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10話

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 それだけで理解出来たのだろう。ゼファーはポケットに手を入れると、そこから鍵を取り出した。しかし、鍵を持ったまま動こうとはしない。どうやら、理由を話さなければ開ける気がないようだ。

「ゆっくり話してる時間はない。ただ、呪いの解除方法を知るためには必要なんだ」

 呪いと聞いた瞬間、ゼファーは眉を顰めた。禁忌魔法である呪いが、誰かにかけられていると分かったからだろう。
 どこの誰に呪いがかけられたのか。気になるのだろう。一度口を開くと、すぐに閉じてしまった。急いでいる様子から、中に入ってからでもいいと考えたようだ。
 扉に近づくと、鍵を開く。重い音をたてて開く扉。扉が開ききる前に、ノワールは僅かな隙間から中へと入って行った。急いでいる様子に驚きながらゼファーも中に入ると、他に誰も入らないようにすぐに扉を閉めた。
 中は狭く、本で埋め尽くされている。その中から目的の本を見つけたのだろう。ノワールは一冊の本を手に取り、内容を確認している。

「それで、説明をしていただいても?」
「ああ。例の聖女様がうさぎになる呪いをかけられたんだ」

 それだけで、聖女が誰なのかゼファーは理解することができた。聖女はルージュしかいないのだ。
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