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中学生と婚約解消

食事にて1…遥

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 二人について来た場所は、ホテル内の在るレストランだった。
 しかも、個室だ。
 夜景が一望できて、周りを気にすることなく食事が出来る。
 こういう場所での食事は、亜耶は馴れてないだろうとの配慮であるのがわかる。

 亜耶を見れば、目を輝かせて外の夜景に食い付いている。
 あ~、もう、そんなキラキラした瞳で見てる亜耶が可愛すぎる。
「亜耶、そんなに食い入るように見てるが、楽しいか?」
 ちょっと意地悪が過ぎるかと思いながらも、声を掛けずにはいられなかった。
「そりゃあ、遥さんは見慣れてるでしょうよ」
 って、偏見を持った眼で睨み付けてくる。
 しかも、頬を膨らませ口許を尖らせている。
 いや~もう、抱き締めたいんだけど……。

「あはは……。先輩が振り回されてる」
 ふと見れば、沢口が、目尻に涙を浮かべて笑い転げてる。コイツ、こんな笑い方するんだ何て思いながら、笑われてる事に腹が立つ。
「いいだろう、別に。亜耶だけが特別なんだ」
 惚れた弱味だ、仕方ないだろう。
「取り敢えず、席に着こうか」
 雅斗が落ち着いた声で言うが、目は呆れた様に見ている。普段の俺を知ってるからこその目だな。
「は~い」
 亜耶が、間延びする返事をして窓から離れて俺の隣に座る。
「窓を背にしてるがいいのか、亜耶」
 あんだけ見入ってたんだ、食べながら見ていたいと思ってそう声を掛けたのだが……。
「うん。食べ終わってからゆっくり見るから、大丈夫だよ」
 って、呑気な声が返ってくる。  
 食べ終わってからねぇ……。それ、寝落ちするんじゃないか?
 少々の不安があるものの、亜耶が楽しそうだから何も言わなかった。
「亜耶ちゃん。聞いても言い?」
 突然沢口が口を開いた。
「何?」
 亜耶が、不思議そうな顔をして沢口を見る。
「先輩のさっきの顔、亜耶ちゃんの前ではするの?」
 さっきの顔って何だ?
 俺、変な顔してたか?
「何時もではないけど、時々してますね。たまに拗ねた顔も見せますけど……」
 どう答えて言いのか分からないって顔をしながら、沢口の質問に答える亜耶。
 まぁ確かに亜耶の前では隠す事無く素で居るからな。
「それって、超珍しいことだよ。貴重だよ!!」
 興奮する沢口。
 言葉使い可笑しいって。
「そうなんですか?私は、普段から見てるので珍しいって思ったこと無いんですが……」
 って、小首を傾げながら言う亜耶。
 要らんこと言わなくても良いのに……。
 亜耶の言葉に興味津々の沢口。
 そこに。
「俺も見てるから、それほど珍しいとは思わないが……」
 援護射撃の様に雅斗が言う。
 そりゃあそうだ。二人には隠してないからな俺。
「二人にはそうかもしれないけど、私にとっては貴重なんです」
 って、力説しやがるし……。
 もう、俺の事はほっといてくれや。

「お待たせしました」
 ボーイが料理を運んできて、話が中断になる。
 良いタイミングだ。
「おいしそう」
 亜耶の呟きが俺の耳に届く。
 横を見れば、ニコニコしてるんだが、どうすれば良いのかわからずに戸惑ってるようだ。
 あぁ、マナーが分からなくて戸惑ってるんだな。
「亜耶、フォークとナイフは外側から順に使うんだ。もし、ナイフ、フォーク落としたら、自分で拾うことはしてはならない。それが、マナーだ。後、上手く出来ないようなら言ってくれれば、俺がやってやるからな」
 亜耶が、俺の方に視線を寄越し。
「ありがとう……」
 って、顔を赤めて小声でお礼を言われた。

 もう、いちいち可愛いなぁ。ギュウしたい。

 その後も、悪戦苦闘しながら食べる亜耶をニコニコしながら見つめつつ、何時でも手が出せるように準備していた。


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