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6話
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着替えを終えてノワールに声をかけたあと、他の身支度を済ませて食べる果物を用意した。いくつかノワールが食べたいと言ったものも用意し、二人ということもあって多くの果物を消費することができた。
二人で果物を食べたあと、ノワールは「少し出てくる」と言って何処かに行ってしまった。
その言葉から、ノワールは帰宅したのではなく戻ってくるつもりだということが分かる。そうでなければ帰ると言っていただろう。
ルージュは何もすることがないので、天気がいいことから外で持ってきた本を読むことにした。ログハウスの外扉の隣に一人用のイスが置いてある。カバンから取り出した本を手に外に出ると、眩しくて目を細めた。天気が良く、飛び回っている鳥の囀りが聞こえる。
持ってきた本は『美しき金糸の髪の令嬢』。前世ではゲーム、そしてこの世界では小説として異なるタイトルで存在していた。この物語では金糸の髪の令嬢が聖女であり、悪役令嬢は嫉妬から嫌がらせをするだけの存在だ。
王子には婚約者がいる。それが悪役令嬢だ。婚約者がいるにもかかわらず、金糸の髪の令嬢を気にかけて一緒にいることが多ければ婚約者が嫉妬するのは当然だろう。
ルージュは小説の悪役令嬢と、追放前の自分を少しだけ重ねてしまっていた。違うのは、嫉妬をして嫌がらせをしなかったということだ。小説の悪役令嬢と全く同じなのは、ゲームの世界の『ルージュ』だろう。
もしも今のルージュが転生していたのが、ヒロインであるリラであった場合は同じ運命を辿っていたことだろう。ゲームの通りに悪役令嬢である『ルージュ』が嫌がらせをしてくるのだから。
(あのバカ王子と一緒になるリラ嬢より、『ルージュ』に転生したのはよかったのかもしれない。もしかすると、また浮気をするかもしれないし)
小説を読みながら悪役令嬢に同情してしまうのは、ルージュがその立場だったからだろう。ゲームをプレイしていただけでは、悪役令嬢に同情することはできなかっただろう。
しかし相手にも事情があるのだ。
二人で果物を食べたあと、ノワールは「少し出てくる」と言って何処かに行ってしまった。
その言葉から、ノワールは帰宅したのではなく戻ってくるつもりだということが分かる。そうでなければ帰ると言っていただろう。
ルージュは何もすることがないので、天気がいいことから外で持ってきた本を読むことにした。ログハウスの外扉の隣に一人用のイスが置いてある。カバンから取り出した本を手に外に出ると、眩しくて目を細めた。天気が良く、飛び回っている鳥の囀りが聞こえる。
持ってきた本は『美しき金糸の髪の令嬢』。前世ではゲーム、そしてこの世界では小説として異なるタイトルで存在していた。この物語では金糸の髪の令嬢が聖女であり、悪役令嬢は嫉妬から嫌がらせをするだけの存在だ。
王子には婚約者がいる。それが悪役令嬢だ。婚約者がいるにもかかわらず、金糸の髪の令嬢を気にかけて一緒にいることが多ければ婚約者が嫉妬するのは当然だろう。
ルージュは小説の悪役令嬢と、追放前の自分を少しだけ重ねてしまっていた。違うのは、嫉妬をして嫌がらせをしなかったということだ。小説の悪役令嬢と全く同じなのは、ゲームの世界の『ルージュ』だろう。
もしも今のルージュが転生していたのが、ヒロインであるリラであった場合は同じ運命を辿っていたことだろう。ゲームの通りに悪役令嬢である『ルージュ』が嫌がらせをしてくるのだから。
(あのバカ王子と一緒になるリラ嬢より、『ルージュ』に転生したのはよかったのかもしれない。もしかすると、また浮気をするかもしれないし)
小説を読みながら悪役令嬢に同情してしまうのは、ルージュがその立場だったからだろう。ゲームをプレイしていただけでは、悪役令嬢に同情することはできなかっただろう。
しかし相手にも事情があるのだ。
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