3 / 75
1、一目惚れと恋の味
③
しおりを挟む
「気にしないでください。『愛情いっぱい』とか恥ずかしいこと言うから、反応に困っちゃっただけですよ。お兄さん意外とロマンチストなんですね。」
「ほ、本当か?俺よくひと言余計で、よく怒られるんだ。」
さっきまでのぎこちなさはなく、穏やかに微笑んでいる。本当に驚いただけのようだ。
しかし安堵で俺は気付かなかった。彼の顔は真っ赤で傷付いたというよりは、少し嬉しそうな顔をしていた。
「確かに、変なタイミングで、突拍子もないこというのは直す努力をした方がいいですね。」
クスクスとさっきみたいに、いたずらっ子のように笑って見せた彼は、本当に気にしていなさそうだ。
良かったと胸を撫で下ろした。
「直せたら苦労しないよ。余計なこと言って何度上司や営業先で怒られたか。無神経なつもりはないんだけどな……」
ブツブツと愚痴をこぼしながら、頬杖をついた。そんな俺を見かねたのか、話題を変えるようにアイスコーヒーを俺の前へ置いた。
「落ち込まないでくださいよ。ほら、余計なことでも人によってはよく捉えてくれる人もいますよ!それより、アイスコーヒーお待たせいたしました。」
「ありがとう。さっきの説明聞いて、楽しみだったんだ。どれくらい違うんだろう。」
そう言って、子どもみたいに目をキラキラさせた俺を、彼は安心したような顔で、優しく微笑んだ。
その笑みはどうしようもなく心を高鳴らせる。緊張のせいで、ついつい彼から目を逸らしてしまった。その時の彼のしゅんとした顔に俺はまだ気付かなかった。
「いただきます」とストローを加えてコーヒーを飲む。
「んっ!これ、いつもより甘みを感じる……!うまい!こんなうまいコーヒー初めて飲んだよ!」
興奮気味に早口で感想を言うと、呆気に取られたような顔をした彼が、カウンター越しに真っ直ぐ手を伸ばし、俺の頬にそっと触れ、だんだん近付いてくる。
「おっ、おい!」
温かい……彼の触れた手は心地いい温かさをもっていた。
今度は俺が呆気に取られていると、彼ははっとして手を離した。彼が触れたところがじわじわと熱を帯びていく。その場所にそっと触れると、胸が弾んだ。「嬉しい」と何故だか思ってしまい、はっと緩んだ口元を思いっきり押さえて目を顔をあさっての方向に向けた。
「すみません、僕……急に……」
とんでもないことをしてしまったと言う顔で彼は謝ってきた。『いや、いいんだ。嬉しかったと思った自分が恥ずかして、目を合わせられないだけなんだ。』そう言いたいのに言葉が出てこない。ドキドキと心臓が早鐘を打ち、俺と彼の2人きりの空間にうるさく響く。
静まってくれ俺の心臓!早く何か言わないと!そう思いながらも鼓動はどんどん早くなっていく。
「ほ、本当か?俺よくひと言余計で、よく怒られるんだ。」
さっきまでのぎこちなさはなく、穏やかに微笑んでいる。本当に驚いただけのようだ。
しかし安堵で俺は気付かなかった。彼の顔は真っ赤で傷付いたというよりは、少し嬉しそうな顔をしていた。
「確かに、変なタイミングで、突拍子もないこというのは直す努力をした方がいいですね。」
クスクスとさっきみたいに、いたずらっ子のように笑って見せた彼は、本当に気にしていなさそうだ。
良かったと胸を撫で下ろした。
「直せたら苦労しないよ。余計なこと言って何度上司や営業先で怒られたか。無神経なつもりはないんだけどな……」
ブツブツと愚痴をこぼしながら、頬杖をついた。そんな俺を見かねたのか、話題を変えるようにアイスコーヒーを俺の前へ置いた。
「落ち込まないでくださいよ。ほら、余計なことでも人によってはよく捉えてくれる人もいますよ!それより、アイスコーヒーお待たせいたしました。」
「ありがとう。さっきの説明聞いて、楽しみだったんだ。どれくらい違うんだろう。」
そう言って、子どもみたいに目をキラキラさせた俺を、彼は安心したような顔で、優しく微笑んだ。
その笑みはどうしようもなく心を高鳴らせる。緊張のせいで、ついつい彼から目を逸らしてしまった。その時の彼のしゅんとした顔に俺はまだ気付かなかった。
「いただきます」とストローを加えてコーヒーを飲む。
「んっ!これ、いつもより甘みを感じる……!うまい!こんなうまいコーヒー初めて飲んだよ!」
興奮気味に早口で感想を言うと、呆気に取られたような顔をした彼が、カウンター越しに真っ直ぐ手を伸ばし、俺の頬にそっと触れ、だんだん近付いてくる。
「おっ、おい!」
温かい……彼の触れた手は心地いい温かさをもっていた。
今度は俺が呆気に取られていると、彼ははっとして手を離した。彼が触れたところがじわじわと熱を帯びていく。その場所にそっと触れると、胸が弾んだ。「嬉しい」と何故だか思ってしまい、はっと緩んだ口元を思いっきり押さえて目を顔をあさっての方向に向けた。
「すみません、僕……急に……」
とんでもないことをしてしまったと言う顔で彼は謝ってきた。『いや、いいんだ。嬉しかったと思った自分が恥ずかして、目を合わせられないだけなんだ。』そう言いたいのに言葉が出てこない。ドキドキと心臓が早鐘を打ち、俺と彼の2人きりの空間にうるさく響く。
静まってくれ俺の心臓!早く何か言わないと!そう思いながらも鼓動はどんどん早くなっていく。
1
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる