勇者パーティーに追放されたアランが望み見る

辻田煙

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第1章「ショーの始まり」

第10話「なぜ、そうなったのか?」

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 そんな恋人に、私の気持ちがもっと伝わればいい。そう思って腕に力を込める。
「不安にならないで」
 私の言葉を不思議に思ったのか、従兄にいさんが少しだけ腕の力を緩めた。
「椿?」
「私は他の誰かに目移りしたり、心変わりしたりなんてしないから。不安になったりしないで。私のこと、信じて」
 玄関ドアの前で言えなかったことをやっと言えた。
 そのことに達成感のような物を感じて目を伏せているうちに、さっとあごを持ち上げられた。心の準備をする暇もなく唇を塞がれてしまう。
 驚いたせいで開いた唇の内側に、舌が滑り込んでくる。戸惑っているうちに、口内を撫で回すように舌が這わされていった。
「ンんッ……」
 どうしよう、すごく気持ちいい。こういうキスをされるの、久しぶりだからかな。
 そう思ってぼーっとしていると、従兄さんは舌を抜いてしまった。
 もうやめちゃうの? そう考えたのも束の間、従兄さんが言った。
「椿、舌を出してみろ」
「え?」
 よくわからないまま、べーっとする時みたいに舌を出す。すると、すぐに従兄さんに舌を軽く噛まれた。……これ、知ってる。甘噛みっていうやつだ。
 恥ずかしくてぎゅっと目を瞑ると、次にはちゅうっと舌を吸われた。……気持ちいい。背筋がぞくぞくする。舌が変。電流を流されてるみたい。
 その二つの動作を繰り返しされているうちに、クリトリスが勃起してしまっていた。少し脚を動かすだけでショーツに当たっちゃう。
「ンッ、ンんッ!」
 舌もクリトリスも気持ちがよくて私は思わずいやらしい声を出していた。恥ずかしい。従兄さん、お願いだから気付かないで……!
 そう強く願ったのに、従兄さんにはあっさり気付かれてしまった。唇が離れていく。
「脚をもぞもぞさせて……もしかしてクリトリスが――」
「やだっ! 言わないでっ!」
 私が必死になって叫ぶと、従兄さんはうなずいてくれた。その代わり、「触ったらだめか?」なんて訊いてくる。
「だ、だめ……。だって……」
「だって?」
「ぜ、絶対気持ちよくなっちゃう……。また気絶しちゃう」
 俯きながら正直な気持ちを伝えると、ごくりと唾液を飲み込む音がした。もう、本当にスケベなんだから。でも、従兄さんのそんな反応にも今はどきどきしてる。
「嫌なのか?」
「だって、お母さんがいるのに……そんないやらしいこと、したらだめだよ」
 そうだよ。お母さんがいる家で、エッチなことなんてしたらだめ。したいなんて、思っちゃだめなんだ。
 そう自分に言い聞かせたのに、従兄さんは意地悪なことを言ってくる。
「答えになってない。触られるのが嫌なのか?」
「どうして意地悪するの……従兄さんのバカ」
 私がそっぽを向いても、従兄さんはめげない。
「答えてくれ、椿」
 私は泣きそうになった。本当は触ってほしい。前みたいに、クリトリスを擦ってほしい。気持ちよくしてほしい。頭が変になりそうなくらいに。
 でも、そんなことを考えるのも従兄さんにそれをねだってしまうのも、きっと悪い子がすることだ。お母さんが知ったら悲しむことだ。
「もう訊かないで。私、お母さんにとって悪い子になっちゃう」
 私の吐露した考えを、従兄さんは間を置かずに否定した。驚いて顔を上げると、従兄さんは真剣な目をしていた。真面目な顔だ。
「椿は叔母さんにとって、悪い子なんかにならない。お前はもう、来年の一月になれば十五歳なんだ。いやらしいことをしたくなるのも、されたくなるのも、好きな異性が目の前にいれば普通のことだ」
 ……好きな異性。本当のことだけど、なんだか恥ずかしくなって目を逸らした。
「でも、家に誰もいないならまだしも、お母さんがいるのにこんな気持ちになるの、いけないことじゃない?」
「椿。人間っていうのは、どうしてかスリリングな方が興奮することもあるんだ」
 もう! 何言ってるの、従兄さん。私は思わず眉を寄せた。
「そういうエッチな嗜好の話じゃなくて! 単純に人間としてだめじゃないかっていう話で……」
「自分から叔母さんに話すのはおかしいが、知られないようにこっそりやれば大丈夫だ。自慰と同じだ。自慰だって、家族に知られないようにこっそり済ませて、わざわざ誰かに報告したりしないだろう?」
「う、うん……」
 急にオナニーの話をされたせいで、頬が熱くなる。従兄さんもお家でこっそりオナニーしてるんだ……なんて考えてしまったせいで、耳まで熱が広がってしまう。
「それに、悪いのは大人の俺だ。お前は何も悪くない」
「そんなことない。私、自分で決めたことを従兄さんだけのせいになんかしないよ」
 そう言うと、従兄さんの目尻が下がって、表情が柔らかくなった。優しい顔。なんだかどきどきする。

 従兄さんは顔を近付けて何度か私の唇をついばんでから、大きな右手をフレアスカートの中に入れてきた。胸から飛び出しそうなくらい心臓が鳴り始める。
 硬い指先が太ももをかすめた。くすぐったい。
「ひゃっ!」
 思わず声を上げると、太股を撫で回された。
「やだっ、くすぐったいっ」
「すべすべだな。綺麗な肌だ……」
「だめっ、本当にくすぐったいからっ」
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