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サーカスがやって来た
エム・アール・アイ
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教会の奥の部屋では司教と教皇が話をしていた。
「『白い聖者たち』ですか、またやられましたね教皇、対策はどうなさるおつもりですか?」
教皇は殆ど表情を変えることなく司教を見ながら口を開いた。
「なにも心配はいらん、聖女達の努力で『クラマ病』はなくなったのだ」
その後得意そうに少しにやけた顔で話を始めた。
「『白い聖者たち』が何を言おうが奴らは禁忌の技で人を治しておるのだ、もし彼らが手柄を主張するならすべての国の王達にそのことをばらせば良いだけなのだ。そうだそのような禁忌の技を受け入れられるものがこの世界におる訳がない」
教皇は、司教の顔を覗き込むようにヒソヒソと話をする。
「『白い聖者たち』の隠れ家は分かったのか?」
司教は声を小さくし二人だけで聞こえる程度で答える。
「裏の聖騎士団『クラームス』を派遣し調査させておりますがまだ分かりません、当初教会に敵対するスクレア国辺りに潜んでいると思いましたが、調査して見ると出現場所すら範囲を絞ることも出来ないのです」
「見つけたらすぐに知らせろ」
「はい分かっております」
「それより、申し上げにくいのですが。例の件ですが、もう少し上位の聖女が必要なようでございます」
「ほう、そんなに悪いのか……」
「はい、聖女レイラの話では今の下級聖女では限界との話なのです」
「分かった、どこぞの中級聖女に、なにか粗相でもしてもらうとするかな」
「しかし年々神の加護が薄くなっているような気がしますな」
「気のせいでは無い、神が聖痕を与える人数が年々少なくなってきているのは事実だ。私の知る上位聖女の数も現在では10年前の半分なのだ。それを考えると最も恐れることは今の大聖女様の後継者が現れないことだ」
「教皇様のおっしゃる通りですございますね、この世界を動かしている権力者たちを守り治療が出来るのは大聖女様だけですからね。大聖女が居なければ世界が終わりますな」
◆ ◆
何ということだろう、本当に夢のようなことが起こった。
なんと今日は聖女マリアン様に連れられてサーカスに来た。
満面の笑みを浮かべて聖女マリアン様が話しかけた。
「信者の方からチケット頂いたのですよ、今日は皆さん楽しんでくださいね」
皆さん……そうです、俺だけじゃありません、10人でやってきました。
とりあえず聖女マリアン様の隣という特等席をゲットした。
聖女マリアン様が話しかけてくれる……
「私ね聖女に選ばれ無かったらサーカスに入りたかったの、それでねピエロとかに成りたかったわ。お客さんを楽しくさせるピエルさんが憧れの職業だったの」
「本当ですか僕もそうなんです、実は父も母もサーカスが好きで、父はサーカスの空中ブランコ、母は玉乗りやジャグリングが出来る曲芸師に成りたかったとか言うので、僕はピエロになるとよく言ったものでした。あの頃が懐かしい」
そうだ、両親が生きていた時はサーカスにも来たことがある、その思い出がよみがえって来て涙が少し流れた。
「ごめんなさい、そんなつもりじゃ……」
聖女マリアン様が困っているのを感じたので直ぐに涙を拭いた。
「これは違いますよ、ほら目にゴミが入ってね……」
すると不意に男の声が聞こえた
「男の子は簡単に泣くもんじゃないよ」
振り返るとピエロが居た。
そのピエロは変わった金色の四角いピアスを両方の耳にしていた。
「如何でしょうかお嬢さん、おっ、よく見ると聖女様でしたか、失礼しました。如何でございましょうか空中ブランコを体験をしたくありませんか?」
「本当ですか、喜んで!!」
聖女マリアン様は二つ返事でその申し出を受けていた、意外な一面を見たような気がした。
そして僕の方を見てピエロは笑いながら質問してきた。
「君もいかがかな?」
高いところは怖いが…聖女マリアン様が居る前と言うこともありミエを張ってしまった。
「もちろんです」
ピエロはにこやかに笑った。
「では興行が始まりましたらお呼びいたしますので舞台の上にお越しください」
そう言うと帰って行った。
テントを見渡すと、今は誰も乗っていないの空中ブランコ、その高さは気持ち的にかもしれないが物凄く高く感じた。
さて見世物はどれも面白かったのだが、実は空中ブランコの方が見れなかった。
そしてその時が来た。
聖女マリアン様と僕は高い梯子を上って行く。
ちなみに聖女マリアン様は長ズボンを借りて履いていた。
もちろん、空中ブランコの下には俺たちが落ちた時のための網はあるが、網があっても怖いものは怖い……
でも怖いが説明は命がけなのでちゃんと聞く……
空中ブランコはサーカスの花形だ、そう今説明を受けているのはこのサーカスの大スターだ。
マーレンサーカス団のランサリーとクオレというペアである。
「大丈夫だ、クオレが空中で君たちを必ず掴むから彼女を信じて飛び込んで行ってくれ」
聖女マリアン様はなんと自分から最初のトライアルを申し出た。
「それじゃレオン行って来るわね」
「きゃ~ぁ~あ」
悲鳴のように聞こえるが彼女のその表情は嬉しそうだった。
聖女マリアン様は華麗にブランコをこなした、流石であった。
会場は喝采の嵐だった。
「さあ、行くぞ」
ランサリーが背中を強く推すと僕は空中に投げ出された。
怖い、ブランコを持つ手に力が入り過ぎていた。
次第に手がしびれてきた。
「落ちる」
そう呟いた特優しい手が僕の腕をつかんだ。
「大丈夫よ、落とさないわ」
そう言うのはクレイさんだった。
その後、どうなったのかは分からないが僕は席についていた。
「凄かったわね、もう一度やりたい!!」
聖女マリアン様はそんなことを言っていた。
「そうですね」
合わせるようにそう答えたが顔は強張っていた。
「あのね、レオン、変な質問だけど?クオレって言う女の人の腕に聖痕なんて無かったわよね?」
「よく見ていなかったからわからないな、でも聖女様がこんな所に居るわけ無いから無いと思う」
「そうよね、私の思い過ごしかな、腕を掴まれた時に聖女の持つ聖なる光の感じがしたのよ、でもきっと気のせいよね」
その後もサーカスの出し物を楽しんだ僕たちだった。
最後の動物操者のカメリアのショーを見ているとき演技をしていた馬のポニークが倒れた。
観客席がどよめき、ピエロが取り成しの演技をし始め、ポニークはそのまま舞台裏に連れて行かれた。
見ていた僕には分かった、何かが起こったんだと。
聖女マリアン様と僕は楽屋裏に入った。
「大丈夫ですか?」
聖女マリアン様がポニークに手を翳して聖なる光で診断を始めた。
「あれ、なんか変だわ、聖なる光に反応がない?」
どうやら聖女マリアン様でも分からない病気なのだろうか?
ランサリーとクオレが何かを話している、何となく聞こえて来た。
「もしかすると、例のあれかも?、だとすると時間が無いわ」
「だがどこに血栓が出来ているか分からないと処理が出来ない」
「血栓?」
意味の分からない言葉だった。
「血栓ってなんですか、それかどうか分からないけど、さっき見た時このポニークの足の所の『赤い流れ』がゆっくりだったんだけど、急に早くなったんだ。それから頭のこのあたりに1センチくらいの『赤い爆発』が起こったんだ」
「その赤い爆発した位置は正確に分かるか?」
「この辺りかな?」
「おい坊主、こっちからも位置を指定できるか?」
「それからこっちからもだ」
3か所からその場所を指を差した後、ポニークはカメリアに裏の檻に連れて行かれた。
騒ぎの後のショーも楽しくメンバーが一堂に出てくるファイナルまで楽しんだ。
サーカステントの出口に来ると、ランサリーが僕たちを迎えてくれた。
「坊主ありがとう、ポニークは助かるだろう、今日はありがとう、明日また来てくれ」
サーカスに戻ったあと、演技中のランサリーとクオレ。
「開頭手術なんて見せられないもんね、でもあの子もしかしてエム・アール・アイの能力者かも?」
「クオレもそう思ったか、実は俺もだ、3か所から場所を指定できるなんて凄いことだ、でも俺たちとは違う世界の坊主だからな俺たちの仕事に巻き込めないさ」
そこへカメリアが現れ、タロットのようなカードを引くと
「エム・アール・アイの能力者、彼はこのマーレンサーカスへ来ると占いには出ているわ」
「『白い聖者たち』ですか、またやられましたね教皇、対策はどうなさるおつもりですか?」
教皇は殆ど表情を変えることなく司教を見ながら口を開いた。
「なにも心配はいらん、聖女達の努力で『クラマ病』はなくなったのだ」
その後得意そうに少しにやけた顔で話を始めた。
「『白い聖者たち』が何を言おうが奴らは禁忌の技で人を治しておるのだ、もし彼らが手柄を主張するならすべての国の王達にそのことをばらせば良いだけなのだ。そうだそのような禁忌の技を受け入れられるものがこの世界におる訳がない」
教皇は、司教の顔を覗き込むようにヒソヒソと話をする。
「『白い聖者たち』の隠れ家は分かったのか?」
司教は声を小さくし二人だけで聞こえる程度で答える。
「裏の聖騎士団『クラームス』を派遣し調査させておりますがまだ分かりません、当初教会に敵対するスクレア国辺りに潜んでいると思いましたが、調査して見ると出現場所すら範囲を絞ることも出来ないのです」
「見つけたらすぐに知らせろ」
「はい分かっております」
「それより、申し上げにくいのですが。例の件ですが、もう少し上位の聖女が必要なようでございます」
「ほう、そんなに悪いのか……」
「はい、聖女レイラの話では今の下級聖女では限界との話なのです」
「分かった、どこぞの中級聖女に、なにか粗相でもしてもらうとするかな」
「しかし年々神の加護が薄くなっているような気がしますな」
「気のせいでは無い、神が聖痕を与える人数が年々少なくなってきているのは事実だ。私の知る上位聖女の数も現在では10年前の半分なのだ。それを考えると最も恐れることは今の大聖女様の後継者が現れないことだ」
「教皇様のおっしゃる通りですございますね、この世界を動かしている権力者たちを守り治療が出来るのは大聖女様だけですからね。大聖女が居なければ世界が終わりますな」
◆ ◆
何ということだろう、本当に夢のようなことが起こった。
なんと今日は聖女マリアン様に連れられてサーカスに来た。
満面の笑みを浮かべて聖女マリアン様が話しかけた。
「信者の方からチケット頂いたのですよ、今日は皆さん楽しんでくださいね」
皆さん……そうです、俺だけじゃありません、10人でやってきました。
とりあえず聖女マリアン様の隣という特等席をゲットした。
聖女マリアン様が話しかけてくれる……
「私ね聖女に選ばれ無かったらサーカスに入りたかったの、それでねピエロとかに成りたかったわ。お客さんを楽しくさせるピエルさんが憧れの職業だったの」
「本当ですか僕もそうなんです、実は父も母もサーカスが好きで、父はサーカスの空中ブランコ、母は玉乗りやジャグリングが出来る曲芸師に成りたかったとか言うので、僕はピエロになるとよく言ったものでした。あの頃が懐かしい」
そうだ、両親が生きていた時はサーカスにも来たことがある、その思い出がよみがえって来て涙が少し流れた。
「ごめんなさい、そんなつもりじゃ……」
聖女マリアン様が困っているのを感じたので直ぐに涙を拭いた。
「これは違いますよ、ほら目にゴミが入ってね……」
すると不意に男の声が聞こえた
「男の子は簡単に泣くもんじゃないよ」
振り返るとピエロが居た。
そのピエロは変わった金色の四角いピアスを両方の耳にしていた。
「如何でしょうかお嬢さん、おっ、よく見ると聖女様でしたか、失礼しました。如何でございましょうか空中ブランコを体験をしたくありませんか?」
「本当ですか、喜んで!!」
聖女マリアン様は二つ返事でその申し出を受けていた、意外な一面を見たような気がした。
そして僕の方を見てピエロは笑いながら質問してきた。
「君もいかがかな?」
高いところは怖いが…聖女マリアン様が居る前と言うこともありミエを張ってしまった。
「もちろんです」
ピエロはにこやかに笑った。
「では興行が始まりましたらお呼びいたしますので舞台の上にお越しください」
そう言うと帰って行った。
テントを見渡すと、今は誰も乗っていないの空中ブランコ、その高さは気持ち的にかもしれないが物凄く高く感じた。
さて見世物はどれも面白かったのだが、実は空中ブランコの方が見れなかった。
そしてその時が来た。
聖女マリアン様と僕は高い梯子を上って行く。
ちなみに聖女マリアン様は長ズボンを借りて履いていた。
もちろん、空中ブランコの下には俺たちが落ちた時のための網はあるが、網があっても怖いものは怖い……
でも怖いが説明は命がけなのでちゃんと聞く……
空中ブランコはサーカスの花形だ、そう今説明を受けているのはこのサーカスの大スターだ。
マーレンサーカス団のランサリーとクオレというペアである。
「大丈夫だ、クオレが空中で君たちを必ず掴むから彼女を信じて飛び込んで行ってくれ」
聖女マリアン様はなんと自分から最初のトライアルを申し出た。
「それじゃレオン行って来るわね」
「きゃ~ぁ~あ」
悲鳴のように聞こえるが彼女のその表情は嬉しそうだった。
聖女マリアン様は華麗にブランコをこなした、流石であった。
会場は喝采の嵐だった。
「さあ、行くぞ」
ランサリーが背中を強く推すと僕は空中に投げ出された。
怖い、ブランコを持つ手に力が入り過ぎていた。
次第に手がしびれてきた。
「落ちる」
そう呟いた特優しい手が僕の腕をつかんだ。
「大丈夫よ、落とさないわ」
そう言うのはクレイさんだった。
その後、どうなったのかは分からないが僕は席についていた。
「凄かったわね、もう一度やりたい!!」
聖女マリアン様はそんなことを言っていた。
「そうですね」
合わせるようにそう答えたが顔は強張っていた。
「あのね、レオン、変な質問だけど?クオレって言う女の人の腕に聖痕なんて無かったわよね?」
「よく見ていなかったからわからないな、でも聖女様がこんな所に居るわけ無いから無いと思う」
「そうよね、私の思い過ごしかな、腕を掴まれた時に聖女の持つ聖なる光の感じがしたのよ、でもきっと気のせいよね」
その後もサーカスの出し物を楽しんだ僕たちだった。
最後の動物操者のカメリアのショーを見ているとき演技をしていた馬のポニークが倒れた。
観客席がどよめき、ピエロが取り成しの演技をし始め、ポニークはそのまま舞台裏に連れて行かれた。
見ていた僕には分かった、何かが起こったんだと。
聖女マリアン様と僕は楽屋裏に入った。
「大丈夫ですか?」
聖女マリアン様がポニークに手を翳して聖なる光で診断を始めた。
「あれ、なんか変だわ、聖なる光に反応がない?」
どうやら聖女マリアン様でも分からない病気なのだろうか?
ランサリーとクオレが何かを話している、何となく聞こえて来た。
「もしかすると、例のあれかも?、だとすると時間が無いわ」
「だがどこに血栓が出来ているか分からないと処理が出来ない」
「血栓?」
意味の分からない言葉だった。
「血栓ってなんですか、それかどうか分からないけど、さっき見た時このポニークの足の所の『赤い流れ』がゆっくりだったんだけど、急に早くなったんだ。それから頭のこのあたりに1センチくらいの『赤い爆発』が起こったんだ」
「その赤い爆発した位置は正確に分かるか?」
「この辺りかな?」
「おい坊主、こっちからも位置を指定できるか?」
「それからこっちからもだ」
3か所からその場所を指を差した後、ポニークはカメリアに裏の檻に連れて行かれた。
騒ぎの後のショーも楽しくメンバーが一堂に出てくるファイナルまで楽しんだ。
サーカステントの出口に来ると、ランサリーが僕たちを迎えてくれた。
「坊主ありがとう、ポニークは助かるだろう、今日はありがとう、明日また来てくれ」
サーカスに戻ったあと、演技中のランサリーとクオレ。
「開頭手術なんて見せられないもんね、でもあの子もしかしてエム・アール・アイの能力者かも?」
「クオレもそう思ったか、実は俺もだ、3か所から場所を指定できるなんて凄いことだ、でも俺たちとは違う世界の坊主だからな俺たちの仕事に巻き込めないさ」
そこへカメリアが現れ、タロットのようなカードを引くと
「エム・アール・アイの能力者、彼はこのマーレンサーカスへ来ると占いには出ているわ」
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