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8.夜デート
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勇大が連れてこられたのは、高級フレンチレストランだ。有名な外資系ラグジュアリーホテルの最上階にある店だった。
この店は落ち着かない。席に着くときに、わざわざ椅子を引いてもらうのも落ち着かないし、フォークを落としても、すぐにどこからか人が飛んでくるのも落ち着かない。
「やっべぇ、マナーとかわかんねぇ……」
客も料理もみんな上品すぎる。何本ものカトラリーを器用に使いこなし、芸術品みたいな料理を食べるのは、勇大には無理だ。北沢の動きをチラチラと見ながら、見よう見まねでマナーとやらを守ろうとさっきから必死だ。
「そう固くなるな。ここでは食事を楽しむことが一番のマナーだから、好きに食べればいい」
「無理だ……」
自分から高級フランス料理に連れて行けと言い出した手前、こんな店は嫌だと言えない。
クッソ面倒くせぇ、これならファミレスのほうが気楽だなと思いながらも、目の前に出されたいちいち珍しい料理は、どれも最上級においしいからまた困る。
「わかった。手伝ってやるから皿を寄越せ」
北沢は勇大の料理の皿を取り上げた。その皿の料理を綺麗な所作で食べやすく切り分けてくれる。返ってきた皿はフォーク一本で食べられる仕様になっていた。
「すげぇ……」
「次の皿もやってやるから、お前は気にせず食べろ」
さすが社長だ。北沢はこういう食べ物に対して百戦錬磨なのだろう。
北沢はなんでもスマートにこなす。よくわからないワインの注文もスマートだし、謎の料理の説明を、呪文のように唱えてくるギャルソンに対してもにこやかに対応している。
同じ男なのに、勇大にはそういうきめ細やかさはない。ガサツで、まったく気が利かない。だから北沢のスマートさは、すごく羨ましかった。
「社長のスーツ、今日もカッコいいね。なんかマジでできる男って感じ」
ほろ酔い加減の勇大からは、北沢に対する遠慮がすっかり消えている。つい、思ったままを口にしてしまった。北沢を褒めたら、気があると勘違いされてしまうかもしれないのに。
「これも自社ブランドだ。オーダーメイドスーツだから無駄がなくて動きやすいんだよ」
それから北沢は、この生地は開発にどれほど力を入れたのか、マーケティングの戦略を一部のターゲット層に絞ったらそれがよかったなど仕事の話を嬉々として話した。
いつも北沢から質問されてばかりだったので、こんなに自分のことを話す北沢は珍しいなと思った。
話している内容は難しくて半分くらい理解できなかったけれども。
「社長って、服が好きなんですね」
「そうだ。好きだからこの会社を立ち上げたんだ」
「すごいっすね。好きなだけで、会社って始められるもんなのかよ……」
会社を興すなんてどれだけの労力がかかるのだろう。始めるだけじゃない、ここまで大きな会社にするのも相当な努力と忍耐が必要だったんじゃないだろうか。
「服はその人となりを表す、最たるものだと俺は思っている。持って生まれた容姿は変えられないだろう? だが服は違う。自分をどういう人間に見せたいか、それを自由に表現することができるんだ」
「あー……そうかも」
その考えは勇大にもわかる。
見た目がオメガっぽくて男らしさのない勇大にとって服装は、自分を強く見せるための鎧のような感覚だ。
オーバーサイズの服を着てゴツいアクセサリーで男らしさを表現する。派手な帽子を被って女々しい顔の印象をなくす。可愛く見える目は、尖ったサングラスで覆い隠すときもある。
それは全部、本当の自分はこう見られたいを叶えるためのものだ。
「ヨーロッパである実験をした動画を見たことがある。五歳の子役の女の子に、二パターンの異なる服を着せるんだ。最初は綺麗で華やかなワンピース。まるでプリンセスのような装いだ。その服を着てオープンカフェに行き、困った様子で不安気に客のテーブルに近づいていく。するとカフェにいた客は『どうしたの? 迷子?』『お母さんとはぐれたの?』と優しく声をかけてくれるんだ」
勇大は頷く。五歳の子が一人きりで泣きそうな顔をして近づいてきたら、手を差し伸べたくなるだろう。
「次に同じ子役の女の子は、臭くて汚い服を着る。まるで乞食のような服だ。その格好でカフェの客に不安気に近づいていく。すると客はその子を物乞いと判断し、嫌な顔をして、シッシと手で追い払う仕草をするんだ」
「あっ……」
小汚い子どもが近づいてきたら誰も相手にしない。残酷なようだが、それはきっと真実だ。
「この子はただ服装が違うだけ。それだけ身につけるものは、人となりを表すんだ。何を着て、自分はどう見られたいか、それを自由に表現できるのが服のいいところだと俺は思っている」
饒舌に語る北沢のその端々から、服が好きだということがすごく伝わってくる。北沢は好きを突き詰めて、今の仕事に携わっているのだろう。
なんにもなれない中途半端な勇大とは真反対だ。
「お前の売ってるブランドのコンセプトは知ってるか?」
「こ、コンセプトっ?」
やばい。そんなことを学ぼうとしたことがない。答えられないとダメ契約社員だと思われるだろうか。
「『自由に表現しよう』だ。人は誰でも表現者であり、それは一様であるはずがない。個々が個々であり続けることを、まずは衣食住のうちの衣から初めてみませんか、という意味を込めてブランディングしてる」
「へぇ……」
社長という生き物はなんだか大きなことを語るんだなと思いつつ、勇大自身も今のファッションにしてから変なアルファにちょっかいを出されることがなくなった。好きな服を着ることは、悪いことではないと思う。
「まぁ、俺のスーツは戦闘服みたいなものだがな。本当の俺を隠して、ビジネスを有利に進められるよう、俺を強く見せるための服だ」
「そっか。だからカッコよく見えるんだな」
隙なしの北沢を作り上げているのは、このスーツも一因になっているのだろう。
「時々、肩が凝るけどな」
「へぇ。まぁ、社長も大変なんだな。普段はスーツなんて着たくないよな」
勇大はスーツ姿の北沢しか見たことがない。もっと北沢のことを知りたい。気取らない、本当の姿はどんなふうなのだろう。
「今度見せてよ、私服」
もっと北沢のプライベートを覗いてみたい。実は家ではダサいTシャツを着ているのかもしれないなと想像して、勇大はちょっとだけにやける。
「ダサいTシャツなんて着てないからな」
「えっ……!?」
勇大は心を読まれたのかとビクッとする。
「これでもアパレルやってる人間だ。一応、服装には気を使ってる」
「は、はは……そうだよね……」
でもまさかそんなことはない。たまたま北沢と同じことを考えてしまっただけのようだ。
「さて。今日の俺は喋りすぎた。いつもはこんなことはしないのに、勇大に聞いてもらいたくなったんだ。無駄話に付き合ってくれてありがとう」
北沢は乾杯の意をこめて、ワイングラスを傾け勇大のグラスにぶつけてからワインを一気に飲み干した。
この店は落ち着かない。席に着くときに、わざわざ椅子を引いてもらうのも落ち着かないし、フォークを落としても、すぐにどこからか人が飛んでくるのも落ち着かない。
「やっべぇ、マナーとかわかんねぇ……」
客も料理もみんな上品すぎる。何本ものカトラリーを器用に使いこなし、芸術品みたいな料理を食べるのは、勇大には無理だ。北沢の動きをチラチラと見ながら、見よう見まねでマナーとやらを守ろうとさっきから必死だ。
「そう固くなるな。ここでは食事を楽しむことが一番のマナーだから、好きに食べればいい」
「無理だ……」
自分から高級フランス料理に連れて行けと言い出した手前、こんな店は嫌だと言えない。
クッソ面倒くせぇ、これならファミレスのほうが気楽だなと思いながらも、目の前に出されたいちいち珍しい料理は、どれも最上級においしいからまた困る。
「わかった。手伝ってやるから皿を寄越せ」
北沢は勇大の料理の皿を取り上げた。その皿の料理を綺麗な所作で食べやすく切り分けてくれる。返ってきた皿はフォーク一本で食べられる仕様になっていた。
「すげぇ……」
「次の皿もやってやるから、お前は気にせず食べろ」
さすが社長だ。北沢はこういう食べ物に対して百戦錬磨なのだろう。
北沢はなんでもスマートにこなす。よくわからないワインの注文もスマートだし、謎の料理の説明を、呪文のように唱えてくるギャルソンに対してもにこやかに対応している。
同じ男なのに、勇大にはそういうきめ細やかさはない。ガサツで、まったく気が利かない。だから北沢のスマートさは、すごく羨ましかった。
「社長のスーツ、今日もカッコいいね。なんかマジでできる男って感じ」
ほろ酔い加減の勇大からは、北沢に対する遠慮がすっかり消えている。つい、思ったままを口にしてしまった。北沢を褒めたら、気があると勘違いされてしまうかもしれないのに。
「これも自社ブランドだ。オーダーメイドスーツだから無駄がなくて動きやすいんだよ」
それから北沢は、この生地は開発にどれほど力を入れたのか、マーケティングの戦略を一部のターゲット層に絞ったらそれがよかったなど仕事の話を嬉々として話した。
いつも北沢から質問されてばかりだったので、こんなに自分のことを話す北沢は珍しいなと思った。
話している内容は難しくて半分くらい理解できなかったけれども。
「社長って、服が好きなんですね」
「そうだ。好きだからこの会社を立ち上げたんだ」
「すごいっすね。好きなだけで、会社って始められるもんなのかよ……」
会社を興すなんてどれだけの労力がかかるのだろう。始めるだけじゃない、ここまで大きな会社にするのも相当な努力と忍耐が必要だったんじゃないだろうか。
「服はその人となりを表す、最たるものだと俺は思っている。持って生まれた容姿は変えられないだろう? だが服は違う。自分をどういう人間に見せたいか、それを自由に表現することができるんだ」
「あー……そうかも」
その考えは勇大にもわかる。
見た目がオメガっぽくて男らしさのない勇大にとって服装は、自分を強く見せるための鎧のような感覚だ。
オーバーサイズの服を着てゴツいアクセサリーで男らしさを表現する。派手な帽子を被って女々しい顔の印象をなくす。可愛く見える目は、尖ったサングラスで覆い隠すときもある。
それは全部、本当の自分はこう見られたいを叶えるためのものだ。
「ヨーロッパである実験をした動画を見たことがある。五歳の子役の女の子に、二パターンの異なる服を着せるんだ。最初は綺麗で華やかなワンピース。まるでプリンセスのような装いだ。その服を着てオープンカフェに行き、困った様子で不安気に客のテーブルに近づいていく。するとカフェにいた客は『どうしたの? 迷子?』『お母さんとはぐれたの?』と優しく声をかけてくれるんだ」
勇大は頷く。五歳の子が一人きりで泣きそうな顔をして近づいてきたら、手を差し伸べたくなるだろう。
「次に同じ子役の女の子は、臭くて汚い服を着る。まるで乞食のような服だ。その格好でカフェの客に不安気に近づいていく。すると客はその子を物乞いと判断し、嫌な顔をして、シッシと手で追い払う仕草をするんだ」
「あっ……」
小汚い子どもが近づいてきたら誰も相手にしない。残酷なようだが、それはきっと真実だ。
「この子はただ服装が違うだけ。それだけ身につけるものは、人となりを表すんだ。何を着て、自分はどう見られたいか、それを自由に表現できるのが服のいいところだと俺は思っている」
饒舌に語る北沢のその端々から、服が好きだということがすごく伝わってくる。北沢は好きを突き詰めて、今の仕事に携わっているのだろう。
なんにもなれない中途半端な勇大とは真反対だ。
「お前の売ってるブランドのコンセプトは知ってるか?」
「こ、コンセプトっ?」
やばい。そんなことを学ぼうとしたことがない。答えられないとダメ契約社員だと思われるだろうか。
「『自由に表現しよう』だ。人は誰でも表現者であり、それは一様であるはずがない。個々が個々であり続けることを、まずは衣食住のうちの衣から初めてみませんか、という意味を込めてブランディングしてる」
「へぇ……」
社長という生き物はなんだか大きなことを語るんだなと思いつつ、勇大自身も今のファッションにしてから変なアルファにちょっかいを出されることがなくなった。好きな服を着ることは、悪いことではないと思う。
「まぁ、俺のスーツは戦闘服みたいなものだがな。本当の俺を隠して、ビジネスを有利に進められるよう、俺を強く見せるための服だ」
「そっか。だからカッコよく見えるんだな」
隙なしの北沢を作り上げているのは、このスーツも一因になっているのだろう。
「時々、肩が凝るけどな」
「へぇ。まぁ、社長も大変なんだな。普段はスーツなんて着たくないよな」
勇大はスーツ姿の北沢しか見たことがない。もっと北沢のことを知りたい。気取らない、本当の姿はどんなふうなのだろう。
「今度見せてよ、私服」
もっと北沢のプライベートを覗いてみたい。実は家ではダサいTシャツを着ているのかもしれないなと想像して、勇大はちょっとだけにやける。
「ダサいTシャツなんて着てないからな」
「えっ……!?」
勇大は心を読まれたのかとビクッとする。
「これでもアパレルやってる人間だ。一応、服装には気を使ってる」
「は、はは……そうだよね……」
でもまさかそんなことはない。たまたま北沢と同じことを考えてしまっただけのようだ。
「さて。今日の俺は喋りすぎた。いつもはこんなことはしないのに、勇大に聞いてもらいたくなったんだ。無駄話に付き合ってくれてありがとう」
北沢は乾杯の意をこめて、ワイングラスを傾け勇大のグラスにぶつけてからワインを一気に飲み干した。
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