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第四章 情報屋と情報

情報屋と情報2

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 誰が作ったのかわからないが、朝食は嘘偽りなく美味しいと龍は思っていた。食べている途中で悠鳥も出かけてしまったので、言う相手がいなかったが龍は手を合わせる。
「ご馳走様でした」
 ソファーから立ち上がり食器をキッチンへ持っていく。出かける時に悠鳥が洗わなくていいと言っていたため、食器を流し台に置く。洗っておいてと言われても、今の龍には使い方がわからないので置くだけ。蛇口を捻れば水が出るのだろうと龍はわかっていたが、洗わなくていいと言われたので今度誰かがキッチンを使っている時に尋ねればいいと考えたのだ。そうしなければ、龍は永遠にキッチンに立つことはできないだろう。
 食器を流し台に置いたので、エリスに看病を頼まれた部屋で眠っている黒麒の様子を見に行く。テーブルに置いている本を持って階段を上る。だが、黒麒の部屋がどこなのかを聞いていなかった龍は2階に上がると足を止めた。左右にそれぞれ四つの扉がある。右の奥の部屋は龍が眠っていた部屋なので、そこにいなことはわかっている。
 暫くどうするかを考えていた、龍は目を閉じた。黒麒の気配がしないかを確かめるためだ。気配を感じるのかすらわからなかったが、黒麒が起きているとも限らないので、自分1人でどうにかしなくてはいけない。もしも寝ていたら起こしてしまうことになるので、声をかけることはしたくなかったのだ。目を閉じてゆっくりと息を吐く。すると、僅かに黒麒の気配がする。眠っているからなのかわかりにくいが、龍がいた隣の部屋から気配がしたのだ。気配がわかったことに安堵し、小さくもう一度息を吐いて部屋へと向かう。
 部屋の前に行き、小さくノックをするが返事はなかった。やはり眠っているようだ。静かに扉を開けると、視界に入ったベッドに黒麒が横を向いて眠っているのが見えた。扉を閉めてベッドに近寄ると、こちらを向いて眠る黒麒の口元に右手を当てた。龍は何故か、呼吸をしていないのではないかと思ってしまったのだ。
 だが、右手に呼気が当たり安堵の息を吐く。思わず確かめたくなるほど、黒麒は動いていない。横向きということも関係しているのだろう。
 ベッドの側には椅子が置いてある。それは、龍のいた部屋にもあった机とセットの椅子だろう。黒麒の部屋にも同じものがあるが、椅子はなかった。それならば、白美が黒麒の様子を見に来た時に移動してそのままにしていたのだろう。部屋を見回すと、置いてある物は龍がいた部屋とほとんど変わらない。ただ、本棚には本がびっしり並んでいた。黒麒は本が好きなのか。それとも、本を収集するのが趣味なのか。召喚された時に、知識を得ようとして読んだ物なのか。それは、文字が読めない龍にはわからなかった。背表紙の文字が読めれば、趣味で集めた物なのかがわかったかもしれない。同じような本が並んでいれば、趣味で集めた可能性が高いからだ。
 黒麒を起こすもの申し訳ないので、龍は静かに椅子に座った。そして、本を開く。座っているのだから、少しは文字を覚えようと考えたのだ。だが、読み方がわからないのでページを捲らずに表と睨めっこをする。右の縦の行が『あ行』なのか、それとも違うのか。それすら理解できないのだ。わかっていれば、次の行が『か行』だとわかる。
 やはり、1人ではどうすることもできないと溜息を吐いて早々に本を閉じてしまう。黒麒の部屋の場所もだが、表のことを少しでもエリスや悠鳥に聞いとけばよかったと龍は思った。そうすれば、今ここで少しだけだとしても練習できたかもしれないのだから。暫く閉じた本の表紙を見ていたが、顔を上げて龍は気がついた。黒麒が黙ってこちらを見ていることに。目を覚ましていたことに気がつかなかったので、龍は驚いて声が出そうになった。
「おはようございます。怪我は大丈夫ですか?」
「お、俺は大丈夫だ。それより黒麒こそ大丈夫か?」
「ええ。熱も下がりましたし、大丈夫ですよ」
 今目を覚ましたとは思えないほど、はっきりとした声だった。もしかすると、龍が本を見ていた時間が思ったより長かったのかもしれない。時間を確認したくても、この部屋には時計のようなものはない。それどころか、この世界に来てから時計を見た記憶はない。みんなはどうやって時間を確認しているのかと龍は疑問に思った。もしかすると、太陽の位置で理解することができるのかもしれない。それならば、太陽が見えない日はどうするのか。龍は思ったより体調がよさそうな黒麒に聞いてみることにした。
「時計が無いけど……時間ってどうやって確認してるんだ?」
「時間……ですか? この家には時計はありませんからね。……意識したことはないですが、お昼と15時と18時に施設の鐘が鳴るので、それで時間を判断していますね」
「施設?」
「ええ。ご両親のいない子供達の暮らしている施設ですよ」
 この世界にも孤児のための施設が存在しているのかと思いながらも、何故か龍には懐かしく感じた。記憶が戻っていない龍には、施設で暮らしていた記憶がないため、どうして懐かしく感じるのかはわからなかった。
 懐かしく感じることに疑問を覚えたようだが何も言わなかった。自分のいた世界にも施設があると無意識に思っていることから、それで懐かしく感じているのだと思うことにしたようだ。ベッドに起き上がった黒麒は、軽く伸びをした。
「おや、その本は?」
 そして龍の持つ本に気がついて黒麒が尋ねてくるので、それを持ち上げて表紙を見せる。子供向けというのは表紙からもわかるだろう。だが、そのことについては黒麒は何も言わない。もしかすると、黒麒にも覚えがあるのかもしれない。
「ああ、悠鳥が国王から俺に渡してくれと頼まれたらしい」
「なるほど。以前に話したことを覚えていたんですね」
 微笑を浮かべて言う黒麒に、龍は首を傾げた。龍がいる時に国王と話をした記憶はない。他の人達が国王と話しているところも一度も見たことがない。黒麒はいつも一緒にいたため、いつの間に話したのかと疑問に思ったのだ。だが、龍が意識を失ったあとや眠っている間に国王が来ていた可能性はなくもない。それならば、その時に本を置いて行ってもいいと思うのだが、突然渡そうと思い至ったのかもしれない。
 それに、龍が眠っている時に国王が来たのだとすれば黒麒は目を覚まして話しをしたのだろうか。だが、黒麒も眠っていたのではないのか。手紙のやり取りだとしても、話すとは言わないだろう。他に連絡手段があるのかもしれないと思い、龍は尋ねることにした。
「国王との連絡手段があるのか?」
「通信魔法で連絡をとることはできます」
 通信魔法は遠くにいる人と連絡をとることのできる魔法だ。水晶や鏡、水など相手が映り込むものを使えば通信ができる。だが、相手の元にも水晶などがないと意味がない。しかし、それらに曇りがあったり罅があると使用することはできないのだ。一般的に通信魔法は水晶で行うことが多い。だが、水があれば通信魔法を使用できるので水晶があっても場合によってはコップに水を溜めて使用することもある。ただ、曇りの日は外で使用する場合、水に雲が映り込んでしまうので使用することはできない。水に何かが映り込むと、使用することはできないのだ。ちなみに、この家に通信魔法で連絡できるものは洗面所の鏡くらいだ。だが、エリスは通信魔法を使用しないため、エリスへの連絡手段は手紙と直接訪れる以外の方法はないといってもいい。
 それに、通信魔法は名前の通り通信するだけで、物を渡すことはできない。重要なことも話すには少々危険だ。どこで誰が聞いているかわからないのだ。通信を傍受されないとも限らない。だから、そのため国王とは通信魔法で話すことはない。
「ですが、国王とは直接しか話しません。実はこの間の戦いで駆けつけてくれた時に話したんですよ。貴方のことをね。褒めていましたよ」
 龍はすでにその時に意識がなかったので知りもしない。国王とそんな話をしていないということ、まともに話す時間すらなかったことを。国王は国境付近に残り、エリス達は馬車に乗りヴェルオウルに戻ろうとしていたのだから。話す時間なんかそんなになかったのだ。僅かでも意識があれば、それが嘘だと気がついただろうが、今の龍には気がつくことはできなかった。
 だが、それとは別に黒麒の言葉に龍は首を傾げた。国王が龍を褒めるとは何に対してなのかわからなかったからだ。龍は誰かを倒したり、追い払ったりしていない。まともに戦うこともしていないため、褒めていたと言われても首を傾げるしかないのだ。それに、魔物嫌いの国王が褒めるとはどういうことなのだろうか。褒めるべき出来事があれば、それが魔物であろうと関係ないということなのだろうか。
 その時に何故龍が文字を読めないという話になったのかも疑問には思った。戦いが終わっていたとしても、ゆっくり話ができる状況ではなかっただろう。クロイズ王国の人間が近くにいたのだから。もしかすると、国王を見た誰かが攻撃しないとも限らない。
「私達が病院に運ばれると、一般の方々に迷惑がかかるのでここへ運んでいただいた時に、暫くしてからやって来た国王が龍さんの部屋にある本棚を見て疑問に思っていたようでしたので、文字が読めないことを話したんです」
 わざわざ国王が家までやって来たことに驚く龍だが、本棚を見て疑問に思い本を届けてもらうほど龍は国王と面識はない。素顔を知らなければ話をしたこともないし、声も聞いたことはないのだ。それなのに、何故国王はここまでのことをしてくれるのか。倒れた黒麒の様子を見に来ただけではなく、どうして龍の様子も見たのか。いつもの国王であれば、魔物である龍には近づこうという考えもないだろうし、本棚を見ても何も気にはしなかっただろう。国境付近で話したのではなく、家に来た時に話したのだと知った龍は疑問に思ってしまった。本当に、自分は何をしたのだろうかと。
 それでも国王が気にする何かを龍はしたのだろう。龍自身何かをした記憶はなかったが、どうやら国王にとっては魔物であろうとも気になる何かをしたようだ。そうでなければ、龍を気にすることもないだろうし、わざわざ本をくれることもないだろう。龍には国王の考えはよくわからなかったが、手に持つ本で必ず文字を読めるようになろうと決めて口を開いた。
「病み上がりなところ悪いんだけど、文字の読み方を教えてもらってもいいか?」
「私より悠鳥さんのほうが教え方は上手ですが、私でよろしければ」
 黒麒に本を渡して、龍は見やすいように椅子ごと移動する。ベッドに起き上がっている黒麒に移動してもらうわけにはいかない。だから、自分が見やすいようにと移動したのだ。
 右から縦が『あ行』その隣が『か行』。龍が思い浮かべたあいうえお表と全く同じものだった。そのこともあり、覚えやすいと龍は思いながら文字をノートに書いていく。しかし、あいうえお表を詳しくは知らない。それに濁音や半濁音があるのかもわからない。
 それらをなしにしても、黒麒の教え方はわかりやすいものだった。悠鳥のほうが上手いとは言っていたが、黒麒の教え方で充分だと龍は思っていた。ただ、龍は教え方が上手いという悠鳥の教え方にも興味はあったが、今後文字を教えてもらうような機会は訪れないだろう。ノートに文字を練習し、間違えれば書くコツを教えてくれる。それで充分なのだ。
 頭に入りやすい文字の書き方の説明や、似た文字。間違いやすい文字の教え方は文句の言いようがない。どこを注意すれば間違えることはないと教えてくれる黒麒だが、悠鳥はそこまで親切ではないような気が龍はしていた。
「ふふふ」
「どうした?」
 突然小さく笑いだす黒麒に、何かおかしなことでもしたのだろうかと思い龍は尋ねる。文字を書き間違えたのか、それとも変な顔でもしていたのか。龍にはわからなかった。
「いいえ、すみません。龍さんを笑ったのではありませんので安心してください。ただ、主とのこと思い出したもので」
「エリスとのこと?」
「ええ。私もこのように文字を教えてもらったことがありましたので」
 黒麒は元々存在していた魔物ではなく、エリスが本から召喚した挿絵だった魔物だ。本から召喚された存在だったため、文字の読み書きができなかったのだろう。だから、黒麒もエリスに教えてもらったのだ。
 白美と悠鳥の2人は元々この世界に存在していた。しかし、黒麒は図鑑に描かれたただの挿絵だったのだ。エリスに召喚されるその瞬間まで命のないただの挿絵。魔力が少しでもある人間が描けば絵にすら命が宿ることもある。
 だが、黒麒は命が宿っていなかった。同じ図鑑に描かれた他の挿絵も同じ。だから、本の中にいた頃の記憶は全くない。命が宿っている絵には、たとえそこが本であろうと本の中にいた頃の記憶があり、さらには本の中であっても動くことができる。しかし、黒麒はそれらがなかったのだ。
 黒麒の記憶の始まりは、エリスに召喚されたその瞬間からだ。本から召喚された、命が宿ったその瞬間からが彼の記憶の始まりだ。目を閉じ、当時のことを思い出しながら黒麒は龍に話し始める。文字の練習は一旦休憩することにして、龍は黒麒の言葉に耳を傾けた。龍は黒麒の話に興味があった。本から召喚された黒麒が、その時何を思ったのか。そして、エリスをどう思ったのか。それが、気になっていたのだ。











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