君がいる日常〜君が見つけてくれた日常

夢至 彼方

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第一章

14.同情するなら助けてくれもいいんだよ?

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 昼休み。僕は昨日と同じように屋上にいた。ただ昨日と違って僕は別に緊張をしていたりはしない。

「なぁ一体何があったんだ?」

 屋上に入って床に座り込んだ響君がそう聞いてくる。具体的な言葉は出てはいないけど何を聞かれてるのかは分かる。何せ朝のあの後もマシにはなったものの教室内の空気はいつもより重かったしね。

 今日の歩君はいつもと同じように優しい笑顔を見せてるのに、誰が見ても分かるぐらいに黒いオーラが出続けてたからなぁ。

クラスの皆もまさか普段温厚な歩君があんな風になるとは思ってなかったし、顔だけはいつもと同じような表情をしるのにオーラだけは凄くて余計に怖いから声をかけられなかったんだよね

先生も教室に入ってなんかクラスの雰囲気にびっくりして、歩君のオーラを見て怖がってたからなぁ。

 そう。響君が聞いているのは歩君のことだ。けどそれを聞かれても正直僕にもどうしてああなってるのか分からないんだよね

「うーん。僕も詳しくは知らないんだよね。多分昨日のカラオケで海斗と悠真と弘君が何かやらかしたんだと思う。」

「あー、そう言えばなんかあの3人は特にビビってたな」

「うん。あと昨日は弘君1人で他の3人を抑える事になったからその疲労で余計に起こりやすくなってたんだとおもう。」

 あはは。やっぱり気づくよね。弘君はまだ大丈夫そうだけど、海斗と悠真君は分かりやすく怯えてたからね

「あー、なるほどな。確かにあの3人の相手を歩1人でするのは大変そうだよな。」

「うん。それが心配だったから昨日のカラオケに僕も行こうかと思ってたんだけど、これを選ぶのに力を入れたくてやめておいたんだよね」

 そう言って僕は紙袋を響君に渡す。楽しみすぎて朝鼻歌とか歌っちゃったんだよね。別に響君には責任はないけど、恥ずかしい思いをしたから気に入ってほしいんだよね。それもあって

「というわけで恐らく昨日の出来事が原因で怒れる歩君が代償になっちゃった僕が厳選した作品達です。お納めください!歩君の尊い犠牲の元に選ばれた作品だから気に入ってくれると嬉しいなぁ」

 そう言って僕は昨日自分の部屋で厳選したBL漫画を入れた紙袋を渡す。今更だけど別に尊くはないな。というか逆に何か祟られそう。まぁ、気にしても仕方がないよね。うん。そういうことにしよう。

「えっ、それ逆に大丈夫か?俺後で歩からなんかされない?」

「うん。そこは問題ないよ。僕が帰りにケーキを奢る事でお許しを頂きました。おかげで僕の財布の中身へダメージが入る事が決まりました」

 そういうと響君は僕へ無言で哀れみの視線を向ける。そして僕に慰めの言葉をかけてくれる

「あー、えっとドンマイ。まぁ、誰も歩があぁなるだろうとは予想できなかっただろうしな。」

「う、うん。そ、そうだよね。今回は運が悪かっただけだよね。けど今月は楽しみにしてたパン屋へ行くのは諦めないで大丈夫くらいで済めばいいんだけどね。」

「パン屋によく行くのか?」

 そう言えば響君と昨日初めてまとめに喋ったばっかりだから言ってなかったなぁ。それに殆どBL関連の話ばかりだし。

「うん!そうなんだよ。ベーカリー工房って言うパン屋でさ、特に塩バターパンが美味しいんだよね。特に焼き立ては外はカリッとしていて塩のしょっぱさがバターの甘みを引き立ててより美味しいく感じさせるんだよね」

「へぇ、そう言われると俺も食べてみたくなるな。どこら辺にあるんだ?」

「あっ、それなら今度僕が案内するよ」

「えっいいのかありかどうな。」

 まぁ、その時僕も帰るのか怪しいんだけどね。後悔はしてないけど今度からは歩君1人にあの3人を任せるのはやめておこう。

「というか話がそれちゃったけど早速読んでみてもらってもいいかな?」

「え、今からなのか?」

「うん!幾つか持って来たは良いけどそもそもあんまり見る気にならなかったら残念だししね。」

「えっ、それなのにいきなり何冊か持ってきたのか?」

………多分純粋な疑問なんだろうけど僕はつい目を逸らしてしまった。

「………ついテンションが上がっちゃって我慢できずに持って来ちゃった」

 それにそれとは関係なく出来れば直ぐに感想を聞きたいから読んで欲しくなっちゃったんだよね。

「なるほどな。テンション上がっちゃったなら仕方ないな」

 響くんは笑ってそう言ってくれた。その優しさがありがたい

「そう言ってくれるとありがとかたいかな。それで今読んでもらうのってダメかな?」

「いや、ダメじゃねけえどまず飯食わね?」

「あっ、そうだね。昨日みたいに食べられなかったとかはさすがにちょっと悲しいから先に食べちゃおっか」

 また弘君にだらし無いとか言われちゃうし、歩君も言ってだけど習慣にならないように注意しないとだしね。

 そもそもお弁当を持ってきたのに、食べないでお昼休みが終わっちゃうのはさすがに間抜けすぎるからね。

 そうして僕達はまずお弁当を食べる事にした。
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