第七ラッパが聞こえる時

魔茶来

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ラッパが聞こえる。

しおりを挟む
 おじいちゃんが無くなってからおばあちゃんは元気がなかった。
 そんなおばあちゃんを心配して、お父さんとお母さんがよく話をしていた。
「このままではお母さんはボケしまうかもしれない。
 なにか打ち込めることをお母さんにさせないとね」
「そうね、何か良い趣味でもないかしら?」

「それより一番良いのは一緒に暮らせることだけどな」
 そう、おとうさんは言うが、その話はお母さんはあまり乗り気ではないようだった。

 お母さんは黙っていたが少しすると・・・
「少し難しいわね・・・」
 そう答えるだけだった。

 そんなある日、私たちがおばあちゃんのところに行った時だ。
 それまでは悲しいからか、いつも寝ていたばかりいたおばあちゃんが珍しく起きていた。
 そしてその時は私に話をしてくれた。

 その話というのが私には意味がわからなかった。

「第一のラッパ吹きのラッパの音が聞こえたんだ」

「なにそれ?」

「そうか知らないんだね」

「知らないから教えて」

「知らなければそれで良いんだよ。
 そうか、そうだね、おばあちゃんもこんなことをしていてはいけないね」

 そういうとおばあちゃんは布団から起き上がった。

「おばあちゃんはお前の未来を守らないとね」

 そう言うとおばあちゃんは外に出て行った。

 すぐにおばあちゃんの後を追ったがおばあちゃんは居なかった。
 一緒に行っていたお父さんに言うと大騒ぎになった。

「お母さんが居なくなったそうだ。
 すぐに探してくるよ」
 お父さんはお母さんに急いで話しかけると出かける準備をした。

 その後はみんなで探し回ったがおばあちゃんは見つからなかった。

 そしてそれから数時間後、おばあちゃんは帰ってきた。
 お父さんが「警察にも連絡したんだよ、本当に心配したよ」

「すまないね、心配かけたね」
 おばあちゃんは謝ったが、どこに行っていたかは言わなかった。

 私はヒソヒソ声で聞いてみた。
「ラッパはまだ聞こえるの?」

「ああ、聞こえるとも。
 だから頑張らなければならないんだよ。
 あんた達の未来のためにね」

 おばちゃんはしっかりとした目をして私をみていた。
 おばあちゃんは私たちのために何かをやってくれているらしい。
 思わず「おばあちゃん、ありがとう」と言ってしまった。

 家に帰ってからネットで調べてみた。
 「ラッパ吹き」それはとんでもなく恐ろしい話だった。

(えっ?もしかして?おばちゃんは世界を守ろうとしているの?)
 そんな思いが頭の中をを巡っていた。
 でもそんなことだったらネットはもっと騒がしいはずだ。
 ネットの世界ではそんなことは話題にもなっていなかった。

「あれ、おかしいな?」
 そんな独り言を言いながら最初の日は過ぎて行った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】かわいいペットの躾け方。

春宮ともみ
恋愛
ドS ‪✕ ‬ドM・主従関係カップルの夜事情。 彼氏兼ご主人様の命令を破った彼女がお仕置きに玩具で弄ばれ、ご褒美を貰うまでのお話。  *** ※タグを必ずご確認ください ※作者が読みたいだけの性癖を詰め込んだ書きなぐり短編です ※表紙はpixabay様よりお借りしました

エイリアンズ

朋藤チルヲ
ライト文芸
「誰もみな、誰かの愛おしいエイリアン」 子供の頃から聡明で華やかだった従姉妹と、平凡な自分はずっと比べられてきた。身勝手で嫌いだった従姉妹。そんな彼女が突然消えた。

猫スタ募集中!(=^・・^=)

五十鈴りく
ライト文芸
僕には動物と話せるという特技がある。この特技をいかして、猫カフェをオープンすることにした。というわけで、一緒に働いてくれる猫スタッフを募集すると、噂を聞きつけた猫たちが僕のもとにやってくる。僕はそんな猫たちからここへ来た経緯を聞くのだけれど―― ※小説家になろう様にも掲載させて頂いております。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

ピアノ教室~先輩の家のお尻たたき~

鞭尻
大衆娯楽
「お尻をたたかれたい」と想い続けてきた理沙。 ある日、憧れの先輩の家が家でお尻をたたかれていること、さらに先輩の家で開かれているピアノ教室では「お尻たたきのお仕置き」があることを知る。 早速、ピアノ教室に通い始めた理沙は、先輩の母親から念願のお尻たたきを受けたり同じくお尻をたたかれている先輩とお尻たたきの話をしたりと「お尻たたきのある日常」を満喫するようになって……

処理中です...