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18話
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メイドに案内されて向かった部屋は、客人用というよりは、王宮で働いているメイドや執事のための使用人部屋に近かった。けれど使用人部屋よりは広く、ベッドも二つあることから客人用ではあるが、貴族専用の部屋なのかもしれない。
クローゼットなどもあることから、数日間の滞在もできるようだ。
「それでは、後ほど食事をお持ちします」
そう言って頭を下げたメイドは、救急箱を持ったまま扉を閉めた。救急箱が必要ないことは分かっていたのだろう。ルージュはわざわざ持って来てくれたのに、申し訳ないことをしてしまったと小さく息を吐いた。
けれど待っていたら、ノワールの容体は悪化していただろう。
扉が閉まると、ノワールはすぐに奥のベッドへと向かった。食事を持ってくると言っていたのでイスに座って待つこともできたのだがベッドに行くということは、もしかすると体調が悪いのを我慢していたのかもしれない。
他国の国王がいるということもあって、先に休むことをしたくなかったのだろうか。たとえそうであっても、ノワールは怪我をしたのだから先に休むべきだろう。
ベッドに座ると、靴を脱いで小さく息を吐いてすぐに横になった。
「大丈夫?」
ルージュはもう一つのベッドに座って仰向けに寝転がり、左腕で目元を隠して黙り込んでしまったノワールに声をかける。
答えられないほど体調が悪いのなら、返答がなかった場合は黙っていようと考えていたルージュだったが、ノワールは腕を避けるとルージュへと視線を向けた。
クローゼットなどもあることから、数日間の滞在もできるようだ。
「それでは、後ほど食事をお持ちします」
そう言って頭を下げたメイドは、救急箱を持ったまま扉を閉めた。救急箱が必要ないことは分かっていたのだろう。ルージュはわざわざ持って来てくれたのに、申し訳ないことをしてしまったと小さく息を吐いた。
けれど待っていたら、ノワールの容体は悪化していただろう。
扉が閉まると、ノワールはすぐに奥のベッドへと向かった。食事を持ってくると言っていたのでイスに座って待つこともできたのだがベッドに行くということは、もしかすると体調が悪いのを我慢していたのかもしれない。
他国の国王がいるということもあって、先に休むことをしたくなかったのだろうか。たとえそうであっても、ノワールは怪我をしたのだから先に休むべきだろう。
ベッドに座ると、靴を脱いで小さく息を吐いてすぐに横になった。
「大丈夫?」
ルージュはもう一つのベッドに座って仰向けに寝転がり、左腕で目元を隠して黙り込んでしまったノワールに声をかける。
答えられないほど体調が悪いのなら、返答がなかった場合は黙っていようと考えていたルージュだったが、ノワールは腕を避けるとルージュへと視線を向けた。
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