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第5話 絶望の王都

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ガリスブルグ王国王都ガリリア・・・

王都は暗く沈んでいた。
連日王都に届く敗戦の報。
つい先日には北部の要衝ソップが陥落している。
頼みの綱の精鋭の魔法使いは次々と魔王に敗れさり、王立軍はソップをめぐる戦いで大敗を喫し、壊滅的打撃を被った。
魔王軍は無人の野を行くがごとく南下し、刻一刻と王都に近づいている。
王都の住民達は王都を棄てて避難する者、王都での決戦をとなえて残る者、中には避難して留守の家に空き巣に入る不心得者もいた。
一つ言えることは、皆、刻一刻と迫る魔王軍の前に希望を失っていた。希望を失ったがゆえに、住み慣れた王都を棄て、刹那的な犯罪に走り、王都決戦をとなえる者ですら、勝利の希望はなく、王都を枕に死にたいというある種の自殺願望を語っているに過ぎない。
私は退廃と絶望が入り混じり渦巻いてる王都を見て、いたたまれない気持ちになった。
エリスも私と同じ気持ちだったろう・・・いや、平和で活気に満ちたかつての王都を知っている分、私以上にいたたまれない気持ちだったろう。

「イタルさん、早く王様に会いに行きましょう。」
エリスが私を急かす。

私もこれ以上半病人となった王都を見ていたくない。
私達は足早に王宮に向かって歩を進めた。


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