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14話
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しおりを挟む「すみません。少しよろしいでしょうか?」
「はい。いかがなさいましたか?」
話かけられて少し驚いている様子のメイドは、すぐにルージュに気がついたようだ。緊張でもしていたのか、少し表情が硬かったがルージュを見ると嬉しそうな顔をした。
まさかこんなところでうさぎを見ることができるとは思うはずがないだろう。
「どうやらこの子が、大勢の人に緊張してしまってニンジンが食べられないようなんだ。できれば人がいない部屋を貸してもらいたいんだが、無理だろうか?」
「構いませんよ。体調を崩す人もいらっしゃるかもしれないからと、国王様がいくつかの部屋の使用許可を出してくださいましたのでそちらにご案内させていただきます」
そう言うと、その部屋まで案内をしてくれる。
ルージュは大勢の人に緊張はしていない。これから起こるかもしれない出来事には少し不安ではあった。しかしそのことを考えると、食べ物が喉を通らないのはあっていた。
しばらく誰もいない廊下を歩くと、一つの扉の前で立ち止まった。ノックをして返事が返ってこないと分かると、扉を開いて「こちらをご利用ください」と室内に通してくれた。
「それでは、失礼いたします」
頭を下げてそう言うと、扉を閉めて立ち去って行った。
ノワールが部屋に備え付けられているベッドに近づくと、ルージュはそこに下された。体調を崩す人もいるかもしれないということで使用許可が出た部屋なのだから、ベッドが置いてあって当然なのだろう。
あとはルージュが元に戻ればいい。そうすれば広間に戻る。落ち着くために一度大きく息を吐くと、持ったままのニンジンを食べ始めた。手にしたまま食べないなんてもったいないと思ったようだ。
小さなニンジンはすぐに食べ終わってしまった。立ったままでいたノワールは、ルージュの横に腰を下ろして元に戻るのを待っている。何も話さないまま時間が過ぎていく。
ルージュはこの部屋に来てから落ち着くことができたので、そろそろ戻れるだろうと思ったと同時に元に戻ることができた。
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