MINKU 時空を超えた物語

榊 直 (さかき ただし)

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3章 ペトンの町、盗っ人ジル

第13話 ジル、仲間になる

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 「とにかく、町の火を消そう。燃え広がっている」コング達は消火にあたった。

ちいは手で頭をおさえた。「つぶされちゃう!」しかし、何ともない。
おそるおそる目を開けると、ちいの部屋だった。
「も、戻れた~」安堵感でへなへなになった。
 下の台所から、ママが食事の支度をしている音がする。
ちいは時計を見た。日付も表示してある。
それを見ると、向こうでたっぷり過ごしても、現実世界では一晩くらいしか立っていないようだ。
ずっと現実世界で目覚めてないという事ではなさそうだ。
ちいは鏡を見た。ホビットの服を着ている。
「着替えなくちゃ」ちいはクローゼットから違う服に着替えた。
ちいは下の階に降りた。
 ママは食事を作っていて、パパは食卓の椅子に座って、タブレットを見ていた。
「おはよ。ちい」ママたちがあいさつした。「おはよう」ちいも食卓についた。
「ちい。とうとうパパは事業じぎょうを始めるぞ。カフェを開くのさ。今日から内装工事だよ」
「すごいね。パパ」
「さあ、ごはんよ」食事が食卓に乗せられた。
ちいは向こうの世界のminku coffee の事を考えていた。
あそこのフルーツジュースは美味しかったな。コング達はどうしたのだろう。
キューのお金は取り返せたのかしら。
「さあ、ちいは学校でしょ。今日行ったら夏休みよ。頑張りなさい」ママが応援した。
(明日から夏休み!ミンクーの世界にきがねなく行ける!) ちいは元気で学校に登校した。

 コング達は火を消し終わり、minku coffee が比較的に損傷をまぬがれたので、
また腰をおろしに入った。
「しかし、黒の国の魔物が3体も来るとはな」コングが切り出した。
「あの魔物はガーゴイルというやつだ。厄介なやつらだ。すばしっこくて火を放つ」
ホビットが言った。
「お前の名は?」コングがホビットに尋ねた。
「俺はジル」ホビットは答えた。
「僕はまだ許した訳じゃないぞ。この盗人が」キューがふてくされて言った。
「すまぬ。初めてゴールドクリスタルを見て、昔の悪いクセが出てしまった」
ジルはわびた。「あなた達はどこへ行くつもりだい」ジルがコング達に尋ねた。
「俺は伝説のドラゴンを探して旅をしている」コングはぼそりと言った。
「ドラゴンの噂は聞いた事がある。ドラゴンに乗れば、神の城へ連れて行ってくれると言うね」ジルが言った。
「フゴ!そうなの?コングさんはその目的があったのだね。
知らなかった。僕は記憶がなくて、困っている。
特に目的は決まってなくて、記憶が戻れば良いと思っている」キューが答えた。
「あなたのゴールドクリスタル。これは王族しか入手できない物ですぞ。
そして、このクリスタルはピエール王国で生産されたものだ。鑑定かんてい能力が俺にはあるので」ジルが言った。
「ピエール王国へ行けば、何か分かるかも知れないな」コングが言った。
そこへ、ピエール王国の使いの者が入ってきた。店の客やマスターにビラを配った。ビラには、
(ピエール王国の王子の行方不明。情報じょうほう提示者ていじしゃ報酬ほうしゅうをさずける)と書いてあった。
「次に行く所は決まったな。ピエール王国だ」コングが言い、皆も同意した。
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