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第6話

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 ルルカの森に来た師匠は驚いているようだった。昨日あった場所にキノコも木の実もなかったのだ。

「これは、人ではありませんね」

 木の根元にしゃがみ込み、触れている師匠の手元を見た。そこには、キノコの柄が少しだけ残っていた。ナイフで切ったり、無理に千切った跡ではない。まるで動物が噛み千切ったような跡だった。

「キノコや木の実を食べる野生動物はこの森に棲んでいますが、一日で食べつくしてしまう動物はいません。それに、一つのキノコを丸齧りできるような動物もいません」
「他の場所から追われてきた?」
「もしくは、ただルルカの森を通っただけか」

 通っただけならいい。けれど、もしも棲みついてしまっていたら大変だ。キノコを見る限り、体が大きい動物か魔物だ。それが雑食だった場合、森の動物も食べられてしまう。
 ルルカの森に生息する動物の多くは小型だ。キツネなどの動物も棲んではいるが、バランスが取れているのだ。
 そこに別の生き物がやってきたら生態系が崩れてしまう。

「奥に行ってみましょう」

 周りにも同じようなキノコがあり、採取できそうなものは何もなかった。奥に行けば何かがあるかもしれないと、警戒しながら歩く。
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