音がうっすらと聞こえる。

「・・・スマホ鳴ってますよ」と指摘する。
しばらく間があって
「・・・そうだね」と白峰先生は引き出しを開けてスマホは出さずに、引き出しに入れたままタップして着信を切ったようだった。バイブレーションの音が止まった。
「・・・出なくていいんですか」
「勤務中だからね」と目を細めて言い返してくる。
「先生のスマホ、見せてほしいです」
もしかしたら、不二君のスマホを持っているのかもしれない。
「・・・困るなあ。大切な個人情報が詰まっているから生徒には見せられない」
白峰先生は右目を細めたまま、私を見つめる。しばらく膠着状態が続いた。まあ、見せる気はないのだろう。そして、私も十分怪しい生徒になっている自覚があるので引き下がった。

「・・・失礼しました」
と言って保健室を出た。白峰先生について調べた方がいい気がする。先輩にも一応、白峰先生に不二君が襲われているという私の仮説を伝えておこう。恥ずかしい、ただの妄想で済めばいいけれど・・・。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」 このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。 「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。 男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。 「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。 青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。 ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。 「カクヨム」さんが先行投稿になります。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!

春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前! さて、どうやって切り抜けようか? (全6話で完結) ※一般的なざまぁではありません ※他サイト様にも掲載中

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈 
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

悪役令嬢でも死んじゃだめぇ~!

ルナルオ
恋愛
エミリー・ルキラは、容姿、能力共に平凡に見える子爵令嬢。 ある日、素敵な公爵令嬢ラフィーナと仲良くなったエミリーは、トラブルに巻き込まれ、彼女の命を守り、怪我をする。 その際に、エミリーは前世の記憶のような夢をみる。 夢で、この世界は乙女ゲームに見せかけたサバイバルゲームの世界に類似していた。 しかも、そのゲームの中ですぐ死ぬ悪役令嬢の名前が、エミリーが守った公爵令嬢ラフィーナと同じ名前であった。 現実にて、大好きなラフィーナを死なせまいと奮闘するエミリー。 そして何故か、エミリーは、公爵子息、義兄、王子など、様々な高スペック男性に気に入られながらも、国の陰謀に巻き込まれてしまう。 果たして、エミリーは、悪役令嬢を救えるのか!? ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 何番煎じかわからない悪役令嬢の脇役のお話ですが、もちろんコメディです! 数年振りにリハビリがてら書いてみました。楽しんでもらえたら嬉しいです。

処理中です...