魔王に呪いでフェンリルにされたので狼生を謳歌する考えです

第34話

34-1

　見つけた川で、シルフィスが顔を洗っている間周りを見ていた。
　瘴気の影響があるのは植物だけのようで、水や土は他の場所と同じように問題はなかった。
　少しだけ地面を掘ってみたけれど、土の色が変わっているわけでもない。
　瘴気の影響が植物だけなら、地上で生活する魔物か植物に関係している魔物なのだろう。
　そう思っていると、突然木々が揺れだした。風が吹いているわけでもない。
　木々が揺れていることに気が付いたシルフィスが立ち上がり、周りを見渡している。
　鼻を上げて空気の匂いを嗅ぐ。匂いに変化はないような気がするけれど、仄かに甘い匂いがした。何かの植物のような気がするが、歩いてきた道に甘い匂いがするような植物はなかった。
　シルフィスに近づくと、鼻を上げて匂いを嗅ぐ仕草をした。それだけで何を言いたいのか分かったのだろう。顔を少しだけ上にあげて、同じように匂いを嗅いでいる。

「少しだけ甘い匂いがする」

　そう言って、眉間に皺を寄せた。彼女も甘い匂いがする植物がなかったことに気が付いたのだろう。