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30.番外編『愛が重すぎる』8
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「どうしよう、リオル。やってしまった……」
次の日の朝、ベッドで上半身を起こしたシグルドは頭を抱えていた。
理由は先ほど聞かされた。シグルドが王弟レオンハルトから誘われていた狩りが行われるのは、早朝だったらしい。
ふたりが目覚めたのは、狩りがとっくに終わっている時間だった。窓の外を見れば、狩りを終えたレオンハルト一行の姿が見えた。
「正直に話すしかないよ。寝坊しましたって」
リオルが励ますように言ったのに、シグルドは「リオルはそれでいいのか?」と聞き返してきた。
「寝坊の理由を突っ込まれるだろう? そうしたら、リオルとふたりで盛り上がってしまい、眠るのが遅くなったからだと話してもいいと言うのかっ?」
「えっ、そこは、隠して……」
そうなのだ。あれからふたりはすごく盛り上がってしまい、何度も達して、何度も繋がって、お互いを求め続けた。眠りについたのは明け方に近かったのかもしれない。
そして寝坊した。ふたりとも今しがた目覚めたばかりで、裸でシーツにくるまっている状況だ。
「騎士団の仕事でも寝坊なんてしたことなかったのに。俺はリオルのことになると見境がつかなくなる……」
シグルドは、すぐ隣に座るリオルに寄りかかってきた。昨日の情事のせいか、シグルドからは番のアルファのフェロモンのいい匂いがする。それが気持ちがよくて、リオルはシグルドの身体に身を寄せる。
「俺はリオルが好きすぎるんだ……離れていても、今リオルはどこで何をしているだろうと考えている。どうしてこんなに好きになってしまったんだろう。賢くて可愛いリオルが好きで好きでたまらないっ」
「あっ……!」
シグルドは両手両足を使って背後からリオルに抱きついてきた。昨夜もふたりで散々交わっていたのに、起きた途端にまたシグルドと身体をくっつけている。
「シグルドったら、もう起きなくちゃ……」
番になったあと、シグルドの愛は激増した。
以前から好きだったと言われるから、そうだったのかもしれないが、その愛情表現が顕著になったのだろう。
「嫌だ。一分一秒でも長くリオルとこうしていたい……」
まるで駄々をこねる子どもみたいだ。こんなシグルドの姿を騎士団の面々が見たら、驚くに違いない。
「しょうがないなぁ」
リオルはシグルドの腕の中、身体を反転させて、シグルドのほうを向く。
シグルドがまばたき、碧翠色の瞳がリオルのことを不思議そうに見つめている。
じっと見られていると恥ずかしいから、リオルはシグルドの目を手で覆い隠して、シグルドの唇にキスをする。
「これでいい?」
シグルドが拗ねたり怒ったりしたときは、リオルがキスをすれば収まる。だから今日もキスをしてシグルドの気持ちを落ち着かせようとリオルは考えたのだ。
「リオル。もう一度」
シグルドはリオルの腰を抱いてお願いをしてくる。
「ん……」
リオルはそれに応えてもう一度シグルドに口づけする。
「好きだよ、シグルド」
リオルは照れ笑いをしながらシグルドに気持ちを伝える。この気持ちに嘘偽りはない。
金髪で碧翠色の瞳の整った顔は何度見ても見惚れるほど好きだと思うし、信念を貫き通す強さがあるくせに、リオルに対しては従順な犬みたいに、全部言いなりになってしまうところは愛しく思う。
「ダメだ。可愛い。気持ちが抑えられないっ」
シグルドはリオルの唇を奪った。激しいキスに息ができなくなって、リオルが逃れようとするのに、シグルドの手で後頭部を押さえられてしまい逃げられない。
「んっ、んんー……っ! んっ!」
訳すと「シグルド、待って、苦しい!」だ。
「すまないリオル。朝からリオルにキスをされて、俺は我慢できない」
座っているシグルドの身体の上で脚を広げられ、跨るような姿勢にさせられる。そうすると自然とシグルドの男根に触れることになるのだが、それはすでに臨戦体制だ。
「ねぇっ、違うって、そういう意味でキスしたんじゃなくて、これで終わりにして、もう起きようって意味で……あぁっ……ん……っ!」
シグルドに襲われながら、リオルはさっきまでの自分の考えを猛反省する。
「あぁっ……もうっ……!」
シグルドは全然従順なんかじゃなかった。
シグルドは愛が重すぎる。最近は特に、リオルが好きすぎて暴走してばかり。
リオルのこととなると、シグルドは理性が効かなくなる狼みたいだ。
シグルドの社交界デビューは、ふたりの仲のよさを大いに世間に知らしめることとなり、ある意味で大成功と言えなくもない結果に終わった。
——番外編『愛が重すぎる』完。
次の日の朝、ベッドで上半身を起こしたシグルドは頭を抱えていた。
理由は先ほど聞かされた。シグルドが王弟レオンハルトから誘われていた狩りが行われるのは、早朝だったらしい。
ふたりが目覚めたのは、狩りがとっくに終わっている時間だった。窓の外を見れば、狩りを終えたレオンハルト一行の姿が見えた。
「正直に話すしかないよ。寝坊しましたって」
リオルが励ますように言ったのに、シグルドは「リオルはそれでいいのか?」と聞き返してきた。
「寝坊の理由を突っ込まれるだろう? そうしたら、リオルとふたりで盛り上がってしまい、眠るのが遅くなったからだと話してもいいと言うのかっ?」
「えっ、そこは、隠して……」
そうなのだ。あれからふたりはすごく盛り上がってしまい、何度も達して、何度も繋がって、お互いを求め続けた。眠りについたのは明け方に近かったのかもしれない。
そして寝坊した。ふたりとも今しがた目覚めたばかりで、裸でシーツにくるまっている状況だ。
「騎士団の仕事でも寝坊なんてしたことなかったのに。俺はリオルのことになると見境がつかなくなる……」
シグルドは、すぐ隣に座るリオルに寄りかかってきた。昨日の情事のせいか、シグルドからは番のアルファのフェロモンのいい匂いがする。それが気持ちがよくて、リオルはシグルドの身体に身を寄せる。
「俺はリオルが好きすぎるんだ……離れていても、今リオルはどこで何をしているだろうと考えている。どうしてこんなに好きになってしまったんだろう。賢くて可愛いリオルが好きで好きでたまらないっ」
「あっ……!」
シグルドは両手両足を使って背後からリオルに抱きついてきた。昨夜もふたりで散々交わっていたのに、起きた途端にまたシグルドと身体をくっつけている。
「シグルドったら、もう起きなくちゃ……」
番になったあと、シグルドの愛は激増した。
以前から好きだったと言われるから、そうだったのかもしれないが、その愛情表現が顕著になったのだろう。
「嫌だ。一分一秒でも長くリオルとこうしていたい……」
まるで駄々をこねる子どもみたいだ。こんなシグルドの姿を騎士団の面々が見たら、驚くに違いない。
「しょうがないなぁ」
リオルはシグルドの腕の中、身体を反転させて、シグルドのほうを向く。
シグルドがまばたき、碧翠色の瞳がリオルのことを不思議そうに見つめている。
じっと見られていると恥ずかしいから、リオルはシグルドの目を手で覆い隠して、シグルドの唇にキスをする。
「これでいい?」
シグルドが拗ねたり怒ったりしたときは、リオルがキスをすれば収まる。だから今日もキスをしてシグルドの気持ちを落ち着かせようとリオルは考えたのだ。
「リオル。もう一度」
シグルドはリオルの腰を抱いてお願いをしてくる。
「ん……」
リオルはそれに応えてもう一度シグルドに口づけする。
「好きだよ、シグルド」
リオルは照れ笑いをしながらシグルドに気持ちを伝える。この気持ちに嘘偽りはない。
金髪で碧翠色の瞳の整った顔は何度見ても見惚れるほど好きだと思うし、信念を貫き通す強さがあるくせに、リオルに対しては従順な犬みたいに、全部言いなりになってしまうところは愛しく思う。
「ダメだ。可愛い。気持ちが抑えられないっ」
シグルドはリオルの唇を奪った。激しいキスに息ができなくなって、リオルが逃れようとするのに、シグルドの手で後頭部を押さえられてしまい逃げられない。
「んっ、んんー……っ! んっ!」
訳すと「シグルド、待って、苦しい!」だ。
「すまないリオル。朝からリオルにキスをされて、俺は我慢できない」
座っているシグルドの身体の上で脚を広げられ、跨るような姿勢にさせられる。そうすると自然とシグルドの男根に触れることになるのだが、それはすでに臨戦体制だ。
「ねぇっ、違うって、そういう意味でキスしたんじゃなくて、これで終わりにして、もう起きようって意味で……あぁっ……ん……っ!」
シグルドに襲われながら、リオルはさっきまでの自分の考えを猛反省する。
「あぁっ……もうっ……!」
シグルドは全然従順なんかじゃなかった。
シグルドは愛が重すぎる。最近は特に、リオルが好きすぎて暴走してばかり。
リオルのこととなると、シグルドは理性が効かなくなる狼みたいだ。
シグルドの社交界デビューは、ふたりの仲のよさを大いに世間に知らしめることとなり、ある意味で大成功と言えなくもない結果に終わった。
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ありがとうございます!
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