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7話
7-5
しおりを挟む「よいしょ」
『え!?』
突然の浮遊感にルージュは驚いた。ノワールが再度抱き上げたのだ。ルージュが見上げると、嬉しそうに笑みを浮かべたノワールの顔が見える。
彼は、自分が抱き上げているうさぎが本当は人間の女性だということを理解しているはずなのだが、気にはならないようだ。
頭を撫でるノワールはうさぎであれば構わないように見える。先ほどのことを考えると、元に戻るには時間が経たなくてはいけない。
ルージュには、うさぎになる条件と戻る条件は分かっていた。そのことを伝えたくても、うさぎになった彼女の声は届かないので元に戻らなくてはいけない。
しかし、ノワールの様子からすぐに放してはくれないだろう。放してもらうには、しばらく撫でられ続けなくてはいけない。
(ソレイユ王国にはうさぎが生息している地域はないのかしら?)
ディオース王国の森には、小型のうさぎが生息していた。人間を見たら逃げてしまうので、触ることはできなかった。
もしかすると、ソレイユ王国にもうさぎは生息しているが同じように逃げてしまうのかもしれない。そうだとすれば、うさぎを見たら触りたくなる気持ちも分からないでもない。
ルージュは小さく溜息を吐くと、満足するまで触らせてあげることにしたようだ。撫でられることは慣れていないので、まだ顔が赤いのだろう。だからすぐに元には戻らないのだ。
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