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 アンティークの並んだ広い応接室で、2人の青年が真剣な面持ちで話をしている。交渉は佳境に入ろうとしていた。

「いいですよ。全て用意させましょう」
「――ほんとか?!」
 
 黒髪の青年が思わず身を乗り出す。藍色の瞳の青年は、涼やかな声で手を差し出した。
 
「ただし、条件があります」




 
 巨大な板チョコみたいな扉を、後ろ手でパタンと閉める。思わず溜め息が洩れた。
 
「どうだった?」
 
 部屋にいた仲間達が、それぞれ期待をこめてこちらに視線を向ける。一拍置いて顔を上げた。
 
「協力を取り付けた。精鋭を派遣してくれるって約束だ。魔獣もついてる。船も1隻貸してもらえる」
「加勢してくれるってこと?」
「そうだ」
「条件は?」
「……特にない」
「ない?」
「よくあっさり加勢してくれたね。"彼"のお蔭、なのかな」
「アイツはそんなに義理堅い性格じゃない。貸しでも作る気なんだろう」
 
「……じゃ、そういうことだから」
 
 俺は踵を返して扉に手をかける。
 
「俺、ちょっと、やることがあるから……明日の正午に翡翠亭で待ち合わせでいいか?」
「あ、うん……。わかった」
「また明日」
 
 何かまだ物言いたげな仲間を残し、部屋を出る。
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