28 / 56
28
しおりを挟む「なぁ、朝のあれ、どう言う事?」
廊下を歩きながら(もちろん手は繋がれています)、彼が聞いてきた。
今は、昼放課なんだけど委員会の招集が掛かり、二人で向かってる所。
「見たままだよ。」
と朝の事を思い出しながら告げる。
「えっ、だって、三人って仲が良いんじゃないの?」
彼は驚いた顔をしながら疑問をぶつけてくる。
どう言ったら良いのだろう?
「そもそも、二人は私を通して仲良くなった? って事になるのかな。ただ、星香は瑞歩の事信頼してないだけ。その良い例が、彼氏が居る事を瑞歩には話していなかった。」
昨日は星香自身が浮かれていた事もあって、口にしたんだと思う。普段は気を付けているから、後で後悔してたもの。
「えっ……、それって……。」
彼が困惑し出す。
「星香は、信頼出来ない相手には本音を吐かない。だから、瑞歩には隠している事一杯あるよ。瑞歩も何かしらを私たちに隠してるから、お相子でしょ。私は、言えないのなら無理して言わなくても良いと思ってるしね。」
今まで一緒に居たけど、瑞歩は自分の本心を口にした事は無いと言うか、あのキャラで隠してる感じがするんだよね。
私に近付いたのも何らかの意図があるんじゃないかって、星香は睨んでるのだ。
「だから、昨日理央さんも瑞歩の事に余り触れ無かったでしょ?」
そう口にしてから、昨日の事を思い出した。
そう言えば、理央さんが "彼が瑞歩の彼氏か" と聞いた時、嬉しそうな笑みを浮かべていたような……。
彼が直ぐ様訂正してから、苦笑を浮かべていたけど、あれって私の見間違いかな?
何かが私の中で引っ掛かって居た。
何となくの違和感。
それが何なのか、解らないけど……。
「でっさぁ、図書館デートは何時にする?」
彼が私の顔を覗き込むようにして聞いてきた。
デ…デート……ですと……。
私はその場で固まる。
「ほら、とっさに言った事とはいえ、実行しておかないと、疑われるだろ? だから、何時が良い?」
って、顔近いから。
思わず仰け反ってしまう。
確かに言った手前、実行は必要かと思うけど……。それって、デートになるの?
疑問に思いつつ。
「俺的には、今週の日曜日の午後なら空いてるんだけど、珠稀は?」
顎に手をやりながら、少し考える仕草をしながら言う彼。
私、勉強苦手だから逆に邪魔になるんじゃないかな。
って思ってると。
「解らない箇所があれば俺が教えるし、安心して良いよ。」
先に言われてしまう。
はぁ~。
ゆっくりと息を吐き出してから。
「日曜日の午後なら空いてます。」
答えた。
余程急(家は唐突に出掛ける事があるから)じゃなければ、予定は空いているのだ。
「ん、じゃあ日曜日午後一時に図書館前……否、最寄り駅で待ち合わせな。」
何故か言い直す彼に疑問を覚えつつも、了承したのだった。
10
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
兄貴がイケメンすぎる件
みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。
しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。
しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。
「僕と付き合って!」
そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。
「俺とアイツ、どっちが好きなの?」
兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。
それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。
世奈が恋人として選ぶのは……どっち?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる