愛を注いで

木陰みもり

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3、愛を教えてくれた君へ side拓真

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「俺も、離さないから…」
同じように尊くんの頬をつたう汗を舐める。少ししょっぱくて、なんだか甘かった。何をしているんだろうと思うけど、それ以上に満足感が強かった。まさか同じようにされるなんて思わなかったのだろう。尊くんは顔を真っ赤にして、俺と同じように舐められた場所に手を当てている。少しは仕返しできたようで、俺は満足気にふふんと鼻を鳴らしながら目を細めて笑った。
「僕、煽られてますか?」
ムッと頬を膨らませ尊くんが抗議してきた。
「別に煽ってないけど、うーん、年下に煽られっぱなしなのは年上としてどうかと思って」
「あの、そのことなんですが、僕いくつに見えてるんですか?」
「え?えーっと…20歳くらいかなと…もしかして違った?」
だいぶ可愛い顔立ちで、髪色が明るいせいか幼く見えていたが、どうやら違うみたいだ。年下扱いしちゃってたけど、もしかして結構年上だったらどうしよう。尊「くん」なんて馴れ馴れしすぎた?
「僕、これでも28歳なんですよね。まぁ実年齢よりだいぶ若く見られることはいつものことですけど、多分拓真さんより年上だと思うんですよ。」
はぁと溜め息を吐き、しゅんとしている。その落ち込みようときたら、飼い主に構ってもらえない犬のようで、ついつい頭を撫でてしまった。
 でもそうか、28歳か…って同い年じゃないか!
そう考えていると、尊くんの頭を撫でていた手を急にグイッと掴まれた。
「今も、年下扱いです!」
「あ、いや、そんなつもりは…というか同い年だよ、俺ら。俺も28歳」
「え、そうなんですか?」
「そうそう、あでも、頭撫でたいなって思うのは、本当に尊くんが可愛くてつい…年下扱いじゃないから!」
「可愛いって、じゃあ僕も拓真さんのこと可愛いって思うから頭撫でても、いい?」
上目遣いで眉をハの字にし見つめてくる。まるで捨てられた犬みたいに縋ってくるように見えてきたぞ。きゅるんとした瞳で見つめられたら断れないじゃないか。
「い、いいよ…」
「ふふっ、ありがとうございます」
「拓真さんの髪、サラサラで気持ちいいですよね。ずっと触っていたい…」
うっとりと俺を見つめながら優しく撫でてくる。その手のから伝わってくる温もりが心地良い。
「そんなこと初めて言われた。あでも、尊くんの髪もふわふわで気持ちいいよ?」
「そういうことサラッと言っちゃうんですよね、拓真さんは」
何故か困った顔をした尊くんに手を伸ばして髪に触れる。癖っ毛なのか、蒸気で少しうねってるのが可愛くてついつい指に絡めてしまった。
「尊くんだって言ったんだから同じでしょ?」
「僕は拓真さん以外に言いません。でも拓真さんって無意識にそういうこと言ってそう、顔にもすぐ出るし、これが俗にいう天然ですか」
「いや天然じゃないから、っていひゃっ」
急に俺の頬をつまむなってって抗議したかったけどムッとした顔が可愛くて言うのをやめた。こういうところはすごく子供っぽいなって思ったら、大人しくつままれるのも悪くない。
 つままれながらニヤニヤしている俺の顔は見れたもんじゃないほどきっと歪んでいるんだろう。ぷっと吹いて笑う尊くんを見ているとそう思う。
 笑いながらつまむのをやめて、「すみません」と言いながら、優しく触れ、俺の頬をさすってくれてた。実はそんなに痛くなかったんだけど、これも悪くない。どこを触られてもそこから伝わってくる熱に心地よさを感じて、頭がクラクラするほど身体が熱っていく。
 あれ、尊くんが3人いる?嬉しすぎて幻覚が見えているのかな。3人もいたら、そりゃ身体中触られているわけだ。
「拓真さん?大丈夫ですか、拓真さん!」
尊くんが何か叫んでいるようだけど、よく聞こえない。というか、なんだか暑くてぼーっとしてきた。最近仕事詰めすぎてたせいか、ドキドキしすぎたせいか、次の瞬間には目の前がブラックアウトした。
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