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2話 凄い人

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 大丈夫かな僕。殴られずに済むといいなぁ。けど今僕お金あんまり持ってないから無理かなぁ。入学式と数日は熱で寝込む。更にここに登校初日は遅刻。しかも怪我だらけで

 これで変な噂が立ったらどうしよう。ただでさえ入学式に出れなかったからもうとっくにグループは出来上がってるだろうにこのままじゃ僕孤立しちゃわないかな

 朝の時に高校デビューが少し遅くなっちゃたけど幸い中学からの友達が同じクラスだったからそこは安心かなって思ってたけど、僕の高校生活ハードモードが確定しちゃったかも

 僕が土下座をしながら、これからの未来を想像して絶望をしているとぶつかってしまった彼から声をかけられる

「えっ?いやちょっと!?待ってくれ」

 その声はさっきの彼の声とは違って圧は消えていて驚きと戸惑いが混ざってような声だった。でも僕にはさっきの光景と彼の声が頭から離れずにいるので安心はできない

「は……はい!……に、逃げ……ません」

 全力ダッシュの疲労で今の僕は息も絶え絶えで上手く言葉を離せない。とりあえず逃げ出したりしないので何もしないでくださいという意味で逃げないという意志だけを伝える

 実際に今の僕は全力運動をした後なので逃げ出せる程の体力はもう残ってない

 しかも今更だけどよくよく考えたら今の僕は制服姿で鞄を持ってるから体育の授業の時よりも疲労が強いのに今気づいた

「い、いや逃げるとかそういう意味じゃないんが。と、とりあえず立ってくれほら手を貸すからさ」

 その声は焦りの色が浮かんでいたが、今の僕は疲労と恐怖から頭が回ってるおらず、その事に気づけずにいた

「い、いえ。そ…そんな訳には」

「いや、俺は本当に大丈夫だから立ってくれって」

 そう言って慌てて彼は僕の手を掴んで立たせようとしてくる

「わ…かり…ました」

 さすがにここまでされて抵抗をする気にはならない。それに力の弱い僕はがっしりした体付きの彼に力で勝てないだろうし、何より今の僕にはそんな事をする事ができる体力何てない

 なので僕は素直に彼の手を借りて立たせてもらう

「あれその制服って」

 そう言われて僕は体をビクッと震わせてしまう。なんだろう。もしかして学校の場所が分かったからこれから何かされるのかな?もし待ち伏せとかされたらどうしよう

 僕がこれからの展開に恐怖を抱いていると彼の口から予想外の台詞が飛び出る

「俺と同じ学校の制服じゃんか」

「………うぇ?」

 僕は一泊遅れてから意味を理解して今まで怖くて俯いていた顔を上げて間抜けを声を出してしまう

 そして僕の視界に入った彼の服装は先程の彼の言葉通り僕と同じ学校の制服だった。そして気づく彼の身長。そして僕が見上げるくらいの身長の高さだ。頭ひとつ分以上はあるから多分180くらい。身長と顔つきからして年上だと思う

それに気づいた僕は先程よりも更に血の気が引いていく感覚がする

 もしかしたら僕は青い色を通り越して白くなってるかもしれない

「って大丈夫か!?顔色悪すぎだろ」

「だっ、大丈夫です」

 真っ赤な嘘だけど、ここで正直に言う勇気は僕にはないのでこういうしかない。どうしよう高校に入っていきなり先輩に目をつけられたりしたら

 けど彼は僕の言葉を聞いても彼は納得がいかない表情をして

「いや、そう言っても怪我はしてないか?」

 僕の心配をしている

「え?あっはい。…大丈夫です」

 けど僕はそんな事よりも気になる事がある

「あ、あの……」

「ん?どうした?」

 僕が声をかけると彼は優しく微笑んで僕の言葉を促してくれる

「えっと、その……あ、あなたの方は大丈夫ですか?」

 そうだよ。いくら僕が軽いとは言え人1人がぶつかったんだひ、何よりも僕は全力で走ってた。怪我をさせてしまってないか不安だ。最初のインパクトとずっとピンピンしている事から聞けずにいたけど、本当なら真っ先に聞かなきゃなのに

「あぁ。別に怪我とかしてないから全然大丈夫だよ」

 僕の質問に彼はなんて事のないように笑って答えてくれる。けど僕はその答えに酷く驚いた

「えっ!?ほ、本当…ですか?」

 まだ息が整わないのと、驚いてしまいつっかえてしまう

「あぁ。本当、本当。ぶつかる直接で咄嗟に後ろに飛んで衝撃を殺したし、受け身も取ったから怪我とかはしてないよ」

 その言葉を聞き、僕は少しほっとしてしまった。怪我をさせたらどうしようかとずっと気がきじゃなかったからだ

「よ、よかったぁ…あっ、よかった…じゃないです…よね!ぶつかってしまってすいませんでした!」

 僕は勢いよく頭を下げる。まだ体力が戻りきってはなかったせいで危うく倒れかけそうになってしまったけど、僕にしては珍しく何とか気合いで耐える

「はは、まぁ俺は怪我もなかったから気にすんなって。だから頭を上げろって」

 そう言って彼は僕の頭を上げようとしたので素直に上げさせてもらう。そうすると彼はまた僕に言葉をかける

「けど危ないから今度からは気をつけろよ」

「はっはい!……それはもちろん」

「なら良いさ」

 彼は笑ってそういう。彼の笑顔は普通に見たらカッコいいんだけど、僕は彼の圧を出した顔を見ているのでそれが思い浮かんでしまい少し怖い


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