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高校生編と再婚約の条件
疑惑…悠磨
しおりを挟むオレは、昼間透が言ってたことを思い出していた。
亜耶が、鞠山財閥の孫娘って……。
あり得ない。
亜耶は、至って普通の家庭に育った子だ。どこにお嬢様の気質が入ってるんだ?
誰にでも優しく接して、嫌な顔一つもしない。そんな子がお嬢様って、あり得ないだろ。
まぁ、あの人が御曹司なのは知ってたが……。
だからって、あの人に譲る気はない。
亜耶は、オレの彼女だ。
……が、不安がオレを襲う。
本当に亜耶は、オレを見ているのだろうか?
オレを好きでいてくれてるのだろうか?
そんな疑問が、生まれてくる。
今は一緒に居るけど、離れていってしまいそうな不安が拭えない。
しかし、何故透はあんなに詳しく知ってたんだろうか?
亜耶のお兄さんの嫁さんの事も知ってた。
姉の嫁ぎ先だとも言ってたなぁ。
明日、あいつに聞き出せばいいか……。
そう思い眠りについた。
翌日。
何時ものよう亜耶との待ち合わせていた。
「おはよう、悠磨くん。」
亜耶が挨拶しながらこちらに来る。
「ああ、おはよう亜耶。」
なんら何時もと変わらない光景の筈なのに違和感が……。
ふと気付いた。
亜耶の雰囲気が何時もより柔らかい。
そして、左腕には男物の腕時計。
何で?
何で、男物の腕時計なんか……。
「悠磨くん、どうしたの? 行かないと遅れるよ。」
亜耶が、不思議そうな顔をして俺の顔を覗いてくる。
「ん、あぁ。」
って、答えて歩き出した。
オレがプレゼントした訳じゃない。
じゃあ、高橋遥からのプレゼント?
あーもー、気になる。
誰だよ。
誰からのプレゼントだ?
昨日は、してなかったよな。
ってことは、昨日お姉さんと買いに行った時に買ったとか……。
あり得るな。
自己完結しても、やっぱり本人に聞かないと……。
いつの間にか、自分の教室に着いていた。
「おはよう、悠磨君。」
教室に入ると泉がオレの傍に来る。
「ん、あぁ、おはよう。」
そう言いながら、自分の席に着く。
「どうしたの? 悩み事?」
泉がオレの席の前に座るなり、聞いてきた。
「何でもないよ。ただ、球技大会のメンバー何時決めるかなって……。」
ハハ。空笑いを浮かべるオレ。
なんて嘘。
言えるわけ無いだろ、本当の事。
「そうだね。今日の昼放課にでも決めちゃおう。」
泉の提案を受けて。
「じゃあ、それで……。」
そう答えると席を立った。
亜耶に聞かないと落ち着かなかったから……。
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オレが入り口で声を掛けると周りが一斉にオレと亜耶を交互に見出す。
「悠磨くん。」
亜耶がオレを呼ぶ声にドヨメキがおきる。
今まで、亜耶のクラスに顔を出さなかったオレが悪いか……。
亜耶が、友達に断りを入れてからオレの所に来た。
そういや、入学当初に約束したことオレ果たしてないな。
何て思いながら、廊下の隅に移動する。
「どうしたの?」
亜耶が小首を傾げて、そう聞いてきた。
どうしたって……。
「なぁ、亜耶。その腕時計……。」
オレは、亜耶の左腕にしてる時計を見いる。
すると。
「ん? あぁ、これね。自分で買ったの。昨日お義姉さんと買い物に行った時に気に入っちゃたから……。」
亜耶が、顔色も変えず淡々と話す。
そっか、自分で買ったのか。
一瞬でもあの人からのプレゼントなのかとかと思った。
「そうだったんだ。」
それを聞いてホット安心してる自分が居る。
「変かな?」
亜耶が、戸惑いがちに小声で聞いてきた。
「変じゃないよ。寧ろ、亜耶らしいよ。」
オレがそう言うとホッとした顔を見せる。
何で、そんな安心した顔をするんだ?
何かあるのか?
って考えていたら。
キーンコーンカーンコーン………。
チャイムが響く。
委員長のオレが遅れるわけにはいかない。
「じゃあ、オレ戻るな。」
「あっ、うん。また後でね。」
亜耶がはにかみ笑顔で手を振る。
オレは、亜耶に手を振り返し、教室に戻った。
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