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しおりを挟む何時もより少し早い時間に家を出た。
昨日彼と別れた後、瑞歩にそのまま腕を引っ張られて彼女が使う路線のホームまで来ていた。
「あの~、瑞歩。手を放してくれるかな?」
私は、何気なく口にした。
瑞歩は、此方を振り返って自分手を見て。
「あっ、ごめん。」
一言の謝罪の後手を放してくれた。
瑞歩を見れば、何処と無しか罰が悪いような顔をして視線を俯けていた。
私はそんな瑞歩に。
「どうかしたの?」
首を傾げながら声をかける。
「ん、何でも無いよ。」
と取り繕った笑みを浮かべて両手を顔の前で世話しなく振ってはいたが、目には陰りが見え心配になる。
「本当に? 何かあったなら、話して……。」
「何も無いって!!」
私の言葉を遮る様に言う瑞歩。
その態度に吃驚して何も言えなくなった私。
そんな空気が重くなった所に電車が入ってき来た。
「ごめん。私、この電車だから……。また、明日ね。珠稀ちゃん。」
瑞歩はそう言うと、電車に乗り込んで行ったのを見送った。
あの後、私が何かしたのではとずっとホームで考え込んでいたら、鞄に入れていた携帯が鳴って我に返った。
電話はママからで、帰りが遅いから心配して掛けてきたみたいだ。
それ程考え込んでいたという事になる。
だけど、考えていた割には答えが見つからなくて、どうしたら良いんだろうとまた考え込んでしまい、堂々巡りに陥っていた。
で、結論は、本人聞いた方が早いと出て、何時もより早く家を出る事にした。
校門に近付くと、何故か人だかりが出来ていて、何だろうと思いながら近付けば彼と例の先輩が言い争っていて、周囲がそれを見てざわついていたのだ。
周囲の話を聞いていると、"またやってるよ"とか"イケメンは自分のモノだと思ってるんじゃない"とか"揉め事は親が処理するからたかを潜ってる"なんて声が彼方此方か聞こえてくる。
あの先輩、色んな所で迷惑掛けてるんだなぁ。
何て思いながら、二人の経緯を見ていた。
「快翔くん。あんなちんちくりんと付き合うのやめて、私と付き合いなさい。」
上からの物言いに呆れ顔をした彼。
ちんちくりんって、私の事…だよね。
「あのさぁ、あんた何にも解ってないんだな。俺、あんたの事振ってるよなぁ。それから、ストーカーまがいな事をして楽しいわけ? 二年もダブってるっていうのに勉強しなくて良いのか? 脳内お花畑だから、勉強できないみたいだしなぁ。一年の勉強分を二年でやっとってか?」
彼が小馬鹿にしたような言い方で先輩を煽る。
先輩は、顔を真っ赤にして彼を睨んでいる。
まぁ、あそこまで言われたら誰だって怒るでしょうけど……。
彼の言葉に周囲が "うっそー" "マジか" 何て声を揚げている。
それが耳に入ったのか、先輩は慌てふためいて周りを見渡し始めた。
「それから、俺が彼女に惚れているんだ。そこのところ間違えないように。あぁ、頭悪いから無理か。まぁ、彼女に危害を向けるのなら、黙っていませんから!」
彼は最後に忠告して、何故か私の方に歩み寄ってくる。
えっ…ここはそのまま教室に向かうべきでは……。
何故、此方に来るの?
何て思っていれば、知らない間に彼と私の間に道が出来ていて、そこを堂々と歩いて来る彼に対して、私はキョロキョロと辺りを見渡して逃げ場所を探すが他の生徒と距離があり過ぎて隠れることを諦めた。
そして。
「おはよう、珠稀。」
さっきまでの謙遜を無かったかの様な笑みを私に向けて言う。
「おはよう、木崎さん。」
思わずひきつった笑みを浮かべながら挨拶を返す。
「教室に行こうか。」
彼は私の手を握ると歩き出した。
その背後で、先輩が私を睨んでるなんて知りもしなかった。
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