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第四章

第05話 支度

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 静かなお昼を食べ終わり、私は1人部屋で本を読んでいた。けれど考えるのは10年前のこと。どうしてルード国王は馬車に乗ることもなく留守番をしていたのか。
 考えてもわかるはずのないことをただただ考えていた。だから、本のベージを捲ることもない。
 考えてからどのくらいたっただろうか。突然部屋の扉をノックする音が聞こえた。誰が来たのかと返事をすると、ワイナが扉を開いた。
「ワイナ?」
「ロベリア様、そろそろ支度をしてください」
「支度? どこかへ行くの?」
「……旦那様はお伝えしていないのですね」
 近くに父様がいないからだろう。ため息をついて言う。ワイナの言葉に何かあっただろうかと考えて、すぐにどこへ行くのかがわかった。
 城だ。
 国王が私に会いたがっているのだ。どうして私に会いたいのかはわからないけれど、まさか伝えられた当日に行くとは思うはずもない。
 もしも私が帰宅していなければ、どうするつもりだったのだろうか。私を探していたのだろうか。
 今日聞いたばかりのため心の準備もできていない。それなのに、国王に会わなくてはいけないのだ。今の格好で国王に会っても構わないと私は思うのだけれど、父様が許さないだろう。
 それに、国王に会うのだからそれなりに身だしなみを整えなくては失礼だろう。口にすることはなく面倒だと思いため息をついて本を閉じた。
 ワイナは私がどうしてため息をついたのかを理解しているのだろう。小さく笑っている。
 着替えはどれがいいかと言うワイナだけれど、私のドレスなんかはこの間のパーティーで着ていたものしかない。どうせそれに着替えるのだ。
 部屋に入ってきたワイナは手にドレスを持っていた。扉を閉めて私に近づいてくる。そこで、ワイナが手にしているドレスが1着ではないことに気がついた。
 1着は、私がこの間着ていたものだろう。しかし、他は違う。けれど、見覚えがある気がする。
「トルメラ様とティーア様が着ていたドレスも持ってまいりました」
「姉様達が着ていたドレス……」
 言われてみれば姉様達が以前パーティーへ出かけるときに着ていた記憶がある。けれど、それを私が着れるのかはわからない。
 何故なら、姉様達は父様と母様と同じように身長が私より高いのだ。私と同じ年齢のときですら私より高かった。
 それなのに、私は身長が低い。サイズが合わないのではないだろうか。
 ワイナは2着のドレスをベッドに置いて、1着を立ち上がった私に合わせた。思った通り、私にはサイズが合わず、ドレスが床についてしまっていた。
 もう1着も同じだろうと思っていた通り、やはり床についてしまっていた。私はどうして身長が低いのかと思ったことがあったけれど、両親が違うのだから仕方がないことだたったのだろう。
「私はやっぱり、このドレスでいいかな。今から直すには時間も足りないだろうから」
「ロベリア様にお似合いなんですけど、仕方がないですよね」
 残念そうに言うワイナに、小さく笑いながら着替えをはじめた。
 着替えが終わると、ワイナは髪をとかしてくれる。それだけでも、少しは変わるのだ。結わえるだけの長さもないため、髪はとかす以外のことは何もしなかった。
 それから30分ほどがたったころ、城から迎えがやって来た。対応したのは母様で、部屋までやって来た。私とワイナが部屋から出て階段を下りるときに、父様が自分の部屋の前に立って微笑んでいるのが見えた。









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