24 / 48
七つの厄災【悲哀編】:悲しみは積み重なるものらしいですよ
はじめてのパートナーらしいですよ
しおりを挟む
目を開けたら眼の前におっぱいがあったので、わしづかみにしてみた。
「うひゃあぁ!?」
おっぱいがエウリュアの声で悲鳴をあげる。
「目を覚ましていきなり何するのよ!」
なんて言って怒っているが睨んでる顔も可愛い。ベッドの反対側にはメディがいてエウリュアから本を受け取っていた。あれ?なんで俺ここにいるんだ。
「ここは・・・?エウリュア?メディ?」
「あ、お兄ちゃん、やっと気付いたみたいね。回復魔法が間に合って良かった」
「本当に、心配したんだから――ノゾムがいなくなっちゃったら、私――」
エウリュアが抱きついてきた。俺の体の傷は全て塞がっていた。少しだるさを感じる。
「心配かけてごめんなエウリュア。回復ありがとうメディ」
「お姉ちゃん。約束守ってずっと待っていたんだよ」
「パンドラって人が家に訪ねて来て、洞窟の近くの森にノゾムが倒れているから助けて欲しいって。――約束破ってごめんね」
エウリュアが謝る。パンドラが危険を冒して知らせてくれたのか。
「俺が先に約束破ったんだ。無事に帰ってくるって言ったのにな。ごめんなエウリュア」
「はいはい、イチャイチャするのは後にしてね。一体何が起きたら洞窟が埋まって森に広場ができるのか教えてもらえる?」
メディめ、いい雰囲気になっていたのに邪魔しやがって。たぶん、辺境伯の次の動きを気にしているんだろう。俺は、洞窟と森であったことをざっくり説明した。
「七つの厄災。そんなモノがこの世界にいたなんて――」
「辺境伯も息子夫婦とお孫さんを殺されて――郊外の人を犯人だと吹き込まれたのね。郊外を一掃しようとしていたのも全部。父さんがそれを邪魔したから――」
メディは話の大きさに戸惑っているようだ。エウリュアは辺境伯の話を聞いて複雑な顔をしている。
「なぁメディ、この話うまいこと辺境伯に伝えられないかな」
「お兄ちゃんも物好きだね。冒険者ギルドのギルドマスターと相談してみるよ」
「あー、クリスを使うのね。了解。任せた」
多分ギルドマスターと相談しているのを、クリスから辺境伯に知らせるつもりなんだろう。利用されていたことを知ったら辺境伯も変わるかも知れない。
「じゃあ、お邪魔しちゃ悪いからさっさと相談してくるね。お姉ちゃん、お兄ちゃんは傷がふさがっただけでまだ回復しきってないから無理させちゃ駄目だよ?」
「ちょっとメディ? どういう意味よ?」
「さあ? じゃあ、お兄ちゃん行ってきますー」
エウリュアの抗議の声も虚しく、メディはとっとと出かけてしまった。
「遅くなったけど――ただいま」
「無事ってわけじゃなかったけど、帰ってきてくれてよかった」
エウリュアが振り向き俺をを見つめてくる。
「俺もまた会えて嬉しいよ」
「馬鹿――それじゃあ、会えないと思ってたってことじゃない」
俺とエウリュアが抱き合おうとしたとき、二人の間に箱が飛び出してきた。
「マスターの信頼を確認。Program Rheaを実行します」
箱が輝いて告げると、大量のデータが俺の脳みそにインプットされる。
「くっそ邪魔すんな――。へぇ――そんなこともできるのか」
「何、この箱? どういうこと?」
「なぁ、エウリュア。俺のパートナーになってくれるか?」
「ちょっとノゾム? いきなり何言ってるのよ」
エウリュアが真っ赤になって困りだした。あ、ちょっとニヤニヤしてる。おいおい魔道具、いったいどんな変換したんだ?
【プログラム レアー パートナーシステム】
箱の主人が信頼を寄せる相手をパートナーとして登録し箱の力の一部を貸し与える。
小箱の貸与。箱内のアイテムの共有。箱を通した念話機能。位置情報の共有――など。
小箱ってのは、箱からアイテム取り出したりするときにつかう電話の子機みたいなものらしい。もしくは猫型ロボットのアニメにでてきたスペアポケットか。ただし、形は――。
「なんだ――残念」
「何が残念なんだ?」
「なんでもないわよ!」
エウリュアが不機嫌そうにしている。
「これでずっと一緒だな」
「え? そっか。ずっと一緒にいられるね」
俺がフォローすると不機嫌そうな顔が、にこにことご機嫌にかわった。ほっぺた真っ赤っ赤だ。
「じゃあ、俺の『宣言』のあとに『誓う』と言ってくれな。『我、汝を心から信頼しともに歩むことを誓う。汝は如何や?』」
「ち……ちちちちちちちち――誓います!!」
結婚の誓いの言葉みたいだ。同じことを思ったのか、真っ赤になったエウリュアが叫びながら誓ってくれた。
「パートナー登録完了。小箱生成。パートナーの証としてエウリュアに小箱を貸与します」
箱が落ちて中から一つの指輪でてきた。リングには小さな箱型の蒼い宝石が埋め込まれている。――そう、小箱の形はある程度、俺が決められるんだ。
俺はそれを拾いエウリュアの指にはめた。――もちろん左手の薬指だ。
「へぇー、これの指輪が小箱なの? あっ、頭に。――なるほど、そうやってつかうのね」
エウリュアが指輪を見ながらニコニコしている。あれ? 反応薄いな。左手の薬指なんだからもっと喜んでくれるかと思ったのに。
「なぁ、こっちでは結婚のときに指輪をあげたりしないのか?」
「特にないけど――結婚!? え? これ、そういう意味なの?」
あ、指輪を贈る習慣がないのね。
「俺の世界じゃ、左手の薬指に指輪をはめるのは結婚か婚約の意味だ。エウリュアが嫌じゃなかったら――受け取ってくれると嬉しい」
恥ずかしかったがここは男らしく言い切った。俺の気持ちに嘘はない。
「ノゾムありがとう――こちらこそ、よろしくね」
俺はエウリュアを抱きしめて、誓いのキスをした。
「うひゃあぁ!?」
おっぱいがエウリュアの声で悲鳴をあげる。
「目を覚ましていきなり何するのよ!」
なんて言って怒っているが睨んでる顔も可愛い。ベッドの反対側にはメディがいてエウリュアから本を受け取っていた。あれ?なんで俺ここにいるんだ。
「ここは・・・?エウリュア?メディ?」
「あ、お兄ちゃん、やっと気付いたみたいね。回復魔法が間に合って良かった」
「本当に、心配したんだから――ノゾムがいなくなっちゃったら、私――」
エウリュアが抱きついてきた。俺の体の傷は全て塞がっていた。少しだるさを感じる。
「心配かけてごめんなエウリュア。回復ありがとうメディ」
「お姉ちゃん。約束守ってずっと待っていたんだよ」
「パンドラって人が家に訪ねて来て、洞窟の近くの森にノゾムが倒れているから助けて欲しいって。――約束破ってごめんね」
エウリュアが謝る。パンドラが危険を冒して知らせてくれたのか。
「俺が先に約束破ったんだ。無事に帰ってくるって言ったのにな。ごめんなエウリュア」
「はいはい、イチャイチャするのは後にしてね。一体何が起きたら洞窟が埋まって森に広場ができるのか教えてもらえる?」
メディめ、いい雰囲気になっていたのに邪魔しやがって。たぶん、辺境伯の次の動きを気にしているんだろう。俺は、洞窟と森であったことをざっくり説明した。
「七つの厄災。そんなモノがこの世界にいたなんて――」
「辺境伯も息子夫婦とお孫さんを殺されて――郊外の人を犯人だと吹き込まれたのね。郊外を一掃しようとしていたのも全部。父さんがそれを邪魔したから――」
メディは話の大きさに戸惑っているようだ。エウリュアは辺境伯の話を聞いて複雑な顔をしている。
「なぁメディ、この話うまいこと辺境伯に伝えられないかな」
「お兄ちゃんも物好きだね。冒険者ギルドのギルドマスターと相談してみるよ」
「あー、クリスを使うのね。了解。任せた」
多分ギルドマスターと相談しているのを、クリスから辺境伯に知らせるつもりなんだろう。利用されていたことを知ったら辺境伯も変わるかも知れない。
「じゃあ、お邪魔しちゃ悪いからさっさと相談してくるね。お姉ちゃん、お兄ちゃんは傷がふさがっただけでまだ回復しきってないから無理させちゃ駄目だよ?」
「ちょっとメディ? どういう意味よ?」
「さあ? じゃあ、お兄ちゃん行ってきますー」
エウリュアの抗議の声も虚しく、メディはとっとと出かけてしまった。
「遅くなったけど――ただいま」
「無事ってわけじゃなかったけど、帰ってきてくれてよかった」
エウリュアが振り向き俺をを見つめてくる。
「俺もまた会えて嬉しいよ」
「馬鹿――それじゃあ、会えないと思ってたってことじゃない」
俺とエウリュアが抱き合おうとしたとき、二人の間に箱が飛び出してきた。
「マスターの信頼を確認。Program Rheaを実行します」
箱が輝いて告げると、大量のデータが俺の脳みそにインプットされる。
「くっそ邪魔すんな――。へぇ――そんなこともできるのか」
「何、この箱? どういうこと?」
「なぁ、エウリュア。俺のパートナーになってくれるか?」
「ちょっとノゾム? いきなり何言ってるのよ」
エウリュアが真っ赤になって困りだした。あ、ちょっとニヤニヤしてる。おいおい魔道具、いったいどんな変換したんだ?
【プログラム レアー パートナーシステム】
箱の主人が信頼を寄せる相手をパートナーとして登録し箱の力の一部を貸し与える。
小箱の貸与。箱内のアイテムの共有。箱を通した念話機能。位置情報の共有――など。
小箱ってのは、箱からアイテム取り出したりするときにつかう電話の子機みたいなものらしい。もしくは猫型ロボットのアニメにでてきたスペアポケットか。ただし、形は――。
「なんだ――残念」
「何が残念なんだ?」
「なんでもないわよ!」
エウリュアが不機嫌そうにしている。
「これでずっと一緒だな」
「え? そっか。ずっと一緒にいられるね」
俺がフォローすると不機嫌そうな顔が、にこにことご機嫌にかわった。ほっぺた真っ赤っ赤だ。
「じゃあ、俺の『宣言』のあとに『誓う』と言ってくれな。『我、汝を心から信頼しともに歩むことを誓う。汝は如何や?』」
「ち……ちちちちちちちち――誓います!!」
結婚の誓いの言葉みたいだ。同じことを思ったのか、真っ赤になったエウリュアが叫びながら誓ってくれた。
「パートナー登録完了。小箱生成。パートナーの証としてエウリュアに小箱を貸与します」
箱が落ちて中から一つの指輪でてきた。リングには小さな箱型の蒼い宝石が埋め込まれている。――そう、小箱の形はある程度、俺が決められるんだ。
俺はそれを拾いエウリュアの指にはめた。――もちろん左手の薬指だ。
「へぇー、これの指輪が小箱なの? あっ、頭に。――なるほど、そうやってつかうのね」
エウリュアが指輪を見ながらニコニコしている。あれ? 反応薄いな。左手の薬指なんだからもっと喜んでくれるかと思ったのに。
「なぁ、こっちでは結婚のときに指輪をあげたりしないのか?」
「特にないけど――結婚!? え? これ、そういう意味なの?」
あ、指輪を贈る習慣がないのね。
「俺の世界じゃ、左手の薬指に指輪をはめるのは結婚か婚約の意味だ。エウリュアが嫌じゃなかったら――受け取ってくれると嬉しい」
恥ずかしかったがここは男らしく言い切った。俺の気持ちに嘘はない。
「ノゾムありがとう――こちらこそ、よろしくね」
俺はエウリュアを抱きしめて、誓いのキスをした。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

運命の剣
カブトム誌
ファンタジー
剣と魔法の世界で、名門家の若き剣士アリオスは、家族の期待と名声に押し潰されそうになりながらも、真の力を求めて孤独な戦いに挑む。しかし、心の中にある「一人で全てを背負う」という思い込みが彼を試練に追い込む。自分の弱さを克服するため、アリオスは命がけの冒険に出るが、そこで出会った仲間たちとの絆が彼の人生を大きく変える。
過去の恐れを乗り越え、仲間と共に闇の力に立ち向かうアリオスの成長の物語。挫折と成長、そして仲間との絆が織りなす感動的なファンタジー。最後に待ち受けるのは、真の強さとは何かを知ったアリオスが切り開く新たな未来だ。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。

10秒先が見えるだけの普通で不遇な付与術士だった僕は、死の宣告が出来るギルド職員になりました
まったりー
ファンタジー
普通の付与魔法士だった主人公は勇者PTで強くなり、ある日スキルが進化して未来が見える様になりました。
スキルを使い勇者PTを強くしていきましたが、未来を見た時自分が追放されることを知り、その未来を避ける為に未来予知のスキルを使いましたが、どんなに繰り返してもその未来は変わる事はありませんでした。
そして、勇者PTにいる情熱が無くなり、他の道を歩むことに決めた主人公は冒険者ギルドの職員になり、死なない様助言をするようになりました。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生キッズの魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
西園寺おとば🌱
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる