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6.三股?!
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「すごい、効果的めんだ……」
映画が終わってスマホを見たら、一条から鬼のように連絡があった。
着信もすごいし、『俺たち恋人だろ?』とか『俺の部屋が嫌ならお前の家に行くよ』とか『塔矢とデートなんて許さない』などのメッセージ。
「まだだ。返信するな。全部無視しろ。連絡を無視されてどんな気持ちになるかあいつも少しは味わった方がいい」
塔矢はとことん一条が嫌いなんだな。
「それにしてもムカつくな、このLINE。今さら恋人ヅラするなら最初からちゃんと大事にしろよ!」
塔矢は親身になり過ぎだ。当事者の真下よりも塔矢の方が怒ってる。
「二股とかマジであり得ねぇし。おい真下。一条の家を教えてくれ」
「いいけど……」
まだ塔矢は一条に何か仕掛ける気なのか……?
それからまた次の次、二週間後のゼミの日になった。
真下がゼミの教室に行くと、いつも早めに来ている一条が今日はいなかった。
「あれ? 一条は?」
「真下くん、知らないの……?」
「何を?」
同じゼミの佐藤に言われて真下の頭にはハテナが浮かぶ。
「一条くん。二股かけてたんだって。最低じゃない?!」
「え?!」
なんだその噂は。いつの間にそんなことに……。
「ねぇ、その話詳しく知ってる?」
佐藤に小声で訊ねる。佐藤は少し考えて「もう終わったことだから話すけど」と前置きしたあと、ゼミの教室の隅で目立たぬよう、そっと話し始める。
「私の友達の舞美がね、一条くんと付き合ってたんだけど……」
一条と付き合ってた……? やっぱり一条の恋人は真下ひとりじゃなかったんだ。
「舞美が、一条くんの家に遊びに行った帰りに一条くんちのマンションの入り口で、『君、二股かけられてるよ』って眼鏡と黒いマスクをした背の高い男の人に突然言われたんだって!」
「えっ、知らない人に?!」
「うん、そうみたい。最初はそんな人の言うことなんて信じられないって思ったらしいんだけど、『嘘だと思うなら明日の夜、一条の家を連絡なしに訪ねてみろ』って言われて、冗談でしょと思いながらもそのとおりにしたら、他の女と一条くんの家で鉢合わせしたんだって!」
真下の知らないところでそんな修羅場が繰り広げられていたのか……。
「ひどくない?! 二人とも一条くんから付き合ってって言われたんだって。最初から二股かける気で声をかけてたんだよ」
確かにひどい話だ。そして、その修羅場にはいなかったが、真下も数に入れると一条は三股をかけていたことになる。
「舞美が泣いて周りの友達に『一条サイテー』って騒いでさ、すっかり二股の噂が広がってるの……」
そうだったのか。お節介な眼鏡黒マスクの男がきっかけで一条の悪行が明るみになったのか。
「だからきっと気まずくてゼミに来れないんじゃない——あっ! い、一条くん!」
噂の一条本人の登場だ。佐藤は口をつぐんだ。
「佐藤。おはよ」
「お、おはよー、一条くん……」
佐藤はさっと挨拶をして逃げて行った。一条に動じた様子はなく、静かに席について資料を読み始めた。
一条はひとりきりだ。いつもは皆に囲まれているのに……。
一条を見ていたら、一条も真下を見た。二人の視線が合う。一条は何か言いたげな目をしていたが、結局何も言わずにうつむいてしまった。
映画が終わってスマホを見たら、一条から鬼のように連絡があった。
着信もすごいし、『俺たち恋人だろ?』とか『俺の部屋が嫌ならお前の家に行くよ』とか『塔矢とデートなんて許さない』などのメッセージ。
「まだだ。返信するな。全部無視しろ。連絡を無視されてどんな気持ちになるかあいつも少しは味わった方がいい」
塔矢はとことん一条が嫌いなんだな。
「それにしてもムカつくな、このLINE。今さら恋人ヅラするなら最初からちゃんと大事にしろよ!」
塔矢は親身になり過ぎだ。当事者の真下よりも塔矢の方が怒ってる。
「二股とかマジであり得ねぇし。おい真下。一条の家を教えてくれ」
「いいけど……」
まだ塔矢は一条に何か仕掛ける気なのか……?
それからまた次の次、二週間後のゼミの日になった。
真下がゼミの教室に行くと、いつも早めに来ている一条が今日はいなかった。
「あれ? 一条は?」
「真下くん、知らないの……?」
「何を?」
同じゼミの佐藤に言われて真下の頭にはハテナが浮かぶ。
「一条くん。二股かけてたんだって。最低じゃない?!」
「え?!」
なんだその噂は。いつの間にそんなことに……。
「ねぇ、その話詳しく知ってる?」
佐藤に小声で訊ねる。佐藤は少し考えて「もう終わったことだから話すけど」と前置きしたあと、ゼミの教室の隅で目立たぬよう、そっと話し始める。
「私の友達の舞美がね、一条くんと付き合ってたんだけど……」
一条と付き合ってた……? やっぱり一条の恋人は真下ひとりじゃなかったんだ。
「舞美が、一条くんの家に遊びに行った帰りに一条くんちのマンションの入り口で、『君、二股かけられてるよ』って眼鏡と黒いマスクをした背の高い男の人に突然言われたんだって!」
「えっ、知らない人に?!」
「うん、そうみたい。最初はそんな人の言うことなんて信じられないって思ったらしいんだけど、『嘘だと思うなら明日の夜、一条の家を連絡なしに訪ねてみろ』って言われて、冗談でしょと思いながらもそのとおりにしたら、他の女と一条くんの家で鉢合わせしたんだって!」
真下の知らないところでそんな修羅場が繰り広げられていたのか……。
「ひどくない?! 二人とも一条くんから付き合ってって言われたんだって。最初から二股かける気で声をかけてたんだよ」
確かにひどい話だ。そして、その修羅場にはいなかったが、真下も数に入れると一条は三股をかけていたことになる。
「舞美が泣いて周りの友達に『一条サイテー』って騒いでさ、すっかり二股の噂が広がってるの……」
そうだったのか。お節介な眼鏡黒マスクの男がきっかけで一条の悪行が明るみになったのか。
「だからきっと気まずくてゼミに来れないんじゃない——あっ! い、一条くん!」
噂の一条本人の登場だ。佐藤は口をつぐんだ。
「佐藤。おはよ」
「お、おはよー、一条くん……」
佐藤はさっと挨拶をして逃げて行った。一条に動じた様子はなく、静かに席について資料を読み始めた。
一条はひとりきりだ。いつもは皆に囲まれているのに……。
一条を見ていたら、一条も真下を見た。二人の視線が合う。一条は何か言いたげな目をしていたが、結局何も言わずにうつむいてしまった。
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