135 / 180
面倒臭い…遥
しおりを挟むさて、どうにか透を連れ出したものの、どうしたものか……。
取り敢えず、家にある真由のプレゼントを取りに行くか……。
車を家に向けて走らせている間も、チラリ後部席の透に目を向けるが、呆然としている。
はぁ~。
先程、真由が話していた事が原因なのだろう。
そこまで落ち込むようなことを伯父が言ったのかと疑問が浮かぶが……。
伯父に電話するか。
家に着き、駐車場に車を止める。
「ほら、着いたから降りろ。」
俺は、運転席から透に声をかけ降りるように促す。
透はゆっくりとした動作で車を降りる。
「さっさと行くぞ。」
俺は、透の腕を掴みエレベーターホールに向かう。
あ~、もう。何でこう面倒臭いんだよ。
一体、何を言ったんだ伯父は。
目の焦点の合ってない透をエレベーターに押し込み、自分も乗り込むと自分の住む階のボタンを押した。
自宅の鍵を開けて、リビングのソファーに透を座らせ俺はキッチンに行きコーヒーの準備をする。
何気に家に透が最初の客になるとは思わなかったが……。
本人あんなんだし、覚えてるわけないだろう。
何て思いながら、伯父に電話をかける。
『どうした、遥? 亜耶ちゃんに何かあったのか?』
心配そうな声の伯父に。
「亜耶なら元気一杯だよ。今、真由がお見舞いに来てくれてて、募る話しもあるだろうから、俺等は部屋を離れてる。」
俺は、敢えて "等" を使った。
この一言で伯父は気付くかは分からないが……。
『そうか。真由が亜耶ちゃんに……。』
俺はそんな伯父の 考え深そうな声をぶち破るように。
「で、問題なのは透の方。伯父さん何言ったんだよ。アイツ滅茶落ち込んでるんだが。」
面倒臭そうな声でそう伝える。
『はぁ。まだ落ち込んでるのか? 悪い遥、昨日の事件の事で話を聞こうとしたんだがな、透は順序立てて話す事出来ずに支離滅裂で話すから、落ち着いて話せって言ったんだがな。それでも要点を得ずだったから、さ』
まぁ、偶々通りかかって、犯人らしき女生徒の確保させられたんだから、パニックになっても仕方ないか。
『それを細川が改めて順を追うように説明をきちんとしてくれたから、余計に落ち込んでるんだと思う。』
細川って、あのお嬢の弟か?
でも、それこそその弟でさえ、きちんと把握出来ていないと思うのだが?
『遥、面倒をかけるが、透の事頼むな。あいつにしか真由を頼めないんだから』
伯父の頼みだし、伯父自信も真由が透にぞっこんなのを分かってるからこその言葉だ。
「分かった。何とかしてみるよ。」
俺は、そう言うと電話を切った。
何とかしてみると言ったものの、あそこまで項垂れてるとどうしたらいいんだか全く検討も着かないんだが……。
頭を悩ませつつ俺は、コーヒーカップを両手に持ち、リビングに居る透の前のテーブルに置き対面のソファーに座ったのだった。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
愛するひとの幸せのためなら、涙を隠して身を引いてみせる。それが女というものでございます。殿下、後生ですから私のことを忘れないでくださいませ。
石河 翠
恋愛
プリムローズは、卒業を控えた第二王子ジョシュアに学園の七不思議について尋ねられた。
七不思議には恋愛成就のお呪い的なものも含まれている。きっと好きなひとに告白するつもりなのだ。そう推測したプリムローズは、涙を隠し調査への協力を申し出た。
しかし彼が本当に調べたかったのは、卒業パーティーで王族が婚約を破棄する理由だった。断罪劇はやり返され必ず元サヤにおさまるのに、繰り返される茶番。
実は恒例の断罪劇には、とある真実が隠されていて……。
愛するひとの幸せを望み生贄になることを笑って受け入れたヒロインと、ヒロインのために途絶えた魔術を復活させた一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID25663244)をお借りしております。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる