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第1章 疫病と言う夫婦喧嘩
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しおりを挟むここは王都から南西部に位置する比較的暖かい地域の農村地域で、馬車で1日かかる。
平年時であれば、青々と茂る麦畑が広がっているのだが、その光景は無く村民の姿も無く、閑散としていた。
今回は、奥さんの回収が重点で、後は国からの援助金と今後の税収の修正等の話し合いと表向きは仕事なのだが、裏では、村長夫妻の歪な関係修復(教育)病の感染ルートの調査、説明を聞く事になる。
まずは、村長への挨拶をと思い村長宅へと歩を進めて行く。
田舎道な上に凸凹があり、歩きにくい。
その道すがら、見知った顔を見つけた。
「ジェリー、こんなところで何しているんですか?」
声を掛ければ、ビクリと肩を振るわせ此方を恐る恐る見てくる奥さまですが。
「"ジェリー" とは誰ですか? あたしは "アンナ" と言います。」
と明らかに嘘を付いているジュリーの目を見れば、忙しなく目が彼方此方に動き、動揺を物語っています。
「そうですか。では、家に戻って来ないつもりですね。子供たちも心配しているというのに……。」
僕は、あから様に落胆と溜め息を吐き。
「離縁状は書いておきますから、何時でも取りに来てくださいね。」
追加の言葉を口にしその場から離れようと背を向けた。
すると、僕の腕にしがみついてくる彼女。
「イヤです、旦那様。離縁…したくないです。」
目に涙を浮かべて、首を何度も横に振っている姿が、何とも言えず。
これは、少し脅し過ぎましたか。
「分かりましたから、腕を放してください。何か訳があるのなら、後で伺います。僕は、村長の所に挨拶をしに行きますので、その後に時間が取れますから、その時にしましょう。」
僕が言えば、何処と無く不安そうな顔をしながら、腕を放す奥さん。
「本当ですか?」
目に一杯の涙を浮かべて僕を見てくる奥さんに。
「約束しますよ。僕の大事な奥さんの為ですからね。」
そう口にして、彼女の頭を撫でて上げると安心した顔をする。
僕も、相当彼女に甘いですね。惚れた弱みでしょうかね。
彼女には、一切言いませんが……。
お義父様の事言えなくなってしまいましたよ。
「では、待ち合わせ場所は、麦畑で良いですか?」
僕が聞けば、コクリと頷いたのを見届けてから、改めて村長宅に足を向けた。
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