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第三章

第04話 1人暮らし

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 バスタオルを両肩にかけながら、脱衣所の扉を開いた。ロベリアさんは黙ってテレビを見ていた。何かを考えているようだったので、あえて声をかけることはしなかった。
 ソファーの後ろを通り、夕食の準備をすることにした。流石にロベリアさんもお腹が空いただろうと思ったからだ。
 準備をしている間、ロベリアさんは何も言わなかった。座る場所はソファー1つしかないため、ロベリアさんの前と横にそれぞれ食器などを並べていく。
 そして、準備が終わると2人で夕食を食べはじめた。ロベリアさんが肉じゃがを食べて「美味しい」と言ってくれたのがとても嬉しかった。
 誰かのために作るということは一度もなかったため、美味しいと言われたことがなかったのだ。自分が食べるためだけに作ったけれど、美味しいと言ってもらえることはとても嬉しいものだとはじめて知った。
 そのこと名を口にしたときのロベリアさんの目には、先ほどよりも輝きが戻っている気がした。
 それからはただ黙々と夕食をすませて、食器を洗い、ロベリアさんの隣に座った。テレビでは、獣人族の男性がニュースを読んでいた。
 この国には全く関係のないことばかりだったため、そんなことがあったのかと思う程度だった。大きな事件があったわけではないようだ。
「あの、ギルバーツさん」
「ん? どうしたの?」
 ニュースが終わったと同時に、ロベリアさんは口を開いた。顔を向けると、ロベリアさんは来ているスウェットを見ていた。
 何が言いたいのかがわかってしまった。どうして家に、女性物のスウェットがあるのかと疑問に思ったのだろう。
「このスウェットって、誰のなんですか?」
 やはり思った通りだった。今現在自宅に1人しかいないのに、どうして女性物があるのか。疑問に思って当たり前だろう。
 それに、一軒家に住んでいるのだ。1人で住んでいるとは思わないかもしれない。
「それは、母さんのなんだ」
「ギルバーツさんのお母さんの……」
「と言っても、18年前に父さんと一緒に出て行ったんだけどね。だから、ずっと1人暮らし」
「え……」
 俺の言葉にロベリアさんは驚いたようだ。ここまで話したのなら、ロベリアさんになら話してもいいと思った。
 どうして両親が出て行ったのかというのも、きっと今の言葉で気になってしまっているだろう。
「じゃあ、ちょっと昔話を聞いてくれるかい?」
 そう言った言葉に、ロベリアさんは一度頷いた。やはり、気になっていたのか。それとも、俺の昔話を聞きたかったのか。どちらかはわからない。
 けれど、聞いてくれるということなので俺は目を閉じて当時を思い出しながら話をはじめた。









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